気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-36:西部編⑬

クロト、ホッブズ、馬の帰還を祝い、盛大な宴が催される。

持ち帰った財宝のお陰で気が大きくなっている事もあり、宴会は朝から晩まで続いた。

第三部:西部編⑬ 旅立ち

クロトの留守中、「積もる話」が山程あったが、それを聞くだけの時間はたっぷりとあった。
隊長代行を努めたデーリアは、メモも用意せず、次々と起きた出来事をクロトに語って聞かせていった。
「我が主が旅立つ直前に仲間になった、ペイトソンだが……」

「既に浮浪忍者の里に移り住み、よろず屋で警備の仕事をしつつ、縫製も学び始めているようだ。
 カイネンとパスクリの仕事ぶりが良い影響を与えたのであろう」
「それから、我が主不在の間に、更に三人の人員を雇用した」

コラフ

オードラン

ラニ
「グラニエとオードランは浮浪忍者の里で働いているが……」

「コラフはテックハンターとして旅立っていった。
 誰もが皆、特務隊として生きる事を望む訳ではない、という事だな……」
「逆に、忍者の里からこちらに来る事もあった」
レッパ

ナイフ

ディグナ



ピア

「残念ながら、レヴァ、ヘルガーと言う浮浪忍者2名は里をゾンビから守る戦いで命を落としてしまったが……
 この4名はパスクリの造った新装備の受け取りがてら、少しこの町で鍛錬を積んでから里に帰って行った」
ホーリーネーションの軍隊がこの町を訪れた事もあった」

「中立地帯では流石に揉め事は起こさないだろうと思っていたが……
 奴らの狂信ぶりは予想以上でな……」

「一人の騎士がダルパンの義足を見て、「悪魔の足だ」などと言って暴れだし、交戦状態となった」
「宿屋中が大騒ぎになったが、多勢に無勢、ホーリーネーション軍は敗北。
 宿から叩き出される事となった」

「ダルパンを痛めつけてくれた代償は、しっかり頂いておいた。
 気付けば奴らの荷ガルが倒れていてな」

「ごっそりと積荷を頂いておいたよ。
 フフ、あれは実に美味い報酬であった」
「そうそう、パスクリ達の防具作りは順調に進んでいるのだが……
 ドクターがゾンビの骨を調べているうち、新たな研究も完了していてな」

「ゾンビの骨から特殊合金を生成出来るようになった。
 Z鋼、と呼称するそうだが…… 兜を試作してみた所、これが中々の出来栄えでな」

「パスクリ&カイネンの皮防具制作と同時に、ドクター&エリーコによるZ鋼の防具も生産が進んでいる」
「あのエリーコという娘、見所があるぞ。
 早くも一対一でゾンビを仕留める所まで成長しているし、看護婦の勉強をしつつ、防具も造る……
 中々に多芸多才な娘だ」

「相変わらず、ゾンビの襲撃を受け続ける日々で、戦闘経験を積む機会には事欠かなかった」

「砲座に着いていたブロージオが足をかじられるピンチもあったが……
 概ね、平穏無事に戦い続けていたよ」
「ただ、犠牲はゼロとは行かず……」

「残念ながら、ドクターが片足を失ってしまった。
 無論、熟練級の高耐久の義足で、戦闘力はむしろ高まってはいるのだが……
 力及ばず、無念だ……」
「この町の衛兵も片腕を失う事があったのだが……」

「義手を与え、今ではこちらも以前にも増して元気に戦っている。
 そして、引き続き生産した防具の衛兵への配布も続けている。
 オレ達もこの里の戦力向上に貢献出来ている、というのは嬉しいものだ」
「コート・ジャケットの出来も熟練の域に達して、チームの装備水準は高くなって来ている」

「軽装の前衛にはコート、射手にはジャケットが、それぞれ熟練級で揃えてある。
 我が主も後で袴を新調してもらうといいだろう」
「後は…… この町の弱点、無風になった際の停電対策として、出来得る限りの対策を講じておいた」

「9基の蓄電池と、微風でも僅かに発電が可能な小型風力発電機を6つ設置した。
 これで、風の弱い日でも一応作業を続ける事が可能となった」
「と…… 留守を預かっていた間の出来事は、こんな所だ」
「やりますね! デーリアさん、指揮官が板についてる感じです!」

「なに…… 我が主よ、オレはいつもお前を見ていたのだ。
 見様見真似というヤツ…… オレの指揮が良かったのなら、それはお前の指揮が良かったから、という事だ」
互いに照れ笑いをしながら、クロトは報告を聞き終えた。
夜更けまで宴会は続き……
一人、また一人と寝潰れて、自然と宴はお開きとなった。
そして……

「で、我々だけで話したかった事というのは何なのだ?」

三人は帰り着くなり倒れるように眠っていたため、まだ眠くなっていない。
ホッブズからの相談を受けるには丁度良く、三人だけが酒場に残っていた。
「まだ、皆に話すには早い気がしての…… 判断に迷うておるのじゃ、ワシは」
「改まって、何の話ですか?」
「ワシはな、気付いたんじゃよ。 ゾムネジアの仕組みに」

「!!?」「何だと!?」
ガタッ、と、腰を浮かす馬。 静まれ、と手を振って抑えるホッブズ
「ワシらが忘れておった記憶には、ある法則性が有る。
 どうも、そう思えてならんのじゃ」
「それは…… 一体!?」
「心の重荷からの、開放」
「心の…… 重荷!?」
「そうじゃ。 クロト殿にこれを言うのは辛い事ではあるがの……
 気付いてしもうたからには、隊長殿には話しておかねばならんじゃろう……
 ワシら特務隊の本来の任務は、こうした怪現象の解明にこそあるのじゃから」
「では、ホッブズ。 貴様も何を忘れていたのか、判別が付いたという事か?」
「そうじゃ」
「聞いて、良いのだな?」
「勿論。 ワシの場合は……
 老いる事への、恐怖
 これを喪失しておったのじゃよ」
「そう、だったか…… では、やはり度々記憶違いが見受けられたのは……」
「そうじゃ。ワシの頭が、老いてボケ始めておるという事よ」
「では…… 吾輩の場合は、あの全滅がトラウマになっておったという事か……」

「馬さんも、何を忘れていたのか、思い出したんですか!?」
「おおともよ。北西の遺跡を旅して回って、明確に思い出せた。
 吾輩がかつて伝説に挑んだ時と、全く異なる場所に辿り着いてしまったのだ、とな」
「ワシも自分の記憶の方が間違っておるのかと思い、勘違いしておったが……
 ミストグールの伝説は南東に在るもの…… 北西部に伝わるのは、鳥の舞う塔の伝説の方じゃ」
「吾輩は一度南東を目指した。
 そして、彼の地で仲間を失い、一人生き残ってしまった。
 我が名、太古の伝説に伝わる最速の生物、ウマ。その名を持った吾輩だけが、ミストグールを振り切って逃げられたのだ。
 その、忘れたかった辛い思い出を、吾輩は都合よく忘れておった。
 転換の日…… あの緑の光を浴びた、あの時からな」
ホッブズは、自身の老いという現実から目を背けたかった。
馬は、仲間を救えず、一人生き延びてしまった辛い過去を忘れたかった。
「つまり、僕は…… 故郷の事を、忘れたかった!?」
「そういう事になるのかもしれんのう……」
エリスは自分の過去を忘れたかった?
ソマンは、グリーンフィンガーは、故郷で農業を成功させられなくて、辛かった?
ダルパンは、ツインブレードの生まれである事が嫌だった?
なるほど、他人の心を土足で踏みにじるような行為だ。
これは、おいそれと皆に話せない……
「で、な。 ワシは、老いる事の恐怖を、今はもう、思い出してしまっておるワケじゃ……」

もうとっくに夜が明け、すっかり外は明るくなっている。
その、遥か彼方の景色を、三人は眺める。
「ワシの旅は、ここまでじゃ」

「この老いぼれもまだまだ戦えると…… そう言ってもらえて、ワシゃ本当に嬉しかったんじゃ。
 本当に、本当に嬉しくてのぅ…… それで、満足してしまったんじゃな。
 それで、全てを思い出せた」
「限界か?」
「ウム。 ワシはここまで。
 後は…… ヌシらに任せるとするよ」
「寂しくなる……」
「バカモン。 ワシの方が辛いに決まっとるじゃろうが。
 それくらい我慢せい」
「フッ、それもそうだな……
 ああ、任せろ。 後は、任された。
 この先は吾輩が全てを見届け、貴様の元に物語を持ち帰ってやろうではないか」
「フォフォフォ、老後の楽しみ、というヤツじゃの!」

「なあ、ホッブズ殿よ。気付いておったか?」
「なんじゃ?」
「我が敬愛する偉大な探検家。鳥の舞う塔の伝説。
 それを語ってくれた酔っぱらいとは……」
ホッブズの顔が驚きに歪み、そして……
満面の笑顔となった。

ホッブズマシニストに加わり、残った知識を後世に伝える仕事に就く事となった。
マシニスト本部・所長のイヨはぶつくさと文句を言ったが、結局はホッブズの持つ冒険の知識と経験に興味深々であり、喜んで彼を受け入れる事にしたようだ。

先日の宴の後で豪勢な料理は用意できなかったが……
マシニスト本部で、ささやかな食事会を済ませる。
「ごめんね、クロトくん…… 本当は、私もずっといっしょにいたいんだけど……」
「俺達が外交官の仕事を続けるには、この町は実に都合がいいからな。
 せっかく拠点も構えた事だし、姉貴と俺はここに残る事にしたよ。
 特務隊、ワールズエンド支部ホッブズ隊だな」
「よせよせ、ワシゃもうその手の仕事は勘弁じゃぞ!」
次にどこに向かうかはまだ決めていなかったが……
東に向かい、大砂漠に戻り、侍としての任務に戻るつもりではあった。
パスクリ、カイネン、浮浪忍者の2人とは別行動を取る事となる。

名残を惜しみつつ……
またカイネンがクロトに抱きついてセクハラをしつつ……
別れの時が来た。
ホッブズが部隊を離れ、イヨの後をついて行く。

事務的な手続きと、簡単な挨拶回りを済ませ、三人はそれぞれの仕事へと向かって行く。

今まで、辛い戦いばかりの旅だった。
彼の明るい人柄にどれだけ救われてきたか。
僕は、彼のその人柄に、十分報いる事が出来ただろうか……?
あの時の、満ち足りた笑顔が、その答えだと良いのだが。
去りゆく背中に、小さな声でありがとうございましたとつぶやき、頭を下げる。
「クロト、と言ったね」
「はい……? 何か用でしょうか、イヨさん」
「ああ。少し気になる事がある」

「Z鋼を精製するに至った、あの医師……
 今日は姿が見えんようだが」

「!!?」

宴を終え、ホッブズとの別れを済ませている間に……
ドクター・チュンは姿を消していた。
いつも傍らにいた、あのエーリコという少女も、共に失踪していた。

モムソーは「きっと駆け落ちに違いねぇ」などと気楽に言っていたが、クロトは、心臓の鼓動が速まるのを感じていた。
最後にその姿を見たと言うモムソーは、2人が連れ立って浮浪忍者の里の方に向かって行ったと言う。
いつものように人員・物資のやり取りで往復に出たのだろう、と思っていたそうだが……

「Z鋼の装備は僕達ステイヤー以外には有害な成分を含んでいます!
 あの兜を里に卸しに行ったとは考えられません!」
クロトの尋常ではない様子に、モムソーも事の深刻さを理解し始める。
町の門番にも尋ねてみたが、真夜中に出ていった2人は軽装で、輸送に向かったようには見えなかったと言う。

「とりあえず…… 里に向かいましょう」
テックハンター達に、ドクターとエリーコの消息が分かったら連絡が欲しい、と、ホッブズ達宛てに言伝てを頼み、慌ただしく出発の時を迎える。
「世話になったな。少年」「こちらこそ、何度助けられた事か……」

屈強なる「世界の果て」のテックハンター達も、日々の戦いで命を落としそうになる事が何度もあった。
その度、互いに助け合い、時には義手を贈り、戦い続ける事…… 2ヶ月。
気心の知れた戦友達とも、別れの時が来た。
挨拶もそこそこに、急勾配の坂道を駆け下り、先を急ぐ。

クロトの胸の内に、悪い予感が拡がっていく。
浮浪忍者の里には、すぐに着いた。


「すまんな…… こちらでも見かけていない」

里の方でも、ドクター達の消息は掴めていないようだ。
どうやら、シラを切っているのではなく、本当に知らないようだが……
「ピカリングさん…… 初めて会った時から、ずっと、僕には何かを隠したままですよね?
 もしかして、今回の件って……」
「ああ。隠し事なら沢山あるよ。
 クロトを「ソレ」に巻き込むまいと、必死になって頑張ってるヤツもいる」

「でも……! 僕は、仲間を失って…… 奪われたかもしれないんです!
 僕の恩師…… 数少ない故郷の生き残りを!」
「そう、かい。
 その線まで、分かってるんだね」
「カリン」
「っ……!」
喋りすぎだ、と遮るように声を挟んで来たのは、浮浪忍者の首領、モールだった。

「そうまでして、身を危険に晒してまで、追わねばならんのか?
 真実と言うヤツを、知らねばならんのか?」
「勿論です」

だって、僕は……
妻にすると誓った相手を
ドッグレットを
故郷を
  重 荷 に 感 じ て い た ん だ
だから、忘れてしまった。
それでも……
綺麗サッパリまるごと過去を忘れてしまうような犠牲者がいた一方で……
僕は、覚えていた。
名前を間違えてでも、故郷の事を、中途半端な形ででも、覚えていた。
半ば、重荷で
半ば、希望だったんだ
だから……
追わなければ行けない。
彼女を、ではない。
ドッグレットの面影を追うんじゃない。
真実を、探しに行くんだ。
「行きます。 探します。 真実を」
「やれやれ、お前に幸せになって欲しいと願う乙女達が何人もいると言うのに、なぜ茨の道を行きたがるのか……」

そう言うモールは、嬉しそうに笑っていた。
「女が追いたがる男ってのは…… そうじゃなくちゃな。
 いいだろう。ヒントくらいはくれてやる」
あのエリーコと言う少女は、ホーリーネーションかスワンプ辺りから流れてきた、と言う。
心当たりは、ある。
「……マッドタウン、ですよね?」
「ほう」

『手術の事は忘れろ』

 


(きっと、ツインブレードが忘れたままでいて欲しかった何かを、ドクターが思い出してしまったと……
 そういう事、だよな)
この先に踏み込めば、自分もまた命を狙われる側になる。
一拍の間を置き、その覚悟をして、次の言葉を口に出す。
「そして……
 これは、僕の故郷に関わる何か、なんですよね……?」
フゥ、やれやれ、と肩をすくめて見せる首領モール。
「私はその質問に答えるつもりは無い。が……
 カリンも、いい加減腹に据えかねているからな」
「はい。いい加減にして欲しいと思っています、姐さん」
「……?」
何の話だか分からず、まどろっこしい言い回し。
「一つだけ教えておこう。
 真相はスワンプにあるが…… スワンプに無い」
「それは、一体……」
いや、尋ねる事はもうない。
モールは 一つだけ と言ったのだから。
「行きます。スワンプへ!」

命を狙われる事になる可能性が高いと皆に伝えたが…… 話はすぐにまとまった。
一行はスワンプ行きを決める。

「死ににいくつもりか? いや、クロトなら、あるいは……」
「吉と出るか、凶と出るかは分からんが、仲間を奪われたままではおられんからな」

「里から南へは……また、ホーリーネーション領を抜けていく事になる。
 もう私達は助けてやれない。生半可な旅ではないぞ」
「心得ています…… 一度、苦い敗北を味わっていますから」

「ツインブレードと戦いになるか否かはともかくとして、スクインまで着いたらエレマイアさんやフェルンさん達とも合流して、戦力は強化出来ると思いますから……」
「ああ。あのスケルトン達にも世話になった。よろしく伝えておいてくれ」
一行は、スヴェアとも別れの挨拶を済ませ、旅立ちの支度を進める。
そして、浮浪忍者達に見送られながら、クロト隊は南に向かって出発した。

ドクターの思い出した記憶とは何なのか。
思い出すべきではなかった手術とは、ミウに関わる事なのかどうか。
そして、故郷で起きた悲劇の裏には、一体何が隠されているのか……

無謀で、しかも、必要でもない。
ただ、真実を知るための旅が、始まろうとしていた。
< 第三部 西部編 完 >
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります