気刊くろみつタイムス

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#Kenshi ZA-55:エピローグ

 
 
送信完了。
 
あっちとの同調も消滅を確認。
 
ふぅ、これでよし、と……

ドクターも、あの男と一緒に死んだ。
ケルトンも、一番ヤバいのが消えてくれた。
サヴァンもじきに死ぬ。
 
後は……
 
 

 
私の仕事も、これで全部終わりね。
さて、どうしたものかしら……
 

 
 
 
 

エピローグ

 
 
 
 
「こんなに、広かったっけ…………」
 
あれだけ賑やかな声で満たされていたこの町が、今はこんなにも静かだなんて。

現実を突きつけてくる、空っぽの町。
クロトが身心の喪失から立ち直るまで、まだ少し、時間が必要だった。
 
ダルパンが新人のマルチを連れ、残った設備を動かし始めていた頃、デーリアとホッブズが帰還した。
無事、ベッカムとコスチュニンの救出に成功。

 
今までより性能の劣る足へ換装せざるを得ない事を侘びるクロトだったが、これにより、いずれもっと完璧な義足を製造してみせようという決意を新たにする事ともなった。

悪いことではないだろう。
今のクロトには、何か目指すべき目標が必要であったかもしれない。
 
 
浮浪忍者や都市連合への連絡を終え、ヤノルスが戻って来たのは、その少し後だった。
スヴェア直属の上司であったハーモトーを通じ、報告は帝国全土へと伝わる事となる。

 
この後、しばらくして都市連合からの辞令が届く。
 
隊は事実上の壊滅。
ゾンビ発生の原因も特定に至り、ロード・ナガタの署名付きで、特務隊はその任を解かれる事となった。
後は、フラットラグーンのテックハンター達が中心となって研究を引き継ぐ事になるのだろう。
 
 
クロトは、畑仕事に従事している。

同盟各派閥との連絡・交渉のためのデスクワークを終えた後、故郷の村でそうしてきたように、日々クワを振るう。
隊員達のいない今、自身も額に汗して働かねば食料生産を維持する事は出来なかった。
 
ホッブズとパスクリもこれを手伝う。

残った家族達が困らないくらいの収穫は維持出来るだろう。
 
ダルパンとマルチが、収穫されたサボテンと米を調理する。

ソマンとグリーンフィンガーの残した畑は、半ば荒れ果てながらも、なんとか維持されて行くのだろう。
 
 
馬とデーリアは、まだ小さなガルの面倒を見ながら、井戸の水汲みを行っている。

が、現在デーリアは不在だ。
 
ケルトン達は、ひとまずデーリアが戻るまでは、と、砲台警備任務を続けている。
ボーンヤードウルフの群れでも入り込んで来れば、今の戦力では危うくなる事もあるだろう。
油断は出来ない。

それに…… 敵国、ホーリーネーションは未だ健在だ。
いつまた攻めて来るかもわからなかった。
 
 
デーリアは、もう常にクロトの傍らにあろうとはしなかった。
最後の任務を果たしに、単身彼の地へと戻っていた。


司令官を失ったアイアン指揮所は、魔境の他勢力との戦いに破れたのだろう。
要塞はサザンハイブの占拠する所となっていた。
 
凶暴だが知性に欠けるサザンハイブ達が施設を再建する事はあるまい。
むしろ、サザンハイブが駐屯してくれるお陰で、廃墟から知識の欠片なりと回収される危険性を防いでもらえる、という見方も出来る。
 
友の亡骸も、最早存在しない。

全ては終わったのだ。
もうここに戻る事も無いだろう。
 
 
デーリアの帰還を待ち、スケルトンの2人が出発する。
行き先はモウン。

無論、許嫁たるレット……
ブルーアイズ/ビッグボスを迎えに行くためだった。
 
クロトは既に、故郷で結婚式を挙げるという誓いに、そう大きな情熱を持ち得なかった。
 
今は、ガルトナーの町を離れる気になれなかった。
気丈に特務隊としての残務をこなし続けているのも、失った仲間への償いの気持ちに依る所が大きい。
そういった理由から、モウンへ向かったのは、コスチュニンとベッカムだったのだが……
 
 

 
 
「これが、ブルーアイズだと言ウノカ?」

隣りに倒れる男の止血を終え、ベッカムは訝しみながら尋ねた。
 
男は、そこに倒れている見慣れない女をブルーアイズだと言う。
確かに、次会う時は別の外見になっているだろう、と語ってはいたが……

町の一角から、獣の咆哮が聞こえる。
犯人は、未だに野放しらしい。
 
後に聞いた話だと、それが深夜の出来事であった事が不幸の始まりだったと言う。
 
対応が遅れ、致命的な被害を出す結果に繋がった、と。

 
 
武器も持たず、その女は素手でグレートホワイトゴリロに立ち向かっていったという。
確かに、ブルーアイズという女はいくらかの格闘術を習得していたそうだが……

そんな自殺行為とも言える戦いをする女ではないと、誰もが思っていた。
その最期の行動は、不可解な物だったと言える。
 
 
ともあれ、コスチュニン達はこの惨劇を報告せねばならない。
 
だから……

 
調査のためにも、その遺体を喰われる訳にはいかなかった。
 
この白い巨獣は、既にモウン衛兵の手により、かなりのダメージを受けている。

2人掛かりであればトドメを刺せるかもしれない、というのは、甘い考えだった。
瞬く間に殴り倒される。
 
既にして、ビークシングやボーンウルフの襲撃により、この町のテックハンターの拠点は失われている。
これ以上の被害を受けてはは、モウンが壊滅してしまう。
なんとかしなければならない。

思えば、特務隊の戦いとは、常にこのようなものではなかったか。
実力では抗し得ぬ圧倒的な敵に立ち向かう者達。
ベッカムは、自らのメモリー内に収められた彼らの戦いの記録から検索し、このような状況に際しての対応策を模索する。
 
「なるほド」
 
ベッカムは、モウン市内に設置された櫓の上へと駆け上がり、ハープーン砲台に着く。

町の電力を復旧しておいた事が功を奏した。
 
ハープーンが唸りを上げ、急所を一撃。

すぐに巨獣にトドメを刺し、安全を確保。
 
ブルーアイズの遺体を回収。

ガルトナーの町へと帰還する。
 
 
 

 
 
 
「そうか…… きっと……」
 
その安らかな死に顔に、クロトは何かの納得を得たのか、少しだけ微笑んだ。
そっと、死者に口づけし、立ち上がる。

 
 
僕達の戦いは終わった。
特務隊を解散します。

これからは好きに生きてくれと言うクロトに対し、町を去ろうとする者は、無論一人もいなかった。
 
ケルトン達も含めて、誰も。

クロトは何も言わなかったが、全員が理解していた。
 
自分達の存在そのものが、ある危険性を持っているのだと。

X-セル技術、及び、Z因子にまつわる知識を持った人間は全て消え去った。
 
麻薬による都市連合・ホーリーネーション・両帝国のへ汚染攻撃は、スワンプ、反奴隷主義者、浮浪忍者の同盟が継承し、これからも続けられるだろう。
 
いずれ、荒野の只中に現れる剣士が、その不敗と傾国の最中で革命の産声を上げる事もあるのかもしれないが……
 
それは、クロト達の預かり知らぬ所で行われる戦いとなるのだろう。
 
それでも、尚……
 
彼らは戦い続けなければならないだろう。
 
彼らのみが知る真相を、闇に葬るために。

この地で穏やかに暮らし、果てる。
 
人類を滅ぼし得る秘密の欠片を、後世に一片たりとも残さずに。
 
それが、彼らに課せられた最後の任務となるのだろう。
 
ガルトナーの町で、彼らの新たな人生が始まろうとしていた。

 
 
 
 < 第五部:決戦編  完 >
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

 
「大変だ!! 来てくれ! ダルパン!!」
 
雑務を一段落させ、ようやく義足の研究を始められる、と、研究台に向かったクロトが大声を上げる。

「先生と、レットと、サヴァンの連名だ……」
 
「クロト! これって……!!」
 
「ああ!」
 
『プロジェクト・キュアー』

 
世界を尚蝕み、ゾンビを生み出し続けている、残留毒素の完全中和プラン。

それどころか、ゾンビ化した人類の治療までもが可能となるかもしれない。
 
とてつもない遺産。
新たな戦いと、膨大な時間が必要となるのだろうが……
 
クロトの瞳に、希望の火が灯る。

 
 
<完?