気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-42:解明編⑥

不快な町、「奴隷市場」。
ここに長く留まる必要もなく……

一行は、更に東へ……
都市連合南部領域の首都とも言える大都市、「カタン」を目指し、出発した。


第四部:解明編⑥ カタン

ハイボーンフィールド。
化石化した古代生物の骨が散乱し、野獣の徘徊する荒野。

その道行きは決して安全ではない。
「来た! ……大きいっ!?」
「気を付けろ!あれはボーンドッグではない!」

ボーンドッグを遥かに上回る戦闘能力を持つ大型亜種、ボーンヤードウルフ。
今はこの先の町へと向かうのが優先される。
で、あるからには、味方を逃がす撤退戦となる。
「コスチュニンさん!」
「了解」
クロトとコスチュニンが迎撃に出る。

「よし…… 充分戦える!」
「警告--増援」
「っ!?」

一体のボーンウルフがクロト達の横を駆け抜け、仲間達の方に向かう。
と、同時にボーンウルフに率いられるように、無数のボーンドッグが姿を現す。

「ここは……」「吾輩達の出番であろう!」
デーリアと馬が頷き合い、ボーンドッグの群れへと突っ込んでいく。

「撃破--完了」
「あの数では皆が危ない…… 急ぎましょう!」

「デーリア殿!!」

「構わん! お前はそのまま大型種の相手を!」
「しかし!!」

「ハッハー!! デーリアの姐さん、悪ぃが邪魔するぜぇ!」
「お前達!」
「横槍を好まないのは分かっているが、捨て置ける私達でもない」
「そういう事よ!」

デーリア一人では持たないと見て、ミウ、ハムート、モムソーの前衛三名が加わり……
無事、狼の群れは片付けられた。

「まったく、意地っ張りなんだから……」
苦闘の末に毛皮と生肉をたっぷりと収穫し、先に逃した後衛と合流。
引き続き、この先の都市、カタンを目指す。

「もう、また無茶をして……」
「90点。 倒れたのはデーリアさんだけ。大勝利と言えますな」

「巨大な骨に、鉄の巨大遺物…… ホッブズさんがいたら喜んだだろうなぁ」
「この辺りならヤツも旅した事くらいはあるだろうさ」
ガッ、ザザ…… ガガ…… ザーッ
突然、砂を擦り合わせるような奇妙な音が響く。
「いずれこの地より帝国の滅びが始まるとも知らず、相変わらずこのエリアは獣ばかりか」

「コスチュニン殿が……まともに喋った?!」
 
「ボーンフィールドは人が住める場所ではないからな」
 
驚く馬を気にも留めず、コスチュニンは一人で喋り続ける。
 
「そのためのビークシング、フィッシュマン……」

「コスチュニンさん?!」「一体どうしたと言うのだ!」
「・・・・・・・・・」
「コスチュニンさん! 大丈夫ですか?!」
「意識--回復」
「えっ……?」
「まさか、今のは無意識の発言だったのか?」
「警告--前方」
コスチュニンは、いつもの喋り方に戻ると同時に前方を指差して警告する。

クロトと馬は、北西部での旅を思い出す。
コスチュニンの異変は気になるが、今はあの巨獣への対応を優先しなければなるまい。
あの時と違って、今回は大人数。 大勢で接近すれば刺激してしまう事だろう。
万が一にもアレと戦うような羽目にはなりたくない。
「とにかく、迂回して進みましょう。話はそれからです」

結局コスチュニンにも怪現象の原因は分からないようで、一行はそのまま東に向かって走り続けた。
そして……

見えた。
あれが都市連合南部領の中心部とも言える大都市、カタンだ。
つづら折りの坂道に複数の門を構えた頑強な守り。
多少の獣が押し寄せたとてビクともしない難攻不落の堅牢さを感じさせる。

「都市連合・対ゾンビ特務部隊の者です」
「ウム、通れ」

「入り口ぁ一つっきり、こりゃ~ここで悪さはできねぇな」
「沼地気分で喧嘩などふっかけず、大人しくしている事だ、モムソー」
「あんたもだぜ、ハムートのおっさん」

シノビギルド、貴族の屋敷、警察署、武器屋2軒、資材屋2軒、酒場2軒、等々……

防具屋等、足りない店舗はあるものの、設備の充実した良い町だ。
空き家も多い。
南部での活動拠点をここに設けておくのも良いかもしれない。
「では…… まずは挨拶から、ですね」

「特務隊の噂は聞いている。
 この地でも掃除屋が活動してくれるのであれば、大歓迎だよ」

イリカと名乗る侍隊長から建築許可を得る事が出来た。
「……と言う訳で、沼地から麻薬を流通させている組織の足取りを追っているのです」
「フム…… 我らも常日頃頭を悩ませているのだがな」

クロトは大雑把に話を抜粋し、対ゾンビ活動で同盟を組んで来たついでで、犯罪捜査にも協力している体で話す。
平然と、国家に対して嘘をついてみせたのだ。
「残念ながら、今の所めぼしい手掛かりは無い。
 お互い有力な情報を手に入れた場合には、協力するとしよう」
「はい。 ありがとうございます!」
国家に尽くそうとする健気な少年隊長の姿を演じる事は出来ただろうか。
何の手掛かりもないなどと白々しい事を言う侍隊長のように、この演技が見え透いていなければいいのだが。
「許可が下りました。さあ、忙しくなりますよ!」

クロト達は、廃墟と化したストームハウスを購入し、修復作業を開始。

足りない健在はマシニストの店から仕入れ……

ストームハウスが完成する。

そして、まずはベッドの設置から始め、野獣との戦闘で傷ついたクロトとデーリアの回復を行う。

カタン暮らしの初日は、そうやって始まった。
そして……

「ふぅ、流石に建築作業続きで疲れましたわね」
「誰だぁ? ヤノルスちゃんの細腕に無茶な仕事を押し付けやがったのは~!」
「新人の筋力トレーニングは通例です。 後輩に色目を使わないで頂けますか、モムソーさん」
「あ、やめて! ブロージオちゃん、そんな目で見ないで!」

拠点建築の疲れを癒やし、食料を買い込むため、一行は町の酒場を訪れていた。
勿論、本来の目的、ビッグ・ボスの手掛かりを探すのも忘れてはいない。
「食料も潤沢に流通していますし、この町は暮らしやすいですね」
「だろう? 治安もいいし喧嘩も少ない。ここに越して来て本当に良かったよ」

「あ、指名手配書、見せてもらってもいいですか?」
「兄ちゃん、出世もいいが命あっての物種。無理はするんじゃないよ。
 ま、ここらじゃ賞金首も見つからないだろうがね」
廃墟を買い取った金払いのいい若侍の噂は既に町に広まっており、店長は愛想よく応対してくれていた。
治安の良い町に安心しつつも、デーリアは油断せず、いつものように主の警護のため店内に鋭い眼差しを走らせ続けていた。

と……
「なんだ貴様。オレに言いたい事でもあるのか?」
敵意、ではない。
妙な、何か引っかかる所のある眼差しをジッとこちらに向けてくる一人の女剣士が、酒場の片隅に座っていた。
「デーリア…… 貴様、ゾムネジア患者か」

放浪の女剣士 "一匹狼" リドリィ
リドリィと名乗った女は、ため息をついて視線を伏せる。
そうか、この女のあの眼差し…… 憐憫か。
「オレの名を知っている、という事は……」
「ああ、貴様に自己紹介が必要とは、なんとも気の抜ける話だ」

「険のある言い方だな……
 仲間の皆がゾムネジアを抱える中、オレだけ無事と言う事もあるまいとは思っていたが……
 オレは、お前を怒らせるような事をしていたのか?」
「いやなに、同じ一匹狼同士、気の合う所もあったと思っていたのだが、忠節を忘れた挙げ句に随分と変わり果てたものだと……
 フッ、少々、あざ笑いたい所でね」
「……喧嘩を売っているのか?
 見た所、一人切りで荒野を彷徨う冒険家と言った風情だが、余程腕に自信があると見える」

「そうだな。熟達せざるを得なかったよ。
 我が身を守る事と、逃げ方くらいは…… お前ほどではないがな」
「オレの過去に恥ずべき所があったのであれば謝る。
 それに…… そうだな、お前のような放浪者を集めて、今のオレ達が在る。
 そちらにその気があるのであれば、どうだ? お前もオレの隊に……」

「いや、やめておこう。
 そのザマのお前とは、共に肩を並べて戦う事は出来ん。
 かつては同じ主君に使えた身。 理由は…… 分からんか?」
リドリィと名乗る女は、オレに何を訴えかけているのか。
デーリアは努めて忘れようとしたトラウマを掘り起こそうと努力する。
「オレは、主を守れず、最後まで忠義を尽くす事が出来なかった事を悔いて生きてきた。
 それ故、今の主に忠節を尽くす事を生きる意味としている。
 だが……
 ・・・・・・・・
 くっ…… これ、か……」
「フフ、そうだ。
 ゾムネジア患者ってヤツは、言われるまで気付かない」
「主の名が…… 思い出せない……?」
「その方が都合がいい。
 貴様程の忠義者が二君に仕えるのも苦痛だろう」
「では、まさか…… 生きているのか?!」
「忘れた方がいい。
 何せ、私も主を捨てて逃げる羽目になったくらいだ。
 あの子の事はもう忘れろ」
「・・・・・・・・・」

「言いたい事は分かる。
 知りたいと思わずにはいられないだろう。
 だが、それを堪えて欲しいと願わずにはいられない。
 かつての相棒の事を思えば、な……」
「忠告、感謝する」
「そう怖い顔をするな……
 私は、心底安堵したのだ。
 お前が卑劣な心でもって主を捨てたのでは無いと知って、心からな……」

「我が主は、真実を知るためにこそ命を賭ける男。
 その臣下たるオレが真実から目を背けるべきなのかどうか……
 そう悩まざるを得ないのだがな」
「ああ。
 だから、もう貴様に情報はやらん。
 それが私から貴様への友情の証だ」
「……なるほどな」
「?」
「いや、こちらの話だ。
 ありがとう、リドリィ」

用を済ませたクロトが酒場から出ていこうとしている。
デーリアはリドリィに頭を下げ、背を向けて歩きだした。
なるほど。
クロトの語る「エリス」という男が、「ピカリング」という女がそうであったように……
真の友とは、友を危険から遠ざけるたがるもの、という事か。
ならば、お前はオレの真の友であったか、リドリィ。
デーリアは、晴れぬ記憶の闇を抱えたまま、主の背中を追った。

そして、また数日の後……
「向こうから呼ばれるとはな」
「ちょっと目立ちすぎたのかもしれませんね」

馬とデーリアを入り口に残し、クロトは一人でノーブルハウスへと入っていく。
「ようこそ、少年隊長」

カタン領主 貴族 ロード・シロ
シェク族に似合わぬ痩身に、眼鏡としての機能を持ったゴーグル。
いかにも貴族、と言った風体。
「我も忙しき身。本題から入らせてもらう。
 貴公、ゾンビ仕事の傍ら、犯罪捜査にも協力しておる、とのことだな」

「はい。
 スワンプを通過して来たので、色々と厄介事に巻き込まれまして」
「率直に言おう。
 犯罪組織の捜査からは手を引くが良かろう」



「なぜ、でしょうか?」
「当方の侍隊は気位が高くてな。
 管轄を侵されたくないと言う声が出ておる」
……話が違う。 
イリカと名乗った隊長は、表面上の事とは言え協力を申し出て来たではないか。
「本当は、別の理由があるのではないでしょうか」
「ほう、それを我に尋ねようとは…… 知性故か、蛮勇か」

「僕達はスワンプで様々な組織と同盟関係を結んで来ました。
 それは対ゾンビ活動に限った同盟ではありますが、彼らも今、都市連合と事を構えたくは無いはず。
 むしろ、今現在スワンプに魔手を伸ばしているのは、ホーリーネーションの方……
 て、あれば、我が国もスワンプも、互いに捜査だ逮捕だと騒ぎを起こしたくはない、と」
「ふむ…… やはり聡明な少年であったか。
 そこまで心得ておるなら、我が意、語らずともよかろうな」
「僕は、人を探しているだけです。
 ナガタ様から受けたのも、対ソンビの任務でしかありません。
 組織犯罪を潰そうとか、そういう事は考えていません」
「よろしい。
 ……貴公は大変微妙な立ち位置にいる。
 その事を忘れなければ、目覚ましい働きに相応しい待遇も得られるであろう。
 くれぐれも、心得違いの無きようにな」

「はっ!」
「よし、下がれ」
どうやら、正しい対応を取る事が出来たようだ。
もしも違った判断をしていたならば、この見送る侍達が刀を抜いていたのだろうか。

ふぅ、とため息をつき、ノーブルハウスを退出する。
クロトは確信に至った。
都市連合への麻薬の流通ルートには、貴族が絡んでいるのだ、と。

クロト達が貴族の屋敷に召し出されている一方、ダルパン達は引き続き情報収集と食料・資材の買い出しに走り回っていた。
「95点。 この活況、なんとも良い町である事よ!」
「噂話の類も多く集まっていそうだな」

「今後ともよろしくお願いします」
「こちらこそ、大口のお客さんは大歓迎でさぁ」

手際良く買い物を済ませ、店主とのやり取りを如才なく済ませるダルパン。
内気だった少女にも、既に別働隊長としての資質が備わりつつあるようだ。
「あら、この人って……」
ダルパンは、一枚の手配書に目を留める。
「行方不明と聞いたけど…… この辺りで活動しているのかしら」
「さてねぇ、この町に出たって話は聞かないがね」
クロトのためにと、色々と話し込んで情報を得ようとしてみるが、店主も客も、手掛かりになりそうな情報は持っていないようだった。
と……
「そこのお姉さん、ちょっといいですか」

一人の女が酒場のテーブルから声を掛けて来る。
「……貴方は!」
その女性に、ヤノルスが駆け寄る。

「情報を持って来た。交代は必要か?」
「いえ、その必要はありません。
 妹さんも来ているのですか?」
「ああ」

「リリー、行くぞ」
「はい、お姉様」

浮浪忍者・南方連絡員 隠密姉妹 リラ

浮浪忍者・南方連絡員 隠密姉妹 リリー
「ひと目で変装を見破られるなんて、私達の腕もまだまだですね、お姉様」
JRPGは目立つからな……」
「もう、負けず嫌いなんだから」

「リラだ。 こちらがリリー。 よろしく頼む」
「お姉様ってば、ぶっきらぼうでクチベタだけど、根は真面目なの。
 怒らないでやってくださいね?」

リリー、リラ、ヤノルス、ブロージオ……
浮浪忍者のJRPG種の面々は積もる話もあるらしく、日暮れまで熱心に話し込んでいた。

「それで、肝心の『良い情報』とは、一体何なのでしょうか?」
「待って、ヤノルスさん。まずはクロトと合流してからにしませんか?
 大事な話であれば、尚の事……」
「そうだな……」
「隊長様へのご挨拶もしなければ、ですしね!」
クロト同様、ダルパンもまた、浮浪忍者達に完全に心を許している訳ではない。
彼女らだけで内密の話を進められては困る。
形の上だけの事であれ、誰が主君であるのか、はっきりと認識しておいてもらわなければ……
表向きはにこやかに応対しつつも、ダルパンはそう考え、彼女らを酒場から連れ出した。

リラとリリーの姉妹は、まずは余っている装備を受け取り、身なりを整え……

レーニングダミーを叩きながらクロトの帰りを待った。

「こいつら、やるな」
「ですわね」
品質の良い防具、豊富な食料、そして、「Z鋼」に特化した生産設備……
それらが、ストームハウスの中にコンパクトに詰め込まれている。
リラとリリーは特務隊の手際の良さに舌を巻いていた。

数日を掛け、特務部隊カタン支部には様々な設備が設置されており、既に立派な活動拠点として機能し始めている。
まだ未完成の部分もあるが、リラ達はその「慣れた」手際に感嘆せざるを得なかった。
そして、ロード・シロとの面通しが終わったクロトがストームハウスに戻ってくる。
「歓迎します、リラさん、リリーさん。
 早速ですが、お話、と言うのは……?」

「はい。
 そちらの女性が手配犯について聞き込みをする様子を見まして……
 お姉様が独自の判断で接触を図ったのですが」
「私は、その手配犯の居所を知っている」

「!?」
「時は来た」

「私達は、クロト様が行くべき場所へ案内する事が出来るのです」

そして、一行は東を目指して旅立つ。

クロトが会うべき相手……
指名手配犯、「酒樽のエリス」の待つ場所……

「魔境」南東に程近い、反奴隷主義者の本拠地
「スプリング」を目指して……
 
 
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります