気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-43:解明編⑦

時系列は、カタンを出発する前に戻る。
「どうかね、クロト君。 私達の探す人物像と一致していると思うのだが」
「確かに……」

「この手配犯について、何か情報はありませんか?」
クロトは店主に1000catの札束を渡し、尋ねる。
店主は額の大きさに驚きつつ、表情を改めてから口を開く。
「目撃証言はあちこちにある。けど……
 目撃証言が毎回デタラメなんだ。今では侍達も発見報告に取り合わなくなっちまってるそうでな。
 最近では、テックハンターの町でよく噂を聞くが、信憑性はどうだかね」

「なるほど……」
得心した顔でクロトはしばし沈黙し、更に500キャットを店主に押し付け、店を後にした。
「この地より東、「魔境」南東から程近い火山地帯……
 スプリングと呼ばれる町を、その男は活動拠点としています」

「そうか…… エリスは、反奴隷主義者だったって事なんだね」
「はい。私達は元々彼のような内通者を通じて都市連合領に情報網を張り巡らせていましたので……」
「行くのなら、案内する」
「勿論です。よろしくおねがいします、リラさん、リリーさん」
点と点が線に繋がって行く。
真相に辿り着くまで、そう遠くない。
クロトはそう確信しながら、逸る心を押さえきれないように、駆け足を早めていた。
ようやく、再会の時が近付いている……

目指すは、「反奴隷主義者」の本拠地、スプリング。
そして、その進路上に位置する、中継地となる町、モウンだ。

第四部:解明編⑧ モウン(前編)

「僕に任せてください!」

町を出るなりビークシングに追い回され、クロトは単身その迎撃に飛び出していく。
脅威の走行速度を誇り、硬いクチバシによる頭上からの薙ぎ払いで一定範囲内の味方全てに被害を及ぼす強敵……

だが、その動きは単調で、手練れの剣士であれば見切る事は難しくない。
クロトはこれを無傷で片付けた。
「終わりました!」
「やるな」「噂通り、素敵な隊長様ですね!」
「いえ、世の中上には上がいます。僕なんか、まだまだです。
 経験を積んで皆を守れるよう、勝てる戦いには率先して飛び込んで行くつもりで……」

「我が主よ!!」「っ!?」
「これは…… 一人では押さえきれない!」

「コスチュニン、馬、デーリア、三名で食い止めて!
 残る前衛は後衛の護衛! このまま逃げてください!
 わっ、うわぁぁっ!」
先行したクロトがスキンスパイダーに囲まれ、ボコボコに痛めつけられて行く。

「クロト殿ならそう簡単にはやられぬ! 吾輩らは落ち着いて後方に抜けさせぬよう、敵を食い止めるのだ!」
「まったくもう! 昔っから世話が焼けるんだから!」

部隊の治療を担当しているミウも前線に駆け付け、計五人でスキンスパイダーの殲滅を終える。
「いてて…… ほら、これくらいなら大丈夫だっただろ?」
「鍛えるためって言って、わざと無茶しているでしょ?
 そんなやり方だと、ダルパンちゃんに心配掛けるでしょ?
 クロトを置いて逃げるように命令するのって、すごく残酷な事なの、分かってる?」
「はは、そうだね……」

本気で心配してくれているのが分かる。
昔から、ミウはこうだった。
懐かしく、暖かな記憶。
だからこそ、辛い。
「まだまだ走れます! これ以上遭遇戦を重ねる前に、先を急ぎましょう!」

「あれが……!!」
目の前には、スケール感覚を失いそうなほど巨大なルーフ状の遺物。

気が逸るクロトは駆け出してしまう。
横倒しになった円筒形の鋼の構造物の底部に作られた都市。

結構な規模の都市と聞いているが、超巨大シリンダーのせいで小さく見えてしまう。
構造物を活かした守りに加え、開口部にはしっかりとした防壁と門。
テックハンターの領地らしい手堅い作りに見えるが……

「ぐわあぁっ!!」
誰かが襲われている。
先行したクロトは更に突出し、救出に向かう。
テックハンターがホーンヤードウルフに襲われていたようだ。

「狼の一匹くらい!」
だが、歴戦のテックハンター衛兵がただ一体のボーンウルフに敗れるはずもない。
一体を倒した所で、周辺で暴れていた狼達が集まってくる。

「世話の焼ける……」
後に続く味方のうち、足の速いグリーンが真っ先に追いつく。

既にクロトもテックハンターも倒れてしまっている。
早く傷の具合を診に駆けつけたい所だが、まずは落ち着いて一体一体撃ち倒して行かなければ。

ハムートが前衛となり、グリーンとシルバーシェイドがクロスボウを撃ち込んでいく。

やがてダルパンも追いつくと、間もなく飛び道具の火力によって獣退治を終える事が出来た。
「助かった…… 恩に着るよ」

「50点。
 堅牢な都市に見えますが、野獣の徘徊する荒野の只中にあっては都市警も大変なのですな」
「クロトは?!」
「いててて…… 大丈夫、大した傷じゃないよ」
ダルパンは気が急いて飛び出してしまったクロトの自業自得に溜息をつき、肩をすくめる。

ボーンヤードウルフの群れを仕留め、数人のテックハンターを救出。
かつては弱小集団だった特務部隊としては、悪くない出だしだ。

「すっかり日が暮れてしまいましたわね」
「出発は明日だな」
「いえ、リラさん、リリーさん、ここから遠征する事になるなら、尚の事ここでしっかりと準備をしておく必要があります。
 情報収集がてら、しばらくこの町に滞在する予定です」

「さっきやられてた衛兵で全部なのか? 大丈夫かよこの町」

正門は無人
町が無防備に正門を開いている様に、モムソーは呆れ顔になる。
「なんとまぁ…… 驚いたな」

この町を一度訪れた事があるという馬だったが、町の変わりように驚きを隠せない。
金銭で買い取られ、都市連合領からテックハンター領に変わったという事だが……
皇帝が町を手放す事を許可したのも納得だ。
建造物の殆どは既に廃墟と化しており、都市としての機能も失っているように見える。
「ま、酒場があるならメシは調達出来るか」

が、しかし……

町の発電量が足らず、その酒場すら電灯が点かず薄暗いままとなっている。
戦闘で傷ついたクロトとハムートをベッドで休ませつつ、一行はここモウンの町での情報収集を始める。

特に、事前に言い含められていたシルバーシェイドとグリーンの2人は、隊を離れてモウン内を駆け回り始める。

「昔を思い出す……」
「君も私も、スワンプ暮らしで身に付いたスキルがある。
 60点。 悪い事ばかりでは無かったのかもしれないね」

そうして、看病をダルパンに任せて、隊を指揮する事になったデーリアは、クロトの指示通り、廃墟のうち一棟を購入。
資材も不足しているらしく、自力再建を諦めていたテックハンター達は喜んで売却してくれた。

「やれやれ、資材不足のこの町では、再建するのも一苦労だな……」
「こりゃ、拠点化するってぇなると、しばらくここに留まる事になるかもしんねぇな」
「私達としては、早くスプリングまで案内したいのですが……」
「準備--待機」
「そうだな。我が主が起きてくるまで判断は保留しよう。
 今のうちに、オレ達で出来る事を済ませておこうじゃないか」

長旅の疲れを癒やす寝床を作るのにも一苦労しそうだ。
やれやれと額の汗をぬぐいつつ、一行は夜通し作業を続けていった。

「シェイ、間違いないか」「120点。間違いない」

「クロトを呼ぶか」
「ええ、頼みます。私は引き続き監視を続けますので」
グリーンがクロトを呼びに行く間、シルバーシェイドは最大限の慎重さでもって尾行を続けた。

彼の考えている通りなら、これからの一挙手一投足、その全てが今後の運命を一変させかねない。
ここまでの旅路の全てを無に帰してしまわないためにも、ツインブレード時代に身に付けた技術の全てを使い、気配を絶ち、追跡を続ける。
それは、ブラックシフターで狙撃手を続けていたグリーンとて同じ事。
完璧な忍び足で、再びシルバーシェイドに合流する。
「クロトらしい……」「35点! 無謀すぎる!」

2人が物陰で溜息をつくのも当然。
クロトは堂々と正面に回り込み、すれ違いざまに……
小さく、だが、はっきりとした声で女に告げる。

「ブルーアイズ、見つけたよ」

動揺もせず、逃げ出しもせず、女はクロトを無視して歩き続ける。
「俺がブルーアイズ? お尋ね者の詐欺師の? 
 証拠は?」
「いくら見た目を変えたって、酔っ払って大声で自慢話をしていたら、声を知っている者には分かるものさ。
 でも、僕が用があるのは、詐欺師のブルーアイズにじゃない」

ビッグ・ボス。
 僕をここに導いたのは、他ならぬ君自身じゃないか?」
「・・・・・・・・」

「なぜ、俺をそう呼ぶ?」
「君の手配書を見て、幾つもの違和感を感じた」

「何を偽造した?
 誰を恐喝した?
 何を密輸した?
 100万キャットもの大金を何に使った?
 都市連合が総力を上げても追跡不能の変装とは一体?
 なぜ人種すら一定していない?」
「詐欺で稼いだ大金は、スワンプを牛耳り、麻薬製造・密売のルート構築するために使ったんだろう。
 人種すら変えてしまう追跡不能の変装…… それは、モムソーやミウに施した物と同じ、ドクター・チュンの整形手術だろう。
 麻薬を密輸し、貴族を堕落させ、その弱みを握って恐喝する一方、自らはスワンプに君臨する事なくここでこうして安酒を飲んでいる。
 稼いだ大金を私利私欲のために使わず、ひっそりと廃墟の町から謀略を巡らせる天才的な犯罪組織の黒幕……
 浮浪忍者や反奴隷主義者と手を結び、工作員を世界中に送り込んでいるからこそ出来る事だ」
「たった一人でよくここまでのし上がったものだと、心の底から敬服するよ……
 最初にツインブレードに匿われてから以降、ハウンズを操り、スワンプに新時代をもたらすまで、そう長い時を要さなかった。
 元から存在した組織のパイプを活用し、あっという間に麻薬によって都市連合をもコントロール。スワンプの支配はより強固な物になった。
 そして君はスワンプを楽園と呼び、自慢げに痕跡を残すに至る。
 まるで誰かに見つけてほしがっているように」

「フン、いい推理だ。
 よくここまで辿り着けたな、と言いたい所だが……」
「ああ。君は痕跡を残し過ぎている。
 カタンの酒場のマスターまで噂話をしているくらいだからね」

「目撃証言はあちこちにある。けど……
 目撃証言が毎回デタラメなんだ。今では侍達も発見報告に取り合わなくなっちまってるそうでな。
 最近では、テックハンターの町でよく噂を聞くが、信憑性はどうだかね」


「ここいらでテックハンターの町と言えば、モウンかフラットラグーンだろう?
 後は、手配書に書いてある通り、耳を使って捜査すれば、ね」
「お前達なら、ドクター・チュンの手術で変装していると察しが付けられ、声も知っている。
 で、秘伝の特殊手術を何度も受けられるような立場にいる俺こそ、ツインブレードの上にいるビッグ・ボスだ、と?」
「ツインブレードを通してヒントを出すのはまだいいとして……
 毎晩のように酔っ払って密輸自慢をしているそうじゃないか。
 流石に、調子に乗りすぎなんじゃないか?」
「ハッ!! 確かに、俺に目星を付けて来た連中は何人かいたがね!」

「どこに麻薬を持っている? って、パンツまで脱いで見せつけてやったさ!
 金だって飲み代しか持っちゃいねぇから、逮捕なんざ出来やしねえ。
 俺をお尋ね者扱いしてくれたお礼はたっぷりしてやんよ、つって凄んでやりゃあ……」

「赤くなったり青くなったり、まったくありゃ傑作だったね! クァッハハハハ!!」
「自分の手は汚さず、遠方から連絡員に指示を出すだけ……
 それで世界の半分を牛耳ってしまいつつあるんだから……
 それも、こんなにも早く、見事な手際で!
 「天才」って言わざるを得ないね。やっぱり」
「ああ。 帝国に流通する麻薬の半分は、俺が持ち込ませたモンだ。
 誰にも正体を暴かれず、ビッグ・ボスは暗躍を続けていたのさ」

「で、だ。
 クロト、お前はその天才・ビッグ・ボスを見つけて、何をどうしようって言うんだい?」
「決まってるじゃないか」
「何がだい? 聞かせてもらおうか、坊や」

「君と結婚するのさ レット」

「やっと見つけたよ…… ドッグレット」

「・・・・・・・・・」
「約束の2年はとっくに過ぎてるじゃない……
 遅いのよ、クロト……」
 
 
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります