気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-41:解明編⑤

スワンプを出て、ビッグボスを探す。
方針はそう決まったが……
だからと言って、どこに行けばいい、という具体的な手掛かりは無い。
あちこち思い当たる節を当たって回る長い旅になるだろう。
クロト達は一旦シャークの町で旅支度を整える事とする。


第四部:解明編⑤ シャーク~市場

と、シャークの町に設置した研究台に、スクインの特務隊からのメッセージが送られていた。

『研究はここまでが限界のようです。
 これ以上の成果を求めるなら、FD型バイオセルのサンプルが必要となります』
「FD型……? なんの事だか吾輩達にはさっぱりだが」
古代文明において食料として用いられた、栄養カプセル……だったかな」
こんなことなら、もっと真面目にドクターの講義を受けておくんだった。
「バイオセル…… テックハンターさん達が、たまに持ち帰っている、あれの事でしょうか?」
「知っているんですか? ヤノルスさん」

「古代の栄養糧食、と呼ばれている物ですね?
 聞いた話では、南東の遺跡群でしか見つからないとか……」
ケルトンを自分の手で一から作り出すと言う、ドクター・チュン、カリヴァン先生、領主ダウレットの夢。
その技術レベルは…… 確か、レベル7、とか、言っていたか。
今、特務隊の有している研究台に表示されているレベルは5。
皆の義肢を更に品質の良い物へと換えるためにも、いつかはスケルトンと同等の義手・義足を自作出来るまでにはなりたいものだが、今はまだ、遥かに届かぬ高みか。
いつか父を超えると豪語していたドッグレット……
その夢を追うかのようにして、いつの間にかマシニストへの道を歩んでいたが……
そろそろ、ここらが潮時だろう。
どこかの町に拠点を構えて研究に専念などしてはいられない。
「スクインの皆さんには引き続き防具製造を続けてもらうとして、僕達は僕達の為すべき事に集中しましょう。
 僕達の目的は南東にはありません」
「では、何処へ?」
「それなんですよね……」

隊長として部下を率いる。
そう決心した直後だと言うのに、なんとも情けない事だ。
……いや、ここは小さな可能性でも、ノープランのまま皆に知恵をねだるべき場面ではない。
「モムソーさん。貴方はグレイフレーヤーの方達とは縁が深いんですよね?」
「おう。ボスのビッグ・グレイの兄貴とは昔っから、共にハッシュの親分のために働いてたからな」

「では、ツインブレードから手掛かりがもらえたように、グレイフレーヤーからも何かを掴めないかどうか、当たってみてはもらえないでしょうか」
「いいのかい? 復讐鬼の俺にビッグボス探しを任せちまって」
「貴方が僕を信じてついて来てくれたように、僕もモムソーさんを信じます。
 それに……
 万が一、貴方がビッグボスを刺し殺したとして、それが悪い事なのかどうか、僕にだって断言はできませんから」
そう。 彼らの言う「仁義」が、今のスワンプには存在しない。
悪しき権力者から奪い取った財産を貧者に施すだけの仁義が、かつてのスワンプにはあったと言う。
求め続けて来た真実の答えを永遠に失う事になったとしても、ビッグボスの抹殺には意義があるのかもしれないのだ。
ビッグ・アルを抹殺してストーンラットを壊滅させたように、一人の悪党の死によって世界がより良い場所になるのであれば……
「いえ、忘れてください。
 可能な限り、人間同士の殺し合いは避ける事…… この基本は変わりません」
「へへ、そうでなくちゃな。
 そんな甘ちゃん隊長さんだからこそ、ここは居心地がいいんだぜ」

「我が主に対し、口が過ぎるぞモムソー」
「なーに言ってんだか! デーリアの姉ちゃんだって隊長さんにゃ坊や隊長でいて欲しいクセに!
 ミートラップ食ってニコニコ笑顔のクロトん顔見てる時のお前さんと来たら…… あのふにゃけた顔! 見れたモンじゃなかったぜぇ?」
「よーし、いいだろうモムソー。ズボンを脱げ。
 お前を「角なし」にしてやる」
「ヒャッハハハ! 勘弁勘弁!!」

そうだな。
こうして子供扱いしてくれる事に、僕は感謝しなければならない。
まだまだ立派な侍隊長としてやって行くだけの自信なんて無い。
坊や隊長らしく、皆に助けられながら、出来るだけの事を続けていくしかないだろう。
ピイィィィィィィィィィィーーーーーーッ!!!
けたたましく響く警告の笛の音。

ゾンビの襲撃だ。
「シェク型ゾンビは可能な限り射撃班に任せて! ソルジャー型は僕達前衛が相手します!
 手足を痛めた場合は、すぐさま後退! これだけは守ってください!
 後は…… 敵中に孤立する味方の救助を優先しつつ、各個でゾンビを駆逐してください!」
「おお!」「了解」「任せるがいい!」
「対ゾンビ特務部隊、出動!!」

「ハァ、ハァ、ハァ……」
「勝った、の、ですか……? すご、い……」

「フフ、以前のオレ達ならこうはいかなかったがな。
 どうだ、我が主とその配下の侍達は。なかなかのものだろう」

まだ何体かのゾンビは活動しているが、半壊状態で共食いをしている個体が残っているだけ。
深手を負って寝ているのは2名のみ。犠牲者は市民から1名出たのみ。
無傷ではないが…… 大勝利と言っていいだろう。
今回の襲撃の規模は、過去最大だったかもしれない。
何体ものシェク型ゾンビを含む、特異体に率いられた大軍団だった。
その特異体ですら……

居合わせたスワンパー衛兵が一人共闘してくれたとは言え、ハムートとシルバーシェイドが、たった2名で倒してしまった。
「戦って、勝つ。 我々は、いつの間にこんな力を……
 クロト君、私は君に感謝したい…… まさかこんな日が来ようとは」
「力を合わせれば、僕達は生き残れるんです。
 勝てるんです。
 それを、世界中に知ってもらいたい……」
小さくつぶやくクロトを、ハムートは満足げに見守る。

それは、「いつの日かこの少年も貴族と戦う運命にある」と確信する、含み笑いではあったが……

「多分、グレイの兄貴と話がついたらもう、当分スワンプには戻れねーと思うが……」
「僕達が不在の間は同盟派閥の皆さんで好きに使ってもらえるように言ってあります。
 ここが勝手に野盗のアジトにされる事は無いから、心配ありませんよ」

「貴方こそ、いいんですか? モムソーさん……」
「ん? おお。 気をつかわせてすまねぇな、ダルパンちゃん。
 いっそ、今はスワンプを離れた方が俺のタメにもなるんじゃねーかって事で……
 別にいいのさ。 気にすんな!」

そう言うモムソーは、少し無理をしているような表情だった。
「俺の事より、こんなトコに長居している方がミウちゃんやハムートのおっさんには良くねーだろ。
 あまりいい思い出がある場所でもねぇだろ?」
「あら、それこそ余計なお世話よ」
ミウは笑い飛ばしているが……
最近、ミウの口数が少ないのが気になる。
町の周辺をウロついているブラッドスパイダーのせいもあるのだろうが……
「ここに留まる用もありません。 行きましょう!」
クロトは隊に指示を出し、仮拠点の資材を運び出して行く。
自分も、いつの間にか必要以上に引きずり込まれていたかもしれない。
スワンプの派閥闘争にこれ以上関わるべきではない。
そろそろ、出発しよう。

一行は沼地を北東に向かい、グレイフレーヤーの村を目指す。

「お騒がせしてすみません」
「なに、今やお前達は兄弟なのだ。気にするな」

道中、戦闘訓練代わりに、とラプターを相手に一戦交えていたのだが、通りがかったグレイフレーヤーの援護を受けるという場面もあった。
そう、今では彼らは同盟者。
同盟領であるグレイフレーヤー村は、補給・回復の拠点ともなる。

部隊の面々が戦闘で受けた浅い傷を治療している間、モムソーとクロトはグレイフレーヤーのボス、ビッグ・グレイとの面会に向かう。
「って事で、俺達特務隊はビッグ・ボスの行方を追う事になった」

周囲にグレイの部下がいない事を確かめ、モムソーとクロトはグレイに全てを打ち明けた。
リスクを伴う行動ではあったが、小細工を排して相手を信じる事こそクロトの外交術。
同盟相手の判断に委ね、返答を待つ。
「確かに、俺達旧クラン派の全員が全員、グリムと、その裏にいるビッグ・ボスの事は好ましく思ってねぇ。
 だがな……」

「ビッグボスの出現以降、金、食料、各種施設、全てが上手く回り始めたってのは確かだ。
 ボスに反旗を翻すってトコまでは踏ん切りがつかねぇってのが正直な所よ。
 グリムを始末しろって話なら喜んで乗るがな」
「ってぇ事は……」
「ビッグ・ボスを暗殺するためじゃねえのなら、協力は出来る。
 まぁ、俺達もボスの居所を掴んでいるワケじゃねえがな……」
「ありがてぇ!!」
「ハウンズ、ツインブレード、浮浪忍者の連中が盛んに連絡員を行き来させているのは、スワンプから南東の都市群。
 ボスが都市に拠点を構えているかどうかはともかくとして、手掛かりを求めるなら、まずはカタン辺りの大都市から当たるのが正攻法だろうぜ」

「あー…… あの胸糞悪ィお綺麗な町なら、そういった噂には敏感になってそうだしな」
「そう言うこった。 
 手掛かりらしい手掛かりを出せなくてスマンが、人探しなら酒場で噂話を集めるのが王道ってモンだろうぜ」
「なるほど…… 勉強になりました、ビッグ・グレイ!」
「おう。 俺もお前らみてぇな若い世代には期待してんだ。
 生きて戻って、面白ぇ土産話を持って来な。
 ゾンビなんぞに殺られんじゃねぇぞ」

「うっす!」「ありがとうございました!」
連絡員が盛んに行き来しているのは、北方のシェク~ホーリーネーション方面でも、東方の大砂漠方面でも、南西のクラウンステディ~ドリフターズラスト方面でもなく、南東の都市連合領か……
荒れ果てた北方、越えるのが難しい東方、田舎の南西、と比べて、南東の大都市に人が集まるのは、言われてみれば当たり前の事ではあるが、クロトには浮浪忍者が行き来している、という点が引っかかっていた。
ホーリーネーションに対する反乱組織である浮浪忍者が、遥か遠くの都市連合主要都市にまで連絡員を送り込み続けているのは、なぜか……
蜘蛛の巣のように細く広く拡がった網の糸を辿れば、何かしら、手掛かりとなる物に辿り着けるのではないか、と、そう思えた。
特務隊一行は、まずスワンプから最も近い位置にある都市連合領の都市に向け、沼地を南下していった。

蜘蛛と戦いながら、崩れ落ちた遺跡を通り抜け……
かつてストーンラットの村だった場所を経由し、更に南へと向かう。

「ちゃっかりしてるわね、ハウンズ」
「100点。 お見事。
 労せず村一つを手に入れたと言う事ですか」

ストーンラットの村は、今やハウンズの占領下にある。
外部の人間に攻撃させる事により、ハウンズは下部組織と争う事なく直轄領を手に入れる事が出来たというワケだ。
「ハウンズが占領したと言う事であれば、我輩達にとっても「使える宿場」が一つ増えたと言う事だろうよ」
「気には食わんが、オレ達にとっても悪い話ではない、か……」

ほぼ無傷の一行は、宿を借りる事なくそのまま村を素通り。
スワンプ地域を抜けるコースを取る。

「おお、しばらくぶりの青空!」「湿度--低下」

沼地を抜け、都市連合領へと入った。

ここまでくれば、目指す最初の目的地は、もうすぐだ。
「立ち寄って、いいんですね?」
「構わないわ。クロトと一緒なら、奴らなんて怖くない」「うむ……」

奴隷市場 スレイブマーケット それが、この町の名。
かつて、ミウとハムートが過酷な奴隷生活を強いられていた町。
都市連合の闇を体現しているかのような、人身売買で成り立っている場所だ。
ミウ達にとってトラウマとなっているであろうこの町に立ち寄らず、先にカタンに向かう事も提案したが、ミウもハムートも反対した。
ビッグ・ボスを探すなら、拾える情報は全て拾っていくべきだ、と。
確かに、そうだ。
人身売買の町……
つまりは、ツインブレードと接点があると考えられる町だ。
この社会の闇を体現した町であれば、何らかの手掛かりがある可能性は高い。

「っ…… あぁぁ…… うらあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ハムート!?」

ハムートが雄叫びを上げ、突進して行く。
「おい! 待て! おっさん!! クソッ…… 心配が当たっちまった!」
復讐の時来たれり。
奴隷商人達にハムートが天誅を下す。
そして、特務部隊は都市連合から敵対組織と見なされ、晴れて反奴隷組織としてハムートの望む立ち位置へと……
「待てっ! おっさん!!」
させねえ、と、モムソーは必死にハムートの腕を引き、止めようとするが……

「ダメ! 私達は、まだ!!」
ガシャ、と、兜のひしゃげる音がした。

「クッソ!! そういう事かよ! すまねぇおっさん、勘違いした!」
ハムートは誰よりも早くゾンビの大群に気付き、迎撃に向かっていた。
だが、一人でシェクゾンビに立ち向かう無謀さに、ミウがハムートを止めに入り……
そういう事だった。

ミウが頭をやられた! 死んじゃいねぇが、ここじゃ危なねぇ!」
「オレが運ぶ! お前達はしばし前線で持ちこたえてくれ!
 すぐに我が主が射撃部隊を指揮して加勢する!」
クロト、コスチュニン、馬、の前衛組がシェクゾンビ2体を食い止め、その隙に射撃部隊が体勢を整え、奴隷市の衛兵も駆け付け始める。

迎撃戦は有利に運んでいる。
気に食わない連中ではあるが、衛兵が駆けつければ数の不利で押し切られる事もない。
初動対応としては満点だった。
が……
第一波に混ざるようにしての、第二波の出現。

「ハムート! 無茶をするな!!」
「ハムートおぉぉぉぉぉぉ!!!」


『見知った顔、だったので、な……』
後に、ハムートはそう語った。
ハムートは、倒れたゾンビの兜を外す。

「おい、おっさん、バケツ兜は酸性雨対策になるっつっても、もう充分数は……」

「見間違えるものか……」

「兜を被っていようと、変わり果てた姿だろうと、私にはすぐに分かったよ」

ハムートは、一体のゾンビを担ぎ上げると、そのまま呆然と立ち尽くす。

「ハムート、落ち着いて。
 お願い。 深呼吸して、私を見て!
 聞こえてる、ハムート?!」

「こんな掃き溜めの中に置いてはおけない……だろ?
 私の、妻なんだから、な……」

「いいの?」
「このまま別れる事になっても、それは仕方のない事だと思うから……」

あるいは、ハムートが暴走し、都市連合と敵対する結果となっても、それはそれで構わない……と、クロトはそこまで考えていた。
(こんな最低の町を守って、傷ついて……
 ハムートさん、貴方は優しすぎる……)

妻の亡骸を葬るべく、夜闇に消えて行くハムートを見送り、クロトは防衛戦で傷ついた仲間達を2軒の宿に振り分けて休ませて行く。
ハムートを待つ間、本来の目的を果たしておく事にする。

「スワンプからの連絡員が行く先、ねぇ……」「お礼は弾みますよ」
クロトがキャットの束が詰まった袋をポンポンと叩いて見せると、店長の目の色が変わるが……
「あいにく、兄ちゃんの探してるようなヤツも、場所も、ここでは見つからないだろうね。
 この町はなんたってお貴族様の目が厳しい。
 もっぱら、酒場で連絡員同士が密書のやり取りをするばかりさ」
「そうですか……」
クロトは店長にチップとしては高額過ぎる紙幣を手渡すと、食料を買い足し、カウンター脇の手配書に目をやるる

(ビッグ・グレイの手配書…… じゃないな。
 オールド・グレイ。 反奴隷主義者の幹部か)
スワンプの犯罪組織こそ厳しく取り締まらなければならない土地柄のはずだが、スワンプの首領達に対する指名手配は見当たらない。
麻薬密売組織も、奴隷解放組織も、いずれも都市連合の掲げる秩序を破壊する敵であるはずだが……
彼らが一方のみを敵と考えている事が見て取れる。
(ん……?)
苦笑するクロト。
(僕は今、都市連合を「他国」と考えていたな……)
今では、その都市連合の「敵」が、僕達を兄弟と呼んでいる。
本当に、このままでいいのか……?

もう一件の酒場には、シルバーシェイドが向かっていた。

「って事で、この町はそういった裏取引には向いちゃいないのさ」
「90点。 分かる話です。 情報に感謝しますよ、店長」
クロト同様、謝礼を渡して食料を買い足すと、手配書を確認するシルバーシェイド。
「ああ、そいつな。 南東で最近勢力を伸ばしてるってヤバイ連中さ。
 なんとかお侍さん達に退治してもらえないもんかねぇ……」

(これが、ミストグールと勘違いされていた、皮を剥ぐ亡霊の正体?
 30点。 いえ、今気にすべき事ではありませんでしたね……)

翌朝。
2軒の酒場に分かれて休んでいた部隊を合流させるが……
ミウとハムートの姿が見えない。

「こっちだ! 我が主よ!!」
ハムートは、ずっと戦い続けていた。
夜を通してゾンビの第二波を倒し続け、日が昇っても尚、敵の第三波と戦い続けていた。

「っ!!」 
ハムートが気合と共にゾンビを斬り伏せて行く中、味方の誤射と思わしき弾丸に倒れた奴隷市の衛兵の姿が彼の目に留まる。

ハムートは、一瞬ビクンと身を硬くする。
あるいは、かつてこの町で奴隷として働いていた際に見知った顔か。
ハムートは、黙ったまま、その衛兵の治療を始める。

今、人類同士で殺し合っている場合ではない。
その状況を端的に示すのが、今まさにこの現場ではないか。
「ハムート…… お前の根性、中々のものではないか」

そんなハムートの様子を見つめていたデーリアは、刀を握る手に力を込める。
「ハムートと衛兵を援護する! ここからはオレ達の見せ場だ!!」
「まさか、お前に助けられる日が来るとはな」
「何の事だ」
「ヘッ、そうだな。そんな兜被ってちゃ、誰だか分からねぇや!」

この町の砲兵が手練揃いである事は、身を持ってよく知っている。
ハムートが奮戦せずとも、あるいはこの町は耐え抜いたのかもしれない。
だが……
町に着くなり目にしてしまった、あのシェクゾンビの顔……
ハムートが率いた反乱の構成員。
かつての仲間達。
自分が無謀な反乱など起こさなければ、奴隷としてまだ生きていられたかもしれない者達。
その始末は、自身の手でつけなければならない、と……
そう思った。
「危ない!! ハムートさんっ!!」

長刀一閃。
ゾンビを倒し終え、気を緩めたハムートの隙を狙う忍者を、クロトが仕留める。
「スワンプ忍者?!」
「油断するな! まだ戦いは終わって……うぐっ!」

「舐めるな! このオレをそんなつまようじで止められると思ったか!!」

(ゾンビの襲撃が終わる頃合いを狙って、少数で暗殺を試みた……?)
タイミングは完璧だったが、いかんせん実力が足りなかったようだ。
いや…… 
3波に分かれたゾンビの襲撃の連続に、スワンプ忍者の奇襲。
かつての、貧弱なステイヤーばかりの部隊だったあの頃だったなら、これで充分だったのかもしれない。
「まるで、僕達が一戦終えて寝ている隙を狙ったかのような第三波……」
「その戦いに巻き込まれないような、漁夫の利を狙う忍者の襲撃……
 我が主よ、これは良からぬ企みか」
「かも、しれませんね」
張り巡らされた糸を辿る旅。
その一歩目としては悪くない。
来るなら来い。
お前達がボロを出すまで、戦い抜いてやる。
クロトは、そう決意していた。

「もう大事無いか」
「ああ…… 済まない……
 私が勝手をしなければ、もう少し早く出発出来たかもしれない」
「なに、ハムート殿にとって、決着をつけねばならぬ事であったのだろう?
 吾輩は、友の勇戦を誇らしく思うだけの事よ……」

深手を負ったメンバーが回復を終える頃には、すっかり夜になってしまっていた。

ミウとハムートにとって、悪夢でしかない町。
先を急ぐ事とする。
次なる目的地は、ここより東、大都市カタンだ。
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります