気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-38:解明編②

ホーリーネーションでの敗戦後、スクインの町で体勢を立て直したクロト達一行。

ホワイト隊に新人2名を預けた後……

彼らは再びスワンプに向けて旅立った。
行方不明となったドクター・チュンを探すため…… マッドタウンを目指して。

第四部:解明編② スワンプ村 ~ マッドタウン ~ シャーク

スクインからスワンプへはそう遠くない。
南下してほどなく沼地となる。
「痛ててて…… ちっくしょーめ! 俺とした事が、油断しちまった!」

沼地暮らしの長いモムソーですら意表を突かれたのも仕方がない。
まさか、泥水の中からゾンビが襲って来ようとは。
一行は思わぬ遭遇戦で手痛いダメージをもらったものの……
まず最初の目的地である「スワンプ村」、エノ村へと辿り着いた。

この村に来るのは初めてではない。
確か、傷を癒やし、休めるだけの宿はこの村には無かったはず……
ならば、寝床は作ればいい。



「転換の日以来、人死にが多くてな。
 随分と空き家が増えてしまったよ」
スワンパー達はそう言って、売出し中の小屋へと案内してくれた。

ベッドを作り、寝袋を敷き、沼地でゾンビと戦った際の傷を癒やす。

「噂は聞いてるぜ、特務隊。
 見張りはしといてやるから、ゆっくり休んで行くといい」

トロールの衛士が小屋の入り口に据え付けられた銃座に着き、警備をしてくれている。
あちこちに据え付けられた砲座は村の共有物らしく、常時誰かしらが砲を構え、周囲を警戒し続けている。
相変わらず、よく訓練されている衛兵達だ。
クロト達は安心してゆっくりと眠る事が出来た。

翌日。
「出たな! 我らが怨敵め!」「また背後からとは、卑怯な!」

地形を使って背後から不意を突いて来たのは、ダルパンの足の一件で恨みある敵、「スワンプ忍者」だった。
だが、クロト隊はあの時よりずっと強くなっている。
奇襲を受けて尚、堂々と渡り合い、勝利する事が出来た。

「それでも、治療はするのですね」
「せめて、止血くらいは…… 僕達に余裕があるうちは、ね」
強くなったからこそ、慈悲を示せる。
強き者が弱者を救ってこそ、世界は平和になる。
成長を通じ、クロトにもそれがなんとなく分かってきた。
信念や思想的なものではなく、それはまだぼんやりとした正義感ではあったが。
スワンプ村を出て、東へ。
相変わらずゲタが泥水を跳ね上げる不快な土地。
この粘ついた臭い泥に覆われたエリアの先に……

見えてきた。
ダルパンの故郷。ツインブレードの本拠地、「マッドタウン」だ。

「しばらくぶりにお目にかかります。 都市連合・特務部隊、クロト隊の者です」
「おお、ゾンビの始末屋の連中か。 いつぞやは世話になったな」

共にゾンビの襲撃を乗り切った時の事を覚えていてくれたらしく、クロト達は顔パスで村に入る事が出来た。
勝ったとは言え、スワンプ忍者との戦いで受けたダメージは大きい。
まずはゆっくりと宿で怪我人を休ませる。

その後は……
「ダルパン。僕一人で行こうと思うんだ」
「どうして……? こんな怪我、すぐ治るんだから、待っててくれれば……」
「いや、そうじゃなくて……」

「あの人は、君のお父さんなんだろう?
 娘をダシに使って説得しようって言うのは、誠実じゃないと思うから、ね……」
「それもそう、ですね…… 分かりました……
 くれぐれも気を付けて、ね?」
「喧嘩を売るような事はしないさ。
 まずは、君を怪我させた事を謝る所から始めるよ」
それで斬りつけられる事になっても、それは甘んじて受けるべき報いだ。
僕は、彼女を守りきれなかったのだから……

「で、連中はどうした」
「襲撃者8名のうち、3名が死亡。5人は……連中の治療を受け、生存しています」

「フン、腕は上げたようだが、相変わらず甘い事だ」

「そうは思わんか? 少年」
「・・・・・・・・」

格好からすると、グレイフレーヤー出の傭兵らしい男から、トルチャは報告を受けていた。
丁度、接近しつつあったクロト達の調査を依頼していた男から報告を受けていた所だったようだ。
「まさか、そちらからノコノコと顔を出して来るとはな」
「ダルパンさんの事…… 本当に、すみませんでした。
 もっと僕が強ければ、もっと奇襲を警戒出来ていれば、あんな事には……」
「そうじゃない、だろう?」

「えっ……?」
「それを言いに来たのではなかろう、少年」
「確かに…… そうです……」

「僕達は、行方不明になったドクター・チュンを探して、ここまで来ました。
 先生の過去を知っていて、それを隠している貴方達ならば、この件について何か知っているのではないか、と」
「歯痒いな。もっとハッキリ言うと良かろうに」
「そう生意気な態度を取って虚勢を張る資格は、僕には無いですから……」
「娘の事は気にしなくとも良い。
 お陰でスワンプ忍者と敵対しやすくなって助かっているくらいだ」
その口調に感情は籠もっていない。こちらを威圧する冷たさも無い。
本心からそう言っているのか。
それならば…… 恐縮してみせる卑屈さもまた、誠意とは言えないか。
クロトは意を決して口を開く。
「ドクターをさらったのは、貴方達なのでしょうか?」

「そうだ」

「我らツインブレードが刺客を送り込み、記憶の復活を確認した時点で拉致した。
 影に陽に、我らの目はいつもお前達を見ていた。
 無論、あのエリーコという娘が我らの刺客。
 ……いや、刺客と言う言葉も当てはまらない。
 なぜなら、脅す必要も攫う必要も無かったのだからな。
 ドクターは、自ら此方へ戻って来たのだ」
「では、先生は僕達の所に戻る気が無い、と……?」
「そうだ」
「これ以上、何も話してはもらえないのでしょうか?」
「そうだ……と言いたい所だが」
「が?」
「浮浪忍者達とは既に同盟関係にあり、情報も共有している。
 その一方でお前達を蚊帳の外に置く、というのは如何にも理不尽。
 そのような扱いはかえって敵愾心を煽るというもの。
 中途半端に嗅ぎ回られるよりは、身内とする方がより得策、と、そう考えておられる方もいるのでな」
彼が敬語で語る相手、となれば……
「ツインブレードのボス、ですか」
「そうだ」
ダルパンの父、ツインブレード幹部・トルチャは、なぐり書きのメモを手渡し、村の一角に向かうよう指示した。
これで真実に一歩近付ける……
クロトは深く頭を下げ、礼を言い、去っていった。

「お前達のような連中は嫌いじゃない。
 娘を嫁がせるなら、陽の当たる生き方をさせたい。
 俺だって、それくらいは思っているがな……」
誰に聞かせるでもなく、小さな声でトルチャは呟いた。

泥沼に棹さす形で建てられた、小さな小屋。
なるほど、これは上手い手だ。
一般家屋と見分けがつかないこう言った家を「本部」とすれば、おいそれと襲撃を受ける事も無い。

後でモムソーから聞いた話では、スワンプではよくある事、らしいが……
「失礼します」
「おお、待っておったよ」

ツインブレード首領 ビッグ・ファング

「クロト君。
 君が何を知りたがっているのか、私はそれを、君自身より深く知っている」
「・・・・・・・」
「その前に、君は為すべき事を為さねばならん」

「為すべき事、とは……?」
「我らと同盟を結び、真実の一端に近づきたいと言うのなら、請けざるを得んぞ」
「伺いましょう」
「ストーンラットの村に赴き、奴らの首領、ビッグ・アルを始末するのだ」

「ストーンラットの、ボス……?」
聞いたことがある。
このスワンプの地では、幾つもの派閥が闇に蠢き、虎視眈々と均衡を崩す隙を伺っていると言う。
その勢力争いの一角を担うのが、ミウやモムソー達の言う所の「チンケな組織」、ストーンラットだ。
そのボスを、部外者の手で暗殺させようというのか。
「都市連合の人間がスワンプの組織の首領を殺して、問題は起きないのですか?」
「起きんように、既に話はついているのだよ」
平然と無表情でそう言ってのけるファングに、クロトは慄然とせざるを得ない。
スワンプを牛耳る闇社会の間では、既にクロト達がストーンラットを攻撃する事は既定事項なのだ。
「人類同志が争っている場合ではない。 ゾンビと戦うために皆手を組んで当たるべきだ。
 と、君達はそう言いたいのであろうが…… なに、気に病む事はない。
 奴らは心底唾棄すべき人間のクズどもだ。遠慮なく刀を振るうといい」
「そ、そうは言われてもですね……」
人の臓器を抜いて売り捌く犯罪組織にそう言われても、と、クロトはどうしてもそう思わざるを得ない。
「侍からすれば、「解体屋」風情が何を言うか、と言った所だろうね。
 我々にも守るべき仁義と言う物がある。 だが、奴らは……」
そこで、ファングは一度言葉を切った。
「……いや、実際見てもらった方が早かろう。
 シャークの町に着いたら、酒場へ……
 一人で、ダンシングスケルトンに行ってみるといい。
 私の言葉の意味する所が、君にもすぐに分かるだろう」
そう言って、クククと含み笑いをするビッグ・ファング。
一人で、か。
なるほど。 これは、試されている……という事か。
「分かりました。
 暗殺を請け負う事に、はいと即答は出来ませんが……」

「ああ。 存分に仲間と話し合うといい」
そう言って、ファングはクロトに退出を促す。
ひとまずはシャークの町に向かう事を約束し、一礼してその場を辞した。

「……と、言う訳なんだ」
「それで、我が主はそのように苦虫を噛み潰したような顔をしている訳なのだな」

断れない形でクロトに暗殺を依頼する。
それがどれだけ彼にとって重荷となるか、長く旅を共にしてきた者ほどそれがよく分かる。
「一ついいか」
そう言って身を乗り出してきたのは、モムソーだった。
「奴らストーンラットは正真正銘、クズだぜ。
 それは、よくミウちゃんもハムートのおっさんも知ってるだろ」
「そうね」「ああ」
「奴らと戦えと言われれば、私なら喜んで手を貸すわ。
 でも…… だからと言って、率先して人間に対して攻撃を仕掛けたくないってクロトの気持ちも分かるけどね」
一年ほどスワンプで暮らしていたミウにとっても、ストーンラットと言う組織はそのように映っていたのか。
温厚なはずの彼女もまた、眉根を寄せた複雑な表情をしている。
「で、ファングの兄貴は、守るべき仁義がある、って、そう言ったんだな?」
「はい、モムソーさん」
「へへっ、なら…… シャークの後でもう一箇所、寄る所があるな」
そう言ってニヤリと笑うモムソー。
その顔は、滅多に無いほど嬉しそうなものだった。
「じゃ、まずはシャークに行こうぜ、クロトのあんちゃん!
 ビッグ・ファングの言う通り、石鼠の連中がどんな奴らかってぇのは、自分の目で確かめておくべきだろ?」
「そうですね…… 確かに」
スワンプの犯罪社会の裏に存在する、暗黙の理。
それを知らないクロトからすると、勝手に話が進んでいるようで、上手く乗せられているという思いは消えないが……
暗殺任務を請けるか否かは別としても、自分の目でスワンプの闇を見ておく必要はあるはずだ。
クロト達は身支度を終えると、マッドタウンを後にした。


「今です!」
クロトの合図で、一斉に射撃隊が矢を放ち、バタバタとゾンビが倒れていく。

「誤射なし、100点!」
最早、通常のゾンビ相手に負けはしない。
特務隊はあっさりと遭遇した一群を倒し、南へと向かっていった。
特に問題なく、かすり傷を受けただけでシャークの町へと辿り着く事が出来た。

クロトは仲間達から離れ、真っ直ぐに酒場・ダンシングスケルトンを目指す。

ミウ曰く、「いつもダンシングスケルトンに複数人で居座って、1人か2人の客を見つけては言い掛かりをつけて金をふんだくる連中」との事だが……
なるほど、あれがそうか。

そうして見当を付けられた一方、酒場の片隅でストーンラットに目配せする男がいる事に、クロトは気付いていなかった。

合図を受け、隊長らしき一人の女が立ち上がる。
「お前さん、この辺りのモンじゃないねぇ?」

「それが、どうかしましたか?」
「お前さんが、ここらはウチの縄張りだって事を分かってんのかどうか、ちょいと気になったモンでねぇ」

予想していた通りの低劣な脅しが始まった。
今のクロトには、チラリと見ただけで彼らの実力が推し量れる。
貧弱な体に、低劣な武具。
相手が身に着けている徽章がドコの紋章なのかも知らず、相手を一人と見て、数を頼りに脅しを掛けてくる。

 
「それで、貴方は僕に何をして欲しいんですか?」
中身のない薄っぺらな脅しに辟易して、クロトはぶっきらぼうに聞き返す。
「難しい事じゃあない。 アタシに敬意を示すのさ。
 頭を下げ、無礼を侘び…… アタシの上で踊るのさ。
 一晩楽しませてくれたら、お前の両足をヘシ折らずに見逃してやろう」

(やれやれ……)
「お断りです。
 僕は、貴方のために自分を貶める気なんてありませんから」

「楽しませてやろうってのに、足を折られる方がいいってのかい?
 ストーンラットにタテつこうなんて、見た目以上の大馬鹿者だねぇ、ボウヤは」

「折れるものなら折ってみるがいい。
 都市連合の侍に戦いを挑みたいと言うのなら、受けて立つまでです」
一瞬、ビクリと女が動揺する。
だが、部下の手前…… 何より、パトロンの見ている前で、もう引き下がる事は出来ない。
「訂正する。お前は見た目通りのバカだ!」

抜刀。
錆びて手入れもされていない。

「先に抜いたのは、お前達だな!!」
「それがどうしたぁ!!」

ストーンラットは目先の報酬に釣られ、何もかもを間違えた。
後ろ盾がある事に慢心し、越えてはならない一線を越えた。
「で、俺達が黙って見てるって、本気でそう思ってんのか、てめぇら」

「戦闘開始だ! 叩き出せ!」
ハウンズ、ブラックシフター、スワンパー衛兵達が、一斉にストーンラットに襲いかかる。
「ばっ、バカな! 砂漠野郎に! 都市連合に味方するのか、お前らァ!!」
ハウンズの下部組織としての地位にあぐらをかき、派閥間の関係がどう動いているのかを知ろうともしなかった。
ストーンラットの一団は、その愚劣さの報いを請ける事となった。

「寄ってたかって我が主に襲いかかろうとは、許せんな」
本来なら味方であるはずのハウンズ達だけでなく、侍の鎧に身を包んだ大柄なシェク女……デーリアが姿を現し、ストーンラットはようやく自分達に死が迫っている事に気付き始めた。
「もういいよな? いいだろ? ハハーーァッ! ぶっ殺してやるぜぇぇ!!」

デーリアに続き、モムソーを先頭としてクロト隊が酒場内に雪崩込んで来る。
ストーンラットは完全に包囲され、一方的な暴力を受ける事となった。
ストーンラットの隊長は、武装解除された後、ブルブルと震えてテーブルの下に逃げ込み、動こうとしなくなっていた。
こんな無様な死んだふりは見たことが無い。
彼女は、そのテーブルの向こうにいた男に助けを求めていたようだが……

いつの間にか、酒場の片隅に座っていた男…… 事の初めにストーンラットに目配せをしていた外交官も姿を消していた。
これが彼らホーリーネーションの目論見通りなのかどうかは分からないが……
とにかく、「内輪揉め」は始まってしまった。
内乱と呼ぶには、その戦いは余りに一方的であったが。
「 舐 め る な あ ぁ ぁ !! 」
ストーンラットのシェク戦士が棍棒を振り回し、クロト、馬、モムソー、ハムートの四人が同時に吹き飛ばされる。

「チッ! あのねーちゃんはお飾りか!」
「流石はシェクの男、吾輩の敵として不足無し!」
「では、流石はシェクの女と、喝采する準備をしてもらおう!」

バーのカウンターから跳びかかっての一刀両断。
そのデーリアの一撃で、乱闘騒ぎは終わった。
「やれやれ、毎度の事ながら、余計な仕事を増やしやがって……」
「ま、今後は顔を出せなくなるだろうぜ」
「早く片付けて。酒がマズくなるわ」
誰のものかも分からない、ストーンラットの手足が転がっている。

誰も彼らを治療しようとせず、ダラダラと大量の血を流す彼らを、ブラックシフター達はそのまま担いで酒場の外へと放り出す。
「まったく……!!」
クロトはこの、寄ってたかっての「弱いものいじめ」に腹を立て、結局は……
倒れた者の止血をする事となった。

が……
助からなかった者もいる。

もう、後戻りは出来ない。
戦端が開かれる。
ストーンラットは、クロト達特務部隊の敵となったのだ。
「対決--不可避」
「そうだな。 ボス達がそれを望むのなら、もう止められんのだろう」
「お父さん達…… 厄介な事を押し付けてくれたものです……」
 
結局はツインブレードの思惑通り、戦う他道はなくなってしまった。
幸い、酒場にスケルトン用のベッドまで完備されている事もあり、乱闘で受けた傷は間もなく完治する。

その回復を待つ間、ブロージオは酒場の一角に向かっていた。
「私はもう交代する気は無いって、言ったと思うのだけど……」
「いえ、そうではありません」

「貴方達の人数が随分減っていると聞き、定期連絡ついでという事で、応援要員として送られてきました」

浮浪忍者の連絡員 JRPG種族 ヤノルス
 
「未熟者ですが、迷惑を掛けない程度に、後方から射撃で援護を行うつもりです。
 どうかよろしくお願いします、クロト様」

「はい! 歓迎します、ヤノルスさん!」
「では、早速ですが、提案があります」
「なんでしょうか?」
「酒場ん中で組織の話をしてんじゃねぇよ!!」
「あ、はい…… すみません……」
 
ヤノルスに追い出されるようにして酒場から出ると、クロト達は町の中心にほど近い小屋の前へと連れてこられた。

「こちら、今は空き家になっておりますので、お安くお買い求めいただく事が出来ます。
 作戦会議室代わりに、いかがでしょうかクロト様?」

即決で2軒を購入。
JRPGの人達の表の顔って、怖いもんだな……)
クロトにも、一見大人しく丁寧な物腰のJRPGの女性達の姿が表面上のものに過ぎないという事が、ようやく分かってきた。
「ケッ! 羽振りが良さそうじゃねぇかよ、砂漠野郎どもは!」
そんなクロト達の目の前に、スワンプスタイルの一団が姿を現す。

「グリームさん!! 見違えましたよ!」
「アンタは相変わらずチビだねぇ! ケケケ!」
ハウンズに押しかけて強引に仲間入りをしてから、トントン拍子に部下を抱えるまでに出世していたようだ。
やはり、ステイヤーを集めてゾンビ処理部隊を作るという特務隊構想は間違っていないという事か。

「で、積もる話なんてのも特にありゃしない。
 さっさとついて来な。 ボスが読んでるぜ」
「ハウンズのボスが……?!」

「このビッグ・グリム様はね、余計なお喋りは嫌いなのさ。
 だから、一言で終わらせる」

「殺れ」
その一言を残し、ビッグ・グリムは去っていった。
やはり、都市連合の使いと仲良くやって行く気は無いようだ。
……その言葉の意味する所は明白。
ハウンズは最早ストーンラットを下部組織とは見なさない。
遠慮なく始末して来い、という事だ。
「出来れば事はスムーズにヤッてもらいたいもんだねぇ。
 間違っても、アタイとアンタで戦り合うってぇのは、御免被りたいもんさ! ケケケ!」

ツインブレードの提案を飲まなければ、ハウンズを敵に回すぞ、という脅しか。
やれやれ、だ。
このスワンプという場所がどういう性質を持っているのか、不本意ながら良く分かって来てしまった……
確かに、ストーンラットはクズだ。
飢えた野盗達のような、手を取り合う事の出来ない「あっち側」の組織である事は明白。
戦う事でスワンプ全体との同盟を確立出来るのなら、戦うだけの価値があるのかもしれない。
クロトは覚悟を決め、強く拳を握った。
「~~~~♪」
口笛を吹き、小屋へと近づいていくモムソー。

「誰もいねぇな? よしよし」
口笛は、自らの接近を知らせるための小細工。
ヤノルスからの情報通り、今は無人のようだ。
(家探しするなら今のうち、と……)

モムソーは、賭場を仕切る組織「ブラックシフターズ」の帳簿の隠し場所を探り、やがて、目当ての紙切れを発見する。
 
「やっぱり、な……」
 
怒りの余り握りつぶしそうになったその手紙を、そっと元の場所に戻し、モムソーは一人つぶやく。
 
「取り戻したぜ……俺も、やっと……」
 

 

<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります