気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-54:決戦編⑩

警笛が鳴り響く。
総員撤退の合図。

敵との戦闘を中止し、動ける者から先に脱出を開始する。
だが、城に取り残された者達は、今尚死地の只中にあった。

敵兵の、その一体一体がクロト以上の戦闘能力。
しかも、クロトの刀では、重装の敵兵に対し威力を発揮出来ない。
数の優位と射撃部隊の援護が無ければ、勝てるはずなど無かった。
脱出経路には敵兵舎が無数に立ち並び、足を引きずりながら撤退を試みる隊員達の行く手を阻む。

「邪悪な有機生命体を逃がすな!! 奴らは全て死滅させねばならん!」
「人間を滅ぼせ! この世界は我らスケルトンの物だ!」

脱出行動を開始する以前から……
既に、特務隊のダメージは看過できない状態にあったのだ。
この長い夜は、未だ明けていない。
 
 
 

第五部:決戦編⑩ 最終決戦(後編)

 
 
 
「5点!
 さあ、こっちですよ! まだ戦える者がここにます!」

まだ走れる射撃部隊員の何人かが、命令を無視していた。
引き撃ちを行い、可能な限り敵を引きつけておこうという試みだった。
シルバーシェイドは城の外周を駆け回りながら、仲間の撤退を援護する。

「100点!
 さあこっち、こっちです! 掛かってきなさい!」

シルバーシェイドの作戦は上手く行き、城の兵士達を一時的に引き離す事に成功した。
このお陰で、多くの負傷隊員が城の外へと脱出するだけの時間を得られたが……
やがて、グルリと回って城内の仲間の救出に向かった所で、彼もまた力尽きて倒れる。
場内で倒れた者達は敵兵に担ぎ上げられ、定められた死体置き場へと運ばれて行く。

これは特務隊にとっても都合の良い展開だった。
城の外まで運んでくれるなら、意識を取り戻した後、脱出する手間が省けて好都合と言える。
だが……

クラブレイダーによる襲撃で、内部と外部の敵が分断されていた事が、脱出に際しては仇となった。

城外には未だ多数の敵が兵舎周辺に駐屯しており、走り抜けようとする特務隊に容赦なく攻撃を仕掛けてくる。
「クソッ! 洗脳装置は停止したんじゃないのか?!」
「彼らは、とっくに精神を作り変えられてるんだよ!
 装置を止めたからって、壊れた頭は元には戻らないさ!」

「じゃが、ワシが思うに、あの仮面……
 怪しくはないかの!?」

片腕を負傷しながらも、ホッブズが果敢に立ち向かう。
鉄仮面に何らかの装置が仕込まれているからと言って、彼らを助ける意図などない。
ただ若者達を先に逃す道を作るため、そのために敵を叩き斬るだけの事。
ふと足元を見ると、ヤギ達が死んでいた。

戦闘開始の時点でとうに切り倒されていたのだろう。
うち2匹の肉は既に剥ぎ取られている。

仮面を被り、スケルトンを自称していようと、所詮彼らは人間。
飢えれば何かを食わなければ生きていけない。
代謝と排泄。
それが大気中のZ因子から身心を守ると、サヴァンは語っていた。
彼らスケルトン盗賊が易々とエルダーの洗脳を受け続けている裏には、「スケルトンは食べない」「スケルトンは眠らない」そういった暗示が掛けられている事も影響しているのだろうか。
「ははは! ハハハハハハハ!! 狂気! まさに狂気ダナ!!
 スケルトンの皮を被った人間が、人間の世界を滅ボス!
 これは笑エル!! ここまで来た甲斐がアッタ! 最高のショーダゾ!!」

陰気な金属質な声で爆笑しながら、ベッカムが敵兵に斬りかかって行く。
特務隊の旅はこれで終わった。
ショーは閉幕した。
後は、戦闘というアトラクションを楽しむだけ。
彼の魂は今、至福の愉悦を得、打ち震えていた。
「クロトなら、私達スケルトンを使って重傷者の救助を優先させるはず……
 今止血をしなければ…… せめて、この子だけでも……」

「く…… 手遅れ…… か……」

遠のく意識と戦いながら、よろめきながら歩き続けるスヴェアの目の前で、次々と仲間が倒れていく。
止血を、可能な限り止血を、と、薄れゆく視界の中、仲間の姿を求め、彷徨う。
頼みの綱であるはずだったスケルトン達の頑強さも、ここまでが限界だった。

「ここまで皆を付き合わせた責任を、吾輩達が取らねば……
 明日を生きたとて、どの面を下げて……」

「ぐ…… ガハッ……」
全力での撤退を命令されているにも関わらず、踏みとどまって退路を切り開こうとした者も少なくなかった。
最後の戦いであるとの決意が、裏目に出てしまったのだろうか。
中には、最初から脱出する気の無い者もいた。
「待てよ…… 
 チョロチョロ走り回ってねぇで、俺に刺されて行けって……」

「ブロージオちゃんを殺ったてめぇらを……
 放って行けるかってンだよォ!! オラアァぁ!!」

「あ…… アレ? ハハッ……」

「俺、右腕無ぇじゃねーか!! ハハハハッ!
 これじゃ流石に戦えねぇかぁ!!」
やれやれ…… どうせ長くねぇ命だったけどよ……
ダっセぇオチがついちまったなぁ……

なんとか片腕だけでも残ってて良かったぜ。
やっぱ、イケてるゴーグルでキメときたいからな、こんな時は。
テメェはこんな所で死ぬんじゃねえぞ…… クロトの兄ちゃんよ……

これで……
俺が誰なのか、誰も知らないまま……

「これで全部か?」
「一人も生かして帰すなよ! 動く有機体は全て殺せ!!」

「いたぞ! こっちだ!」「最下級生命体め! スケルトンの王の前に跪くがいい!」
新兵達に対して、全力で走る事だけを指示していたのも、大きな過ちだったのかもしれない。
敵兵に斬り刻まれながら、誰も治療を受ける事が出来なかったのだから。
(シェイ…… 俺の、プリンスよ…… お前だけでも、逃げろ……)

流れ続ける鮮血を止める者もなく……
死体置き場に投げ捨てられた者達が、一人、また一人と命を落としていく。
立ち上がろうとする者は、その度、何度も何度も執拗にその場で斬り伏せられた。

……結局、特務隊は強行突破に失敗したのだ。
城の中で倒れていた物は、鉄くずと一緒に拠点の端の一角に、積み上げるようにして捨てられていた。
(ひどい……臭いだ……)
クロトが意識を取り戻したのは、グリーンの死体が転がされた、その血の海の中だった。

状況が最悪なのは分かる。
それでも、なんとか隣りに倒れている者の止血だけでも、と、賢明に這いずっていたクロトを、容赦なく敵兵が切り刻む。
元々ズタズタに痛めつけられていたクロトの片足が、それで千切れ飛んだ。

再び意識を失い、倒れるクロト。
血の海は、その輪を広げていく。
(もう、ダメなのかな……)

(私がいなくても、お姉様、やっていけるかな……)

捨てられた当初はまだ息のあった者も、やがて息絶えていく。
闇が薄れ、赤く染まった大地に、陽の赤が足されていく。

「このまま倒れている事など…… 出来ない……」

ヤノルスが立ち上がる。
まずは自分の治療を終える。

その次は、クロトの血を止める。

間に合え。 間に合え。
誰が一番危ない状態なのか。
助けられる可能性のある者は誰なのか。
そう迷っている間にも、仲間の「気配」が一つ、また一つと消えていく。
せめて、この人だけは。
背後から敵が迫る気配を無視し、隊長を治療する事だけを考える。
意識がある内に、痛みを感じられる間に、せめて、この人だけは……
 

 
惨劇の夜が明けた。

脱出できた者はいなかった。
一人も、いなかった。
元より足を痛めた者が大半。
万全の状態の敵大部隊に包囲され、逃げ延びられるはずも無かったのだ。
クロトが指揮を取っていれば、走れる者だけでも先に逃せたのかもしれないが、それでも徹底は出来なかっただろう。
新兵を見捨てて走る事に徹する事が出来なかった、その感情こそが失敗の原因だった。
また、脱出経路の誤りも明らかだ。
全員で走ればどうにかなると考え、兵舎を横切ろうとしたのがそもそもの失敗だ。
城の裏側から脱出していれば、結果は全く違ったものになっていただろう。
真っ暗な夜、その裏道に気付けなかったのは仕方がない事ではあろうが、その可能性に考え至れなかった事は、失態には違いない。
考えなしに勢いに任せた結果……
特務隊、その全員が倒れた。
惨劇の夜が明け……
地獄の一日が始まる。
戦いを終え、スケルトン盗賊達は各々の持ち場へと戻って行く。
もう、彼らに指令を下すエルダーは死んだというのに、彼らの生活は何も変わらない。

彼らの精神は、存在は、既にしてヒトでは無い。
同調し、同情するべき人間の心を持ち合わせてはいない。
(私のような者でも……
 この戦いに加わる事が出来て、良かったと思います……)
「なんだ!? 今の、声……?!」

夜を徹し、昏倒と再起動を繰り返しながら戦い続けるスケルトン達は、その「声」を拾い始めていた。
(デーリア殿、私の造った兜は、役立ってくれたようだな……)

(スケルトンの友よ…… スクイン隊を、頼む……)
(主の仇は討った……
 これで、あの子に、面目が立つかね……?
 お前は、まだ、お前の主を守り続けろ。
 こっちには、来るんじゃない、ぞ……)

「これは、テレパス?! 一体何だと言うんだ?!」
「分かラナイ…… なぜここにいない隊員の声がキコエル!?」
ケルトン達には理解出来なかった。
それが、別れの挨拶であるのだとは。
Xーセルによるコーティングによってヒトへと近付いたがためにソレに同調する事が可能となったのか。
Z因子を含有する塵灰が、高密度で辺りに散布されていたためか。
何者であろうと、その原理を説明出来はしなかったであろう。
ただ、それでも、彼らは神の目でしか知り得ない感覚を、その瞬間、確かに共有していた。
一つ、また一つと……
友の、仲間の、命が消え去っていく瞬間を、彼らははっきりと認識していた。
「うるサイ…… 言われな無くとも分カッテイル……」

轟音のようにAIコアに殺到する声。
ベッカムは苛立ちながら機能停止状態から復帰する。
救え。 救え。 一人でもいい。 救い出せ。
(あたしの事はいい。 目の前の、彼女を頼むよ)
「そう叫ブナ…… やってヤルサ」

間に合わない者より、助かる者を救え。
そう囁く声達に導かれ、ベッカムはデーリアの止血を行う。
まったく、他人の楽しみをなんだと思っている。
こんな、つまらない事後処理を押し付けやがって。
ああ、いいから、任せておけって…… うるさいなぁ。
(あっちあっち! 隊長達はあそこにいるよ!)

ああ、そうだろうさ。
お前達は、勝利の証として、クロトを生き延びさせたいのだろう?
虚しい勝利宣言だ。
生き延びたクロトにどれだけの苦しみが残されるのか、分かっているのか?
「起キロ、バーン。 まだ歩けルナ?」
「むぅ…… また、ノックアウトされていた、か……?」

「聞こえてイルナ?」 「ああ」
「先に失礼スル。後は頼ンダゾ」 「ああ」
クロトを担ぎ上げ、ベッカムは走る。
まだ、走れる。

鉱石を担いでスクインを駆けてきた日々は、この時のためにあった、と……
人間ならば、そう思った事だろう。
人間ならば。
そう、甘い考えを持っただろう。

ベッカムはそう考えない。
野盗に殴られて鍛えられた、スケルトンの頑強さこそを誇る。

これで充分。 ここで充分。

死んだふりをして見せればいい。
そら見ろ、奴らはこれで満足して帰っていく。
(それもまた忍術でござるよ! らしくなって来ましたな、貴殿も)

「うるサイ、何が忍術ダ……」
ありがとう、ありがとう、ありがとう……
ええい、うるさい、うるさい!
俺達は、お前達のみっともない足掻きを見たかっただけだと言うのに!
なんだその、幸せそうな声は!
死者は死者らしく恨めしそうにしていればいい!

ベッカムは、クロト一人を連れ、脱出に成功した。
 

 
自分達にとっての死闘も、奴らにとっては日々の暮らしの一部でしかなかったか。

ボスが死んだ事に気付いていないのか、平然とした様子で隊列を組んで巡回し、周囲の警戒を怠らない。
戦い破れたクラブレイダー達も外へと担ぎ出され、その屍を荒野に晒している。

敵兵は万全の体勢で警備を続けている。
この中を、走り抜けて行かねばならないのか。
(ほら、立って立って! バーンさんはもう無理なんだから!)

(おい、またクラブレイダーが来たぞ! 巡回か減っている今がチャンスだ!)

「う…… 再起動、もう、少し……」
(そんな事を言っていられる場合か?
 僕はもう働けないんだ。
 お前が代わりにやってくれないと、このうるさい声が止まないじゃないか……)

「お前まで……
 あ、あぁ…… 今、起きるさ……」
(私達が手伝ってあげる! さあ! 立って!!)

「意識が…… 澄み渡る……
 なんだ、これ、は……」
(さあ、それは拙者達にも分からん……
 だが、大切に育て上げた果実なんだ)
(少しでもええ。
 未来に種を繋いでくれればな……
 皆、それだけを祈っとるんや……)

(拙者の)(ウチの)
(畑を、頼むよ……)
 
「それは、私向きの仕事ではない……
 他の者を助けて、そいつにやらせるとするよ……」
 
(慌てないで、まずは貴方の治療が先よ)

「ですが、一刻の猶予も……」
(いいからいいから、俺達はもう助からねえんだからよ)

「・・・・・・・・・」
ケルトンが皆冷笑家になるのも納得だ。
人間と触れあえば、いつも必ずこんな別れをする羽目になる。

分かっていたはずなのに。
分かっていたはずなのに……
(スケルトンと助け合って生きた日々、悪くは無かったわ……
 貴方達は、人間達と比べても、とても愉快な人達だった……)

くそ、敵に察知された。
要救助者、近くにいるのは誰だ!?
(ぼくはいいから、おねえさんを……)

「三姉妹の一人…… ああ、まだ見込みはある!
 流血さえ止められれば!」
「殴りたければ殴れ! だが……!!」

(ありがとう、すけるとんさん……)
「再……起動……」

「うおぉぉぉぉぉ!!」
ガン、と、また頭部を殴られる。
走れたのは、ほんの数瞬。

危ない状態だが、パスクリはまだ生きている。
自分もまだ、再起動可能だ。

だが……

一秒が惜しい。

次々、声が、気配が、消えていく。
後方で、戦闘の気配。
また第三勢力が暴れているのか。
今のうちだ。

再起動し、パスクリを抱えて走り始める。
一歩、二歩、三歩……
生存への距離を、一歩一歩縮めていく。
(追い付かれる! その位置なら充分よ! 構えて!)

クソ、特務隊最強と言われた自分がこの体たらくか。
クロトに期待されて来たしんがりの役割を、最も重要な戦いで果たせなかったとは。
勝てるか? この敵兵に、自分は勝てるか?!

クソ、剥き出しの頭部、弱点を叩かれた。
流石にスケルトンの事はよく知っている……
(でも、そこまで来たら……もう、充分)

ああ、距離は稼いだ。
敵が離れた今、まだ足をやられていないなら、それで私の勝ちだ。
ただ、無念なのは……
(そうだな、出来ることなら、僕達も帰りたかった……)

せめて、彼女は必ず送り届ける……
許してくれ、仲間達よ……

一人戦場を離脱したベッカムは、片足を失い気絶したままのクロトを抱え、フリセ村跡の廃屋へと辿り着いた。

中途だった治療を完了させ、クロトを寝袋に寝かせる。

まだこの両足は健在だ。
グズグズしていられない。すぐにも戻らなければ。

一刻も早く、一人でも多く。
頭の中に鳴り響くうるさい声は、未だに止まない。

 
 
(クロト)
 
 なんだい……?
 
(君は世界を救った。
 君が世界を救った。
 それは、誰が何と言おうと事実だ。
 だから、胸を張ってくれ)
 
 そう、かな……
 僕は、頑張れたの、かな……?
 
(完璧では無かったね。
 私は、生き延びられなかったから……
 でも、99点はあげよう)
 
 ごめん……
 ありがとう……
 
(どういたしまして)

優しい微笑みでそう告げ、彼もまた、消えていった。

無言で、コスチュニンとベッカムがすれ違う。

パスクリをタンサー村へ、ベッカムはアイアン指揮所へ、全速力で駆けていく。

 
 
(クロト殿は無事でござる!
 次は、あの子を頼むでござるよ!)
 
ああ、貴様らならどうせそう言うだろうと思っていた。

(では、これにてお先に失礼を……
 おさらばでござる……)
 
 
(ガラにも無い事しちまった報いってヤツだねコリャ。
 あれだけ大見得切っときながら早々に退場なんて、ダセー結果にも納得ってもんだろ? スヴェっち)
 
そうか、お前も結局、感染してしまっていたのか。
と、言う事は……
ハハ、まさか、この私こそがお前の重荷だったと?

(チッ…… ったく、女同士でンな面倒くせぇ感情なんざ、アタイは勘弁して欲しいんだがね!)
 
素直になっておけ。
どうせ、愛も友情も、諸共にすぐに消えるのだからな。
 
ああ、そうそう……
『嘘つきと正直者、どちらが長生き出来るか』
だったな?
フッ、どうやら私の勝ちのようだ。
 
(僅差だろ、僅差。
 そもそも、その勝負を忘れちまってたンだから、ノーカンだろうが!)
 
ああ。
狡賢く生きていれば、僅差で勝っていたのはお前の方だったかもしれんな。
 
(って事で、引き分けな)
(いや、やはり私の勝ちだ)

 
 
 
……ああ、少しずつ、静かになって来ているな。

(ここだ!)
(こっちよ!!)
いくつかの声が囁きかけて来る。
速度が全てだ。
敵地へ突入。

彼らが皆揃って救えと言う、ダルパンの所へ。

これで本当に間に合うのか?!
止血が終わっていない。
走り出す前に、一度治療しなければならなかった。

全くもって損な役回りだ。
ケルトンの身体では簡単に事切れる事も出来ない。
(だからこそ、だよ。
 人と君達とが手を結べた事……
 それこそを、私は誇りに思うんだ)
お前が、か?
もっと我々を憎めばいいだろうに。
(憎むだけで世界を救えるなら、どれだけ楽だったか……
 こうして救えた世界だ。 せめて、無駄にしないでくれ……)
ああ、俺だってもっとお前達の死に様を楽しみたい。
簡単に終わってもらっては困る。
最後に、苦笑したような吐息を残し、彼もまた、消えていった。

ああ…… だが、これはマズい。
足をやられたか。

小娘も無事と呼べる状態ではない。
再起動したとして、無事運び出せるかどうか……

また、クラブレイダーなりの襲撃が起きて敵が減ってくれれば助かるのだが……
(心得た)
?!
「俺はカン! 我が武はシェク王国百人衆に比類する!
 我が首を討ち取って勇名を鳴らしたい者は掛かってくるがいい!」

気絶から目覚めたばかりだろうに、なんという無茶を。
ああ、そうか、もう足を折られているのか。
だから、そうやってデタラメを言って敵の挑発を。

言わんことではない。
そんな無理をされても、俺は今走れないんだ。
どうしてやる事も出来んよ。
(カン隊長が命を張ってくれたんだ。
 さあ、スケルトンの根性を見せてくれ)

(悔しいけど、もう、アンタ達に頼るしか無いんだ。
 頼むよ……
 あの子達は、幸せにならなきゃいけないんだ……)

(やっと、ここまで、繋いできたんだ……)

(後ろ暗い生き方しか出来なかった時代は、もう、これから終わるんだからさ……
 せっかくここまで来れたんだ……
 あたしらみたいな影はもう消えるから、あの子達を…… 頼むよ……)
まったく、どいつもこいつも……

そんなにコイツが特別か?

俺だって、そろそろ危ない……

お前らは、俺の事も助けてくれるんだろうな?
(心配するな。
 我らは皆、恩人を忘れない)

(我らはもう往くが……
 残った者が、必ず……な……)
ベッカムが死にそうなんです。
 頼みますよ、コスチュニン)
ああ、這ってでも行くとも。
(あいつ、口は悪いが、あれで結構、人間の事を好きなんですよ……
 本人も気付いていないのかもしれないですが……)
後ろ向きだった君達がここまで変われたのは、驚きだったな。
無機物であるはずのAIコアで、彼らの精神との同調まで可能となるとは。
(おや、そうでしたか……
 ああ、なるほど。 私はもう……)

(大変、興味深い……
 ああ、この世界はやはり、面白い……)
さあ、約束は、果たさねば……

済まないな、君達。
今、ちょっと、手が離せなくてね……
 

(そうだな。
 カン隊長も逝っちまったし、もう、いいかな……)
 

(ごめんね、ペーツ…… 私も、ダメみたい……)
 
さあ、これで、ここの生存者の止血は済みました。

少し、休ませてもらいますよ……

(起きてください、姐さん)
「う……」

(よかった…… アンタだけでも、助かって……)

「こ、ここは……?」
辺りを見回し、ここがタンサー村の廃墟である事を確認するパスクリ。
「クロト…… これは、どういう……」
「・・・・・・・・」

黙って、震えて、泣いている。
当たり前だ。
まさか、生き延びたのが、俺とクロトだけなんて……
「待ってろ、俺はまだ走れそうだ。
 必ず、ガルトナーまで連れ帰ってやるからな」
足を失ったクロトを、担いで連れ帰ろうとするパスクリだったが……
自身の片腕が失くなっている事に気付かされる。

「やれやれ、俺もこのザマか」
連れ帰るにしても、仲間の救出に向かうにしても、担げないのではどうしようもない。
「畜生…… ちくしょぉ……」
(もういいよ、パスクリ)
「でもよぉ!! 残るなら、姉貴の方だろ!!」
(パスクリも、割と本気でクロト君の事、好きだったでしょ?
 私の分まで、仲良くあの子達と喧嘩してちょうだいね?)
「あ…… え?!
 待てよ、これって……」
(パスクリにも、分かるでしょ?
 きっと、もう大丈夫……
 とても、素敵な奇跡よね……)
「待てよ! 待てよ姉貴!! 俺を、置いていくな!!」
(ごめん、ね……)


まだ、再起動出来んか……

他に、動ける者はいないのか……?
誰か…… 早く……
ああ。
ここからは、オレに任せろ。

もう、戦うための防具は必要無い。

隠密で脱出するため、デーリアは鎧を捨てて行く。
とっくに食料を奪われているため、空になったバックパックも捨てていく。
誰を救い出すか、オレが判断せねばならんか。

ああ……
そうだな。

なぜワシをと、こいつは後で怒るだろうが……
たまたまだ。
助けやすい位置に転がっていた事を嘆くがいい。


身体が軽い。
今までずっと重装鎧の枷を受けて来た肉体が、解き放たれた喜びにふるえている。
暗闇の助けもある。
容易い。

まずは、一人。
ホッブズ、ひとまずはお前の無事を喜ぼうではないか。

「次は、私の番、だな……」

「どこだ、ミウ……!!」
共に走っていた。
すぐ近くにいたはずだ。
いた!!
良かった、まだ息がある!!

もう、私はどうなっても構わない。
失敗だらけの人生だった。
せめて、この子の命だけでも救って終わりたい。
傷口さえ塞げば、デーリアが戻ってきた時、助け出してもらえるはずだ。

止まれ。
塞がれ。

状態は良くない。
後少しなんだ。
あと、一秒でいい……
間に合え……!!

(私はまた、失敗してしまったのか……)
 
そんな事無いよ。
私達、世界を救ったんだよ?
 
(私はいつも、大切な人を犠牲に、敗北してしまうんだ……)
 
あの時だって、ハムートのお陰で、私達、生き延びられたんだから……
泣かないでよ。 ね?
 
(だって、私は、結局……
 君を幸せには出来なかったんだ……
 いつだって、誰かの一番になりたがっていた君の気持ちを、分かっていながら……)
 
いいのよ……
私は、きっと、貴方に恋をしていた訳ではないと、思うから……
それがただの優しさでもいいから、ただ、誰かから、一番に想われていたかった、だけ……
 
(私は、過去に生きるより、今を生きるべきだった……
 せめて、君を笑顔にしてから……
 ああ、今この瞬間だけでもいい。
 私は、今、君を……)

(笑うと、可愛いじゃないか、ミウちゃん)
(心から笑えるのって…… 気持ちのいいもの、ね……!)

人間よりは頑強な肉体をもつシェク族。
スクイン隊の者達は、ここまで永らえた者も多かった。
が……

それも、もう限界に近かった。
「我が主よ、オレはすぐにも戻らねばならん……」

返事は無い。
ただ、顔を伏せて肩を震わせているだけ。
「失礼を…… 装備、お借りする」

クロトが脱出時に着ていた隠密行動用の装備を借り受ける。
寝ている少年の服を脱がす行為にどぎまぎとしてしまうが、そんな事を言っている場合ではない。
「ええい、もののついでだ……!」
クロトの唇に、別れの口づけをする。

「ダルパンはこの身に代えても、必ず……!!」
(私は、間に合わなかったか)

(リリー、やはり…… お前がいなくては、私は……)
決意の証の口づけだった。
他の者を捨て置いてでも、次はダルパンを救う。

それでも、心は痛む。
許せ…… 友よ…… 仲間達よ……
せめて、彼女だけでも、間に合わせなければ……
(大丈夫。 間に合います。
 それに、止まらず走れば、面白い事になりそうです。
 真っ直ぐこちらへ……)

(覚えておいて……
 侵入経路は、裏側にもありますから……)
ああ、分かった。
感謝する。 もう、ゆっくり休むといい。
(そろそろ、限界、ですか…… 先に、いきますね……)
(今まで、ありがとう、ございました……)
済まねえ…… 肝心な所で、誰も、守れなくて……
思い上がってた…… どんなピンチでも、人を助けられるのが俺だって、な……
情けねぇ……

やれやれ、揃って全員ここで終わりか……

(気にしないでください。
 奴隷のまま終わるより、この方が余程マシっスよ)

(マジで、感謝っす…… エリス隊長……!)
ハハ、レイのやつ、こんな喋り方してたのかよ。
もうちょっと、あいつと話してたかったなぁ……
結局、この鎧も不吉の象徴だったかね……

悪運を継承するこたぁ無ぇ。
なあ、ここで捨てちまっても、もう構わんだろ?
(ウンウン、そこのチミ、遠慮は要りませんぞ。
 ワタクシもその方がいいと思いますニョで)
誰だ、アンタ?
…………へぇ
あぁ、クロトに聞いた事がある。
そうかぁ…… ハハッ
ずっと、そこにいたんだな、お前。
スゲェ野郎だぜ、ったく……
クロトを助けてくれて、ありがとな、トゥルブレ。
(ニョホホ…… どういたしまして……)
フゥ……

で……
ま、お前のバンダナくらいは、俺が持ってても、いいよな?
(ええ。
 今までずっと傍にいてくれて、ありがとう……
 愛していたわ、エリス)
本気か? もう、いいのかよ……
(ええ。 もう、いいの)
ハハ、お前みたいないい女の、一番に、なりたかったな……

(って、事でよ。
 これだけは伝えとかなきゃって……な)
ありがとう、エリス。
本当に…… 本当に…… ありがとう……
直接、お礼を、言いたかったな……
ずっと、ずっとずっと、恨んでたままで……
ごめんって、言いたかった……
(なに、礼は言っといたからよ……)
エリス……
君にも、もっと、伝えたい事が一杯あるのに……
だから言っただろって、この僕の失敗を、叱って欲しいのに……
エリスは、ずっと前から僕をこんな戦いから遠ざけたがってたのに……
(誰が、そんな事言うかよ。
 お前を嗤うヤツがいたなら、そん時ゃ俺が化けて出て呪い殺してやるさ)
……そんな事、しなくていいさ。
(ま、したくても出来なねぇからな……
 ただ、消えていくだけ、だぜ……?
 こっちに来ようなんて考えやがったら、ぜってぇ許さねぇからな)
お疲れ様とか、ありがとうとか、ごめんとか、もっと、もっともっと、言いたいんだ……
でも……
(ああ、もうお別れだ。
 ……あばよ、ダチ公)
あ……

ああ。
ありがとう……
ありがとう、エリス。

なるほど、エリーコの言っていた面白い事とは、コレか。

まさか、この遠方まで同盟戦力が送られて来るとは……
「悪いが、我々にはもう戦闘能力が無い。
 頼めるか?」
「無論。サヴァン様の命は既に下されている。
 我々はそのために来たのだからな」

「さあ、さっさと邪悪なスケルトン信者どもを収穫して、次は一緒にクラブレイダーの皮でも剥ぎに行こうではないか!」
「出来得る事なら、そうもしたいがな!」

もう、魔境に来る事もあるまい。
攻撃は皮剥ぎ隊に任せて、オレはオレの仕事をしよう。

っと、イカン…… こちらに気付いた敵兵もいるか。

裏口が、あるんだったか……

感謝するぞ、エリーコ。
こうしている間にも、消える命がある、が……

済まない。
我が主を守るための戦いはもう終わったのだ。
今は、このオレの我儘を通させてもらう。

このままでは、我が主の心は壊れてしまう。
お前が必要だ。
ダルパン。
「好機到来、であるな…… デーリア!」
デーリアの気配を察し、馬が意識を取り戻す。

「頼めるか、馬」
「スケルトン達の修理は吾輩が! 早く行けぃ!」

皮剥ぎ隊も、あの数ではそう長くは持たない。
馬を待っている余裕は無い。

ダルパンを担ぎ上げ、デーリアは全速力で駆け出して行った。
「さて、と。
 巨乳女との約束は、反故には出来んからな……」

敵に気付かれていない今が、逃げ出す好機ではあったが……
目の前の戦友を放って行けるはずもない。
充分に、届くに足る救いの手であるはずだ。

大丈夫。
まだ、続けられる。

時間は、まだ、少しだけ……
よし、死にかけのスケルトン達はこれで再起動する。

あとは、ヤノルス嬢の止血をして……
来た! 流石に、ここまでが限界か。

「その足では無理ダ! 構わず行ケ!」
「無念だ…… 恩に着るぞ、ベッカム殿!」

クソ、せっかく修理したばかりだと言うのに、手ひどく殴られて……
ヤノルス嬢を残して行くのは辛いが、這う事しか出来ない吾輩に、今出来る事は無い……

その自己犠牲、忘れはすまい。
土壇場では人類を笑って切り捨てる連中だなどと、考え違いをしていて、本当に済まなかった。
ケルトンにも、勇者は在ったのだ。

鉄くずの山を使えば、視線を切れる、かもしれん……

これで、距離を稼げる……!
行ける、か!?
 

 
全く、本当に……
もう、これで本当に限界だ。

腕部も、脚部も、もう動かない。

コスチュニンが再起動するまで、休ませてもらうとしよう……
永久の休みと、ならねばいいがな……

(そこまで行けば、もう大丈夫だ。
 デーリアさんを、待って……)

匍匐前進を続け、敵兵舎の前は抜けられた。
サザンハイブの乱入もあり、思いの他距離を稼ぐ事が出来た。

後は、信じて待つだけ……

「パスクリ、袴を借りたい」
「ああ、使ってくれ」

足を斬られた時、一撃でも耐えられればいい。
素足のままで走るよりはマシだ。
「ワシにも分かるわい…… 残された時間は僅かじゃとな」
「あと2回は行けるか? 後は…… 何人救えるか……」

「言うておる時間も惜しい。 行くぞい!」
「ああ!」

時間が無い。
デーリアとホッブズが敵城へと駆け戻る間にも、命の灯は消滅を続けていく。

仲間の気配を感じ取り、コスチュニンが行動を開始する。

ベッカムハ任せて! アナタタチはそこの2人を!」
(そう、それがクレバーな判断だ。
 私達はもうタイムリミットだからな)

(アグヌがもっと強かったら、ああやって誰かを救えたかしら?
 ごめんね…… アグヌ、こんなに弱くって……
 メイトウ、使いこなせなくて……)
(なに、私がここで死ぬのがベストエンド。
 どうか、私のリサイクルなどはしないように……
 誰にも、知られないままで、いい。
 それより……
 お前の修理を優先していれば、救えたはずなのに、悪い事をした……
 道連れにしてしまって、すまなかった……)
(ほんとは、貴方達に仕えるのがアグヌのお仕事だもん……
 いいの、これで……)

「待たせたのォ! フォフォフォ、デーリアでなくてスマンがの!」
「充分だ! 恩に着るぞ、友よ!」

「まったく、この小さい身体でよくここまで生き延びてくれたものだ!
 敬服に値するぞ、ヤノルス!」

ホッブズが馬を抱えて先行し、意識の無いヤノルスを担ぎ上げ、デーリアが続く。
「ぐっ……! 腕なら構わん!」

斬られたのが足なら危ない所だった。
ホッブズは無事敵を振り切って脱出。

デーリアも、どうにか無事に敵を振り切る事が出来た。
だが、その帰路、サザンハイブに襲われ……

逃げ切る事が出来ないまま、タンサー村へと戻らねばならなかった。

「すまん! 敵だ! 総員で迎撃を!!」

必死の形相で、クロトは床を這ったまま抜刀する。
「無茶をするな、我が主よ!」
「ここまで来て…… やらせてたまるかぁぁぁっ!!」

素早く寝床から立ち上がり、クロスボウを構えると、ダルパンがサザンハイブを一撃する。
「隙あり!」

クロトが敵の足を斬り、続いてデーリアがトドメの斬撃を浴びせる。
いい連携だ。クロトはかすり傷で済んだ。
ヤノルスと馬を寝袋に寝かせ、慌ただしく戻り支度を始めるデーリアとホッブズ
「では、またオレ達は戻る。
 お前もまだ傷が深い。 無理はするな、と言いたい所だが……
 我が主の事、頼むぞダルパン」
「ええ、任せて。 クロトも私も絶対生き延びてみせるから」

「おい、吾輩には頼まんのか」
「足の無い者に頼めるか。
 大人しく寝ていろ。
 お前は充分良くやった。流石はシェクの戦士だ、馬」
不意打ちのような優しい声と、笑顔。
馬は思わず視線を反らしてしまう。
「無事で戻るのだぞ」
「無論だ」

デーリアとホッブズは、再び敵地へと走った。

あれだけ瞬くように感じられていた魂のさざめき達が、今はもう、殆ど消えかかっている。
ケルトンのコスチュニン、ベッカム
シェク・スクイン隊のバティ、レニシュ、ニッカネン
この五人が残るのみ。

最後の選択になるのは分かっていたが、デーリアとホッブズは迷わなかった。
兵舎の只中よりは、こちらだ。

コスチュニンとベッカムを連れ、2人はタンサー村へと駆け戻った。

「しかし、ツイておるの。
 あれだけうろついておったランドバットの類、とんと見かけんくなっとるとは」
「言われてみれば……そうだな」

「まあ、それくらいは手伝わねばと、な……」
「お主は……」

この地に一人残ったテックハンター傭兵だった。
彼が、野獣の類を追い散らしてくれていた、という事か。
「感謝する…… が……
 その様子では、そろそろ限界なのだろう?」
こちらも、もう……

ケルトンの2人は、足を破壊されている。
もう立ち上がれない。

馬、クロト、コスチュニン、ベッカムは立ち上がれず、ヤノルスは未だ目覚めていない。
パスクリは片腕が無く、仲間を担げない。
(行って……)
振り絞るような、最期の祈り。
見捨てて、行かなければならない。
食料が、無い。
持参した食料は全て敵兵に奪われた。
既に飢えが始まっており、今すぐ発ったとしても、帰り着く前に飢餓が始まってしまうだろう。
デーリア、ダルパン、ホッブズで三人を担ぎ、飢えないスケルトンの2人は置いていく。

帰ろう。
ガルトナーの町へ。
タンサー村から北上し、フリセ村へ。

足を失い、置いていかざるを得なかった隊員、マルチが、ここで待っていた。
彼女に持たせていた食料が、ここで役立つ事となった。

既に飢餓が始まっていて、危うい所だった。

手早く食事を済ませ、ここで休ませていたマルチとガルを連れ、西へ向かう。
ブラックシフターの工場を経由し……

フラットラグーンへ。

間に合わせの義足を購入し、装着する。

「では、私はすぐに戻る。 ニッカネンが待っているのでな」
「お待ち下さい…… その役目、私に任せてはいただけませんいでしょうか」

今まで寝ていた分、ここで働きたいと、ヤノルスが申し出る。
「ならば、ニッカネンの事はお前に頼もう……
 オレとホッブズは、コスチュニンとベッカムを迎えに行く。
 無理はするな、ヤノルス」
「はい! お任せください!」
ヤノルスは、一直線に目指した。

ただ一人、敵地に倒れたまま残された生存者、スクイン隊のニッカネンを救うために。
もう、声は聞こえない。
何も、聞こえなかった。
それでも……

ヤノルスは、その瞬間が分かった。

アイアン指揮所に留まっていた魂達……
その全てが、今、消滅した。
ダルパンは、クロトを連れ、一足先にガルトナーの町へと戻っていた。

警備を依頼したテックハンターが数人、番をしていてはくれたのだが……

「こんなに、広かったっけ…………」
 
ようやく口を開いたクロトがつぶやいたのは、そんな言葉だった。
 
 
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります