気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-35:西部編⑫

「入り込まれてます! 射撃班を守って!!」
「クソが! 何匹来やがるんだこいつらァ!!」

「僕達で後続を引き付けます! 行きましょう、ホッブズさん、馬さん!」
「ひょえぇ…… ワシ、生きて明日を迎えられるのかのぅ!」

これが、世界の果ての日常。
終わりのない迎撃戦。

状況が落ち着いてから、などと言っていてはいつまで経っても旅立てない。
傷が癒え次第、クロト達三人は出発する事にした。

四人以上だとリヴァイアサンの注意を引きやすい、と、以前読んだ資料に書いてあったため、夢を追う2人とクロトをあわせた三名だけで旅立つ事となる。
「すみません、デーリアさん。
 CPU……研究に必要な素材の見極めとなると、やっぱり僕も行かないと」
「2人の夢と同じく、我が主も夢のためにこそ冒険に出ると言う事か……」

クロト、ホッブズ、馬。 目的からしても、実力からしても、この三人で確定だった。
常にクロトの護衛を優先して考えていたデーリアにとっては辛い決断となるが……
留守の間、部隊の指揮を執るという大任を任せる事でなんとか納得してもらう事が出来た。
「二人共、主の事を頼むぞ」
「なぁに、今のクロト殿であれば、面倒を見てもらうのはワシの方じゃて」
「吾輩達の夢のためにクロト殿を死なすつもりは毛頭無い。
 生きて五体満足で帰るとも! 三人ともな!」
そして、三人だけの旅が始まる。

まずは、北西遺跡群に向かう前に、北海岸の漁村、ポグ村に立ち寄る事になる。

さあ、冒険の始まりだ。

第三部:西部編⑫ 北西遺跡群

久しぶりに訪れる思い出深い村。 漁村・ポグ村。

ここから海沿いに北西に向かう事で、敵と出会った際にもすぐに海に逃げ込める。
万全を期すためのルートだ。

「魚屋さん…… いなくなっちゃったんですね……」

「パスクリの嬢ちゃんとは家族同然じゃったとか。
 辛い報告を持ち帰らねばならんのぅ……」
「あの時の吾輩達のように、路頭に迷って酒場でクダを撒いておる連中ももうおらぬか」
「この酒場も随分寂しくなったもんじゃ」

食料を少しばかり買い足し、すぐに村を発つ。

海沿いに、北西へ……

ここから、馬とホッブズの追い求めてきた伝説の在り処へと向かう旅が始まる。
その、出鼻を挫くような大群。

慌てて隠密行動に切り替え、クロト達はゾンビの群れを回避する。

ここまでの旅で、三人の隠密能力は十分に上がっている。
忍び足のまま走る技能も既に習得済みだ。

怪しげな伝説の残る、北西遺跡群。
あの山の向こうに、その遺跡群が点在しているはず。
いよいよだ。

「見えたぞ!」「おお、第一の遺跡発見じゃ!」

「っと…… こりゃあ、ぬか喜びじゃったか」

「そうでも無かろう。
 吾輩らがスワンプで見つけたあの遺跡……
 あそこにあったような希少素材が幾つから転がっておるぞ」
「パワーコアとスケルトンアイは中々手に入りませんからね。
 持って行きましょう」

最初の発見は、それなりの収穫。
伝説を辿る旅としてはまだまだ不十分。

目当ての遺跡までは、まだかなりの距離がある。
そして、旅を続けて行くと……

いよいよ、リバイアサン海岸と名付けられた地域へと足を踏み入れる事となる。
第二の発見は、崩壊した塔だった。

ここでもパワーコアの回収は出来たが、遺跡として見るべき所は何も残っていない。
完全に崩壊してしまっている。 ここが元々どんな建物だったのかすらも分からない。

「でも…… ここはきっと、見張り台のような場所だったんじゃないかって、そう思います」
「そうじゃのう……」「これだけ見晴らしが良いのだから、監視塔の役割は十分に果たせるな」

古代に栄えた勢力は、ここから何を監視していたのだろうか。
一説によると、カニバルが発生したのは北西からとする学説もあるのだとか……
ドクター・チュンがまだ聡明だった頃に、諸説ある話のうち一つとして教わった覚えがある。
今ではこの地を闊歩するカニバルは少なく、代わってゾンビが我が物顔で歩きまわっている。

が、通常のゾンビ相手なら十分走って振り切れる。
気にせず走って突っ切り、旅を続ける。
と……
ついに、出会ってしまった。

あれが、この地名の元となっている、リバイアサンだ。
一歩毎に、大地を削り取るようなすさまじい音がする。

巨大で、そして、重い。
歩く姿だけで恐怖を感じさせる。
が、しかし、こちらを見ても反応するそぶりは見せない。
やはり、少人数で来て正解だった。

「あれがリバイアサンか……
 噂に聞いて知ったつもりになっておったが……
 流石に吾輩も肝を冷やしたわ!」

「いやはや! こんな怪物、見た事も聞いた事も無いぞい!
 ワシらは人跡未踏の地に辿り着いたのじゃ!
 この発見は伝説となるぞい!!」
久しぶりに、この「ズレ」を目の当たりにする。
リバイアサンの生態に関しては、とっくにテックハンターが調査し、書物も出版している。
ホッブズ自身、その記録を読んでいる。
彼は、時々…… 聞いた話どころか、自身で話した事すらも忘れてしまう。
ドクターの見立てでは、ゾムネジアの症状ではなく、老いから来る脳の障害である、との事だが……
いつも元気で、戦いを繰り返す中、ホッブズはチームの中でも腕の立つ方となって来ている。
ついつい彼が老齢である事を忘れてしまいそうになっていた。
ホッブズに残された時間は、後どれだけあるのか……
そうして不安な気持ちを抱えながら走り続け、ついに目当ての「大物」に出くわす。

半ば海に沈みつつも、まだ建物として形を保っている遺跡。
あそこならば、何らかの宝も眠っているに違いない。
周囲の環境も尋常ではない。
野生動物とゾンビが争い合う、恐怖の荒野。

危険度は高い。
だが、ここまで来て、この大物遺跡を無視して行く事など出来ようか。

こういった遺跡を探る事こそが、馬とホッブズが人生を掛けて求めていたロマン。
意を決し、三人は遺跡へと泳いで渡っていく。
ここにも希少素材が散らばっている。
敵から逃げる時の事を考え、回収は程々に留め、遺跡本体へ。

「ここでなら、CPUユニットも見つかるかも……」
「この手の遺跡には機械蜘蛛がつきもの、気をつけるんじゃぞ」

クロトが先行して偵察に潜り込む。
と……

「逃げっ……!!」
一撃でクロトが昏倒させられる。
いかにチームで最も敏捷と言っても、足元が水に浸かった状態では逃げ切れなかったのだ。

だが、幸い機械の感知能力はそう高くないらしく、ホッブズ達は敵に気付かれる事なく気絶したクロトを助け出す事に成功する。

クロトを担いだまま、海上を泳いで移動していると……
瞬間、背筋が凍る。

身動きの取れない水中でビークシングに襲われれば一巻の終わりだ。

なんとかギリギリ襲いかかられる前にヤツの認識の範囲外に出る事が出来たようだが……
もしあと僅かでも接近されていたらどうなっていた事か。
危険地帯ではあるが、ここに寝袋を敷いて回復する他無い。

クロトを海岸で休ませ、今度は馬が偵察に向かう。
こういった遺跡を、この北西エリアで探検する際、どうやって攻略するか。
それは、予め打ち合わせを済ませてある。

わざと機械の蜘蛛達の注意をこちらに向け、引き付けて遺跡の外に誘き出す。
それで逃げ切れればよし。

そうでなくても……

今の自分達であれば、三対一でなら、勝てる見込みはあるはず。

三人は果敢に突撃を仕掛ける。
が、その初撃は……
 
ホッブズーーーーーーッ!!」

迂闊だった。
走って誘導するため、軽装のままで戦ってしまった。

こちらの攻撃も次々命中はしているが、かなりの勢いで馬がボコボコに痛めつけられて行く。

敵の攻撃速度は速い。
なんとか反撃の糸口を掴まなければ……
 
「弾いたっ!」

「よし、今だ!」「タイミング、合わせて!」

クロトと馬の反撃が同時に決まる。
が…… 一歩及ばず。
反撃を受け、馬が崩れ落ちる。

クロトは一瞬たじろぐ。
サーベルを使っている2人と違い、クロトの武器は刀。
機械相手には相性が悪い。

さらなる痛撃を喰らいつつも、クロトは踏みとどまって最後の一撃を加え、スパイダーを機能停止に追い込む。
すかさず制御部品を抜き取り、再起動を阻止し、寝袋の上に倒れ込む。

三人とも満身創痍だった。
が、ゆっくり休んでもいられないのがこの海岸だ。



強敵、シェクゾンビがこちらに向かってくる。



慌てて退避を試みるが……
ホッブズ!?)
ホッブズはまだ意識不明のままで、逃げる事が出来なかった。
この状態でシェクゾンビと戦わなければならないのかと肝を冷やすが……

注意が他に逸れたのか、なんとか見逃してもらえた。
今回はツイていたが……
今後はもっと警戒を怠らないようにしなければ。

回復後、遺跡を警備するスパイダーの釣り出しを再開する。

野生動物やゾンビ達に向かっていくように仕向け、倒せないまでも一体一体遺跡から退去させ、安全に探索出来るようにしようという作戦だ。
他の対象になすりつけるのが毎回上手く行くとは限らない。

水底を歩いて追ってくるスパイダーに対し、海への退避は意味が無い。
こうなると、迎撃する他は無い。

釣り出し役の馬以外は重装に着替え、三人同時に、包囲体勢を組んで立ち向かう。

ホッブズーーーーーーッ!!」



再びホッブズが戦闘開始早々に撃沈されてしまうが……
今度もなんとか五体満足で撃破に成功。

そして……



水中からのシェクゾンビの襲撃。
まさか海から来るとは。

シェクゾンビ相手とは言え、三人がかりでなら勝てない敵ではない。
世界の果てでの終わりのない戦いで、勝てるという実感は掴んでいる。
が、しかし……

これはとても無理だ。 大急ぎで海へと逃げ込む。

一体倒し、怪我を治療するだけでもこの有様。
遺跡攻略は遅々として進まなかった……

それでも、釣り出しは一歩一歩進んでいる。

野生動物との戦闘になり、スパイダーは半壊状態。
今がチャンス。回復される前に仕留めるべきだ。
ホッブズーーーーーーッ!!」

手足に多少の損壊があろうと機械相手の戦いでは油断が出来ない。
強烈な連撃でホッブズが一瞬で崩れ落ちる。

「な、なんの、これしき……」
ホッブズさん! 起きちゃいけません! 死んでしまいますよ!!」
「フンッ!!」
ガキィン!!

スパイダーの一撃をサーベルで受け止め、その隙に反撃を加え、勝利。
また一体始末に成功した。
が……

酸性雨である。
幸い、周囲に散らばる獣の死骸から、テントの素材は集められる。

ガルの皮を使って仮設テントを設置。
酸性雨のダメージを防ぎつつ眠る事が可能となった。
「ふほーっ、案外なんとかなるもんじゃのう」
「フッ、三人ともボコボコではあるがな…… このまま、上手く行く事を祈ろう」
「手足をやられたら、もう無茶はしないでくださいね……
 義肢は持ってきていないんですから……」
「すまぬ。 心配を掛けたの……」

リバイアサンがゾンビを踏み潰す轟音。

これは、パスだ。
関わらない方がいい。
ゾンビ達が警備スパイダーにかじりつく戦闘音。
これは、チャンスだ。 起きて攻撃を仕掛けるべき。

弱ったスパイダーを仕留め、部品を抜いてトドメを刺す。

この調子で、最後の一匹まで仕留めて行きたいものだ。

全滅。
止血しなければ死に兼ねない深いダメージ。
地に伏せたまま、感づかれないようにホッブズが治療を行い、なんとか一命を取り留める。
そこからホッブズがただ一人で奮戦し、2人を守り切った事……
それは、クロトと馬の記憶には残っていない。

これで…… 残るはあと一体。

敵の待機位置からして、もう倒さずとも遺跡の探索は可能だ。

この遺跡のお宝は……

優秀な鉈武器、最高級の義手、幾つかの武器防具の設計図。
「CPUユニットは無し、かぁ……」
現在の人類の技術では到達し得ないであろう高度なロボットアームが手に入った。
収蔵された品には武具の類が多く、この遺跡は在りし日には軍事拠点であった事が伺える。
やはり、北西部海岸一帯には、何らかの敵に対する守りの備えが在ったようだ。
伝説の一端は垣間見えたが…… 未だ真実に至らず。
ここで終わらず、探索を続けるべきだろう。
残る一体を仕留め……


三人は次なる目的地を目指し、旅を続ける。
テックハンターから買った情報により、本命の遺跡の場所は把握出来ている。

その遺跡は、この「失われた武器庫」から北西、そう遠くない場所に在る。
時間は掛かるが、万全を期し、海を泳いで渡って遺跡を目指す。

安全策を取って正解だった。
対岸には無数のゾンビが存在し、ビークシングも走り回っている。

なんとか安全に上陸出来る場所わ見つけ出し、丘に上がると……
人間の断末魔の叫びが聞こえてくる。

テックハンターの一団だ。
クロト達より実力はずっと上のはずだが……
凄まじい破壊力で致命的損傷を受け、その殆どが即死だったようだ。

一人生き残った者の止血を行うが……
治療の甲斐なくその場で絶命してしまう。
一体何が、これほどのダメージを……
チームは四人。 あるいは、リバイアサンとの戦闘で?
目の前には新たな遺跡が存在しているが、真っ直ぐ向かう事はせず、まずは周囲の警戒を行う。

いた。

瞬時に隠密行動を取り、距離を離す。
リバイアサンなんかじゃない。 ヤツだ。
大半のゾンビが動く死体となって戦闘力を低下させている中、異常な戦闘力を持ったまま闊歩している特異体。

ヤツが、テックハンターを即死に追いやったのだ。
ビークシングが瞬殺されている。
あれを食らう訳には行かない……

恐ろしいのはビークシングだけではない。
この海岸に着いてから、やたらシェクゾンビの死体を目にする。

古代の戦争の結果なのか、シェクの死体が多く眠る土地のようだ……
敵の動向を見極め、安全なタイミングで遺跡へと向かう。

厳重すぎて解錠不可能な鍵を叩いて壊し、侵入するが……

ここは図書館タイプの遺跡で、南西の古代の要塞についての情報が得られた程度。
馬はその古代遺跡、「アッシュランド・ドーム」に大いに興味を示していたものの、物質面では大きな収穫は得られなかった。
次の遺跡はもっと酷い。

入り口が硬い地面の中に埋没しており、探索自体が不可能だった。
落胆しつつ、次の目的地へと向かい……

見えた。 こここそが今回の旅の本命。
テックハンターの地図に記された古代遺跡群だ。

まずは戸口から様子を伺うが……

げんなりとした顔ですぐに外に出て、ため息を付きながら三人は顔を見合わせる。
「今回も、釣り出し作戦で行きましょうか」
「またまた時間が掛かりそうじゃのう……」
ホッブズーーーーーーッ!!」

今回も、苦戦の連続だった。
頑丈なシェクの肉体のお陰か、ホッブズが損傷を引き受けてくれたお陰か、馬はまだ健在。
今回も彼が釣り出しの主役を引き受ける。

ホッブズゥゥーーーーーーッッッッ!!!!」

再びホッブズが深い眠りにつき……
馬までも倒され、クロトが一人で限界ギリギリまで戦い抜き、なんとかしのぎ切るという場面もあった。

ゾンビが死体を貪る音が響く遺跡群の只中で、三人はゆっくりと攻略を進めて行った。

開け放した遺跡の入り口から、いつの間にか敵スパイダー三体が寝ているクロトに襲い掛かって来ていた事もあった。

リバイアサンが向かってきた時などは、これでもう終わりかと覚悟を決めたものだったが……

気まぐれに進路を取ったその足元に寝ていたという、ただそれだけの事だったりもした。

スパイダーにやられ、馬とクロトは起き上がれない。
ホッブズは、これこそがチャンスだと閃き、一人走り出す。

次々警備スパイダーを誘き出し、リバイアサンにぶつけて行く。

この作戦は大当たり。
2人が気絶している間に、一人で遺跡の中を空にする事に成功した。
そして、お宝は……

優秀な防具が数点と、設計図が幾つか。

どうやら、ここも軍事拠点タイプの遺跡だったようだ。
外に誘き出したまま放置していたスパイダーも、特異体に始末され、全ての敵が片付いた。

クロト達は遺跡内で休息を取りつつ、これからどうするかの相談を始める。
「人の皮を喰らうというミストグールの伝説も、鳥達が集う宝物庫の噂も、未だ吾輩達は目にしておらん」
「CPUユニットも見つかりませんしね……」
「確かに恐ろしい場所ではあるが、ここまでなんとか切り抜けてこられたんじゃ。
 ここで引き返すという手は有るまい」

「僕達は気絶していてよく分かってないですが……
 本当に、ホッブズさんが頑張ってくれていなかったら、今頃どうなっていたか……」
「ウム、面目ない…… 吾輩も、まだまだ全盛期には程遠い肉体であると思い知らされておる……」
「ふぉふぉふぉ、なになに、三人がそれぞれ、死力を尽くしたからこそ、手足の一本ももげずに切り抜けられたんじゃろうて」
そう言って笑うホッブズの顔は、実に満ち足りた表情だった。

「この老いぼれも、まだ戦えるんじゃと、やっと自信を持って言えるような気がするわい……
 ありがとうな、二人とも」
「こちらこそ! ですよね!」「ああ、その通りだ。これからも頼むぞ、相棒よ!」
三人は安全な遺跡の中でじっくりと傷を癒やし……

完治の後、再び旅立った。


「ここも、監視塔ですね」

新たに発見した遺跡も、また崩壊済みだった。
「西に向け、睨みを効かせている、のか?」
「海の彼方から未知の敵が来ておった、という線もあるぞい」

山頂から見渡すと、周囲の地形が手に取るように分かる。
現存している物だけでも、基地2つに監視塔2つ。
古代にはもっと多くの防備があったに違いない。
こうまでして沿岸部の守りを固めているとは……
遥か古代に隆盛を誇った帝国は、こうまでして北西部の「何か」に備えざるを得なかったのか。
ここから更に西、と言うと……

アイアントレイル。
テックハンターから得た情報では、この地に宝の眠る塔が存在すると言う。
胡散臭い噂話ではあるが……
次の遺跡をこの旅の最後の目的地と定め、赤く染まった海を渡って行く。
ゾンビやアイアンスパイダーが海岸線をうろつき、中々上陸ポイントを確保出来ない。

そんな中、ようやく一息ついた海岸で……
ホッブズーーーーーーーーーッ!!」

完全に水没していたアイアンスパイダーが襲撃を掛けて来た。
流石にこれは視認する事が出来ず、不意打ちを受けたホッブズは砂の山に埋もれてしまった。
が、この小さな丘のお陰でゾンビにも気取られにくいのはありがたい。
ここで休息を取り、回復してから行動を再開する事とする。

全快した後、三人は再び走り出す。
「その遺跡、特徴とか分かっているんですか?」
「その塔には常に鳥が寄り集まっているそうだ。一目見ればそれと分かる、とな」

「でも…… それって、酒場で聞いた話なんですよね?」

「何を言うか! その男は高名な探検家なのだぞ!
 ただの酔っ払いとは違うのだ!」

「は、はい……」
何か言いたげなクロトだったが、馬の力説によって反論を封じられてしまう。
そのテックハンター、馬の憧れるような、余程の大物だったのだろう。
アイアントレイル。
鉄の行進。
その名の通りの土地。
アイアンスパイダーの大群とゾンビの大群が激突し、異様な騒音を立てている。

その乱戦のお陰で、やり過ごして目的地へと向かうのはそう難しくなかった。
「それ見たか! 吾輩の言った通りであろう!」
「おお! やるもんじゃのう、そのテックハンターの御仁も!」

鳥の大群が頭上を群舞している。
間違いない。
あれが宝が眠ると言う塔に違いない。
大きい…… 沼地で見かけた「研究所」と同じタイプの遺跡のようだが……
晴れた空の下で見ると、尚一層その巨大さが感じられる。

今回は、隠密能力の最も高いクロトが潜入調査を担当する。
「G、X……? 強化…… 生存……? だめだ、読めない……」
何冊もの技術書が見つかり、サッと目を通してみるが、読める部分は殆ど無い。
やはり、この遺跡もまた「研究所」だったか。
この古代技術研究所で何が研究されていたのか、そこまではクロトの知識で解読する事は出来なかったが……

警備スパイダーの目を盗んで行動する事には、もう慣れてきている。
一切感づかれる事なく、財宝の詰まった宝部屋へと滑り込む。
思わず歓喜の叫びを上げそうになり、慌てて口を押さえるクロト。

目当てのCPUユニットどころか、カリヴァン先生でも入手に苦労していた幻の素材、「AIコア」まで手に入るとは!
バックパックがギチギチになるまで宝を詰め込み、クロトは足早に遺跡から脱出する。
脱出の際、スパイダーに発見されてしまうハプニングはあったが……

無事、振り切って逃げ切る事に成功。
これで、遺跡群の大半は調べ終えただろう。

そろそろ、帰路に着くべき時が来た。
帰りは、行きよりも楽に進む事が出来た。

時に逃げ、時に戦い、彼らは真っ直ぐに「世界の果て」を目指し、走り続ける。
後は、生きて帰る事で、彼らの任務はようやく完了する。
「生きて帰ったら三人でゆっくり話したい事もある。
 くれぐれも気を抜かんで、皆の所まで帰ろうぞ!」
「なんですか? 話なら今すればいいじゃないですか」
「ふぉふぉふぉ、今はまだ勿体なくてな! 落ち着いてからでええわい!」
「なんだなんだ、気になる言い方をしおって!」
途中、ゴーストビレッジと呼ばれるようになったヨルン村……ピカリング達の故郷に立ち寄り……

無人となった家屋のベッドを借り、傷を癒やす。
ここまで来たら、もう安心だ。

着いた。

「無事--安堵」

食料を必要としないコスチュニンが、いつものように正門前で警備に協力している。
ケルトンにも、仲間の無事を喜ぶ感情があったとは。
これは嬉しい驚きだ。
「吾輩も、もう限界である……」「僕も、荷物を下ろしてから……」

「それくらい、私がやっときます。 お疲れ様……クロト」
持ち帰ったCPUやパワーコアを研究台にセット。

これで、クロト待望の技術レベル4の研究に進む事が可能となった。
満ち足りた少年の寝顔を、ダルパンも、カイネンも、デーリアも、ミウも、釣られて笑顔で見守っていた。
すっかり凹み傷だらけになった鎧。
三人の旅がいかに過酷だったか、その痕跡がよく物語っている。
本当に、無事で良かった。
一同は、予め用意してあった包みを解き、支度を始める……

三人が目覚めてからは、財宝と共に無事に帰還した三人を祝う宴会が開かれた。
何せ、長い旅だった。
帰りを今か今かと待つ間に、すっかり蓄えた飲料・食料の量が増えてしまった。
町で一番大きな酒場を借り切り、テックハンター衛兵達も招き、盛大な酒席が催される事となった。

「そこで、鳥の群れがブワーッと、まさに言い伝えの通りに飛んでおっての!」
「だから言ったであろう! 吾輩はかの御仁を信頼しておるのだからな!」
「財宝も良いが、我が主の無事の帰還が、オレにとっては何よりの宝だ!」
「もう、あまり無茶しないでください……」

今日ばかりはデーリアも大いに酔っ払い、ダルパンも涙で瞳を潤ませている。
宴はまだまだ続きそうだ。
酒席が騒々しくなった所で、ドクターが席を立ち、外の空気を吸いに出る。
「酒飲みの与太話にも、この世の真実はある、か……
 これだから、この世は面白い。まだまだ分からない事だらけだ」

そう、一人ごちて空を見上げる。
 

「鳥の群舞する古代の塔、か……」
 
 
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります