気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-34:西部編⑪

浮浪忍者の里を発ち、東の山岳部へ……
「世界の果て」と呼ばれる町は、この方角にあるらしい。
「これは…… 案内されないと分かりませんね」
「だろ? 下から見上げても分からないようになってるのさ」
「それじゃ、お姉さんが手を握っててあげるから、ちゃーんとついて来てね!」

久々の再会で舞い上がっているカイネンをパスクリがゲンコツで黙らせながら、一行は狭く縫うように入り組んだ山道を登っていく。
切り立った断崖により、外部からその町の存在を確認する事は難しい。

ここが、「公認された隠れ家」。 通称ワールズエンド。
世界の果てである。

第三部:西部編⑪ 世界の果て

「ウム、浮浪忍者の者か。通ってよし」

「ご苦労さまでーす!」
カイネンが軽く挨拶し、あっさりと門を通る事が出来たが……

クロトは見落とさなかった。
彼らの防具についた無数の傷と、歴戦の戦士のみが持ち得る貫禄を。
シェク百人衆の持つ肉体的迫力ともまた違った、達人の持つ凄みというものが、すれ違うだけで感じられる。
おそらく……転換の日から今日まで、延々この町をゾンビの魔手から守り続けて来たのだろう。
それにしても、この防備、この兵力は一体どういった物なのか。
隠れ里……と言うには随分と大きい。
「ここって、どういう町なんですか?」
「ここは、テックハンターの町だ。
 主に、大陸北部、ホーリーネーション側で活動しているテックハンターと、マシニストが集まる拠点、だな」
「科学技術の伝播を禁じているホーリーネーションが、よくそんな町を許していますね」
「ああ、それなら……」
パスクリが答え、町のもう一つの門を指差す。

「皇帝像?!」
「形だけでもああして恭順を示してやれば、案外交渉は楽だった……らしいぜ」
なるほど…… それもそうだろう。
都市連合やシェク王国との戦争を繰り返しているだけではなく、カニバル、フォグマン、ゾンビの驚異にも晒されている。
更にテックハンターやマシニストまで敵に回すとなると、ホーリーネーションという国家は成り立たなくなって行くだろう。
こうして僻地に町を構えて直接敵対して来ない限りは、相互不干渉も認めようと言う所か。
あの原理主義者の帝国にしては珍しい事だが……
ホーリーネーション・シェク王国間での停戦合意の件もある。
余裕が無い、か。
案外追い詰められているのはあちらの方かもしれない。
「そんな訳で、この町でなら聖帝国ご禁制のあれやこれやも扱ってるって訳なの。
 何せこの町にはマシニストの本部があるんだから、クロトくんのお仲間さんにもすぐ義肢を用意出来るはずよ!」
マシニストの本部、ですか!」
まずは義肢の調達からとして、全員で行く事もない。
まずは酒場で一休みしつつ、買い出し班を出す事にするが……

クロトは興味津々でこの町の事をパスクリ&カイネンから聞き、熱心に話し込んでいる。
その間、コスチュニンとハムートが負傷者を運び、一足先に義肢店に向かう。

マシニストの店と言うと…… ここか?」

「いや、違うな。ここは建材屋か」
「発見--書籍」
「おお?! これは、クロト君が飛び上がって喜んでいた、科学書、というヤツか!」

「80点。 なかなか良い売り物件も出ているようだね」
「長期滞在するなら、家を買っておくのもいいかもしれないな」

「おお、義肢屋の看板! ここだな」

「称賛」
「ああ! これは凄い! 殆どスケルトンの手足と変わらない出来栄えじゃないか!」

グリーンとシルバーシェイドは欠損した四肢を新品の義肢と交換。

グリーンは義手の力で以前にも増して射撃能力が上がり……

シルバーシェイドは義足の性能によって今までより速く走れるようになった。

と、外で警報音が鳴り響く。
敵襲。
ゾンビの群れの出現だ。

「ボスゾンビが混じっていませんようにっと……」

手慣れた様子でテックハンター達が走り出す。
彼らの実力ならば、変異体さえ出現しなければ特に問題は無いようだ。
慌ててクロト達もザコ討伐と死体処理で協力すべく現地に向かうが……
「ぐはっ!?」

「す、すみません!! 大丈夫ですか!!」
「な、なんのこれしき…… 吾輩は平気だ! 気にするでない!」

敵味方共に数が多く、乱戦の中で誤射が発生する事もしばしば……
やはり、前衛には硬い防具を揃えなければいけない。
クロト達、経験を積んできた前衛ならば、もう下級ゾンビ相手に苦戦はしない。

お気に入りのコートで軽装のまま戦っているホッブズも、景気よく敵を倒して行く。
「痛っ!!」 「ご、ごめんなさい!!」

今度はブロージオが誤射をしたようだ。
つまようじ級の弾丸でまだ良かったが……
これがグリーンやダルパンの使う重ボルトの一撃だとただでは済まない。
敵の数が減ってきたので、射撃班を下がらせ、前衛だけで敵を片付けて行く。

「ほげ? もう終わりかの?」
「案外早く片付いたな」
やはり、この町のテックハンターは桁外れに強い。
戦いは一方的な駆逐で終わった。

一仕事を終え、酒場で一服する一行。
その席の一つから、クロトに声を掛ける者があった。
「見ていたよ。噂の特務隊の職務」
「貴方は……?」

どこかで見たような風貌。
「どこかで、お会いしましたか?」
「姉がウェイステーションで君と会っている。
 外骨格が違うだけで、顔は殆ど同じだよ」
「あっ、ああ! あの時の……」
大砂漠からブラックデザートへと向かう直前、ダルパン、デーリア、スヴェア、グリームの四人と出会ったあのウェイステーションにいたシェクの外交官か。

シェク王国 「世界の果て」駐在外交官 シズメ
彼女の名はシズメ。外交官メズシの妹で、同じく外交官としてこの地に赴任しているらしい。
「こうして、傭兵ギルドの者とも話していましたが……
 同盟の拡大こそ、世界を守り抜く術であると、私達は考えています」
「はい。 僕達も同じ考えです。
 その上で、治療法や、対抗策等も見つける事が出来れば、と……」

「貴方達特務隊によるサンプル採取のお陰で、科学的な解決策も研究が進んでいるようですが……
 それは、私達では測り知れぬ深奥なる学問の領域。
 外交交渉でこそ私達の力が発揮できる、という事なのですが」
「……が、と言うと?」
「国同士の交渉となると、やはり様々な面で角が立つもので、第三者による調整が必要となるのです」
「俺達のような、な」
なるほど、それでテックハンターや傭兵ギルドが外交官と共にいる事が多いのか。
「つまり、あちこちでその役目を果たして来た君に、また一仕事お願いをしたいのです」
「ここでの交渉と言うと…… マシニスト、でしょうか?」
「ええ」
都市連合所属の組織ではあるものの、特定の勢力に依らず、ただ古代史、及び古代技術の解明のみを目的としている組織。
様々な破滅の危機を経て、人類を存続させるためにこそ、その知識を使うという信念を持つ。
幼くして父が戦場へ旅立ったクロトにとって、父代わりと言ってもいい、恩師カリヴァン。
彼は一人のマシニストとして、多くの子供達に多くを伝え、辺境の村に大きな貢献を果たし、そして、散っていった。
ドッグレットの目指す未来もまた、マシニストへの道だった。
クロトにとっても、マシニストとは尊敬と憧れの対象なのだ。
「僕も、訪れてみたいとは思っているのですが……
 総本部に、僕なんかがどう言って尋ねればいいのか、悩んでいた所で」
「あら、気にする必要はありませんわよ?
 あそこの所長、気難しそうには見えますが、旅人と話す事を何よりの楽しみとしていますから。
 何か質問がある、と適当な理由を付けて尋ねてみると良いかと」
「はい!」
「そうね…… 同盟の事なんかは一度忘れて、純粋に、貴方が知りたい事を尋ねに行って、仲良くなる事……
 まずは、貴方自身の目でマシニストという組織を確かめて来る事。
 それが大切だと思います」
そう言うと、シズメはサラサラと一筆したため、クロトに紹介状を手渡した。

「追い返されるような事は無いかと思いますが、一応先に紹介をしておきましょう。
 明日の朝にでも尋ねてみてください」
「ありがとうございます! 助かりました!」

そして、翌日……

「待ちなさい、そこの少年」
「あ、はい?!」

「先に言っておく。
 世界の真実だとか、歴史の闇だとか、そのような情報を求めて来たのであれば、無駄であると」
「えっ……? いえ、別に、僕はそこまでの事は……
 そりゃ、教えてくれるなら嬉しいですけど、スケルトンの方って大体いつも話をはぐらかしますし、僕もそういう話を聞きに来た訳ではありません」
「フム。ならばよろしい。 ここに来る連中にはそういった手合いが実に多いのでね。
 何せ、スケルトンの記憶容量にも限界がある。
 数千年前の事を聞かれたとて、私自身答えを出せないという現実に苦悶せざるを得ないのだ」

「僕が知りたいのは、ここ数年の出来事です」
「ならば、好きなようにするといい。
 私は忙しい身なので失礼するが、職員達になら何でも尋ねてみるといい」
「はい。ありがとうございます」

忙しいと言う割に、僕の来訪を玄関で待ち続けていたんだな、とは思っても、それを口にするのはやめておいた。
おそらくは、あれが気難しいと評判のマシニストの所長「イヨ」なのだろう。
どうやら、嫌われてはいないらしい。
ならば、ここで聞くべき事、知るべき事を尋ねてみるとしよう。
「辺境開拓計画、ですか?」
「はい。僕の故郷はその計画で都市遺跡を再建して作られた、スケイル村と言って……」
「おお、知っているよ! ウチからも何人か出向いていたからね!」

「そうかい。ダウレット公も、カリヴァン君も、死んでしまったのか……」
「確認された死者は数名で、殆どの住人は行方不明のままなんです。
 何か手がかりでも無いものか、と思って情報も集めてみましたが、何も……」

「住人の事は分からないが、カリヴァンの事ならよく覚えているよ」
「どんな人だったのか、詳しく知りたいです!
 僕達に様々な専門知識を教えてくれた恩師なんです!」
「あの人はロボット工学の天才さ。
 スケルトンそのものを人間の手で製造してみせるってのがあの人の夢だったんだけどね……
 果たせぬまま、死んじまったかい……」

「すごい設備ですね!」
「彼もここで研究を続けていたら、夢に手が届いていたかもしれんのだがなぁ
 友の夢……古代都市の再建に力を貸す…… そちらを優先したのだろう」

「科学の天才、医学の天才、心理学の天才……
 様々な才人が、ダウレット公に付いていったよ。
 彼の掲げる理想の高さは、多くの天才を惹きつけた」
「ただ…… 彼は、貴族にしては先進的すぎた。
 秘匿すべき技術をも、民衆のために役立てようと、辺境の村に惜しみなく注いでいったからね」

「公の娘…… ドッグレットにも、似た所がありました。
 カリヴァン先生から教わった知識をすぐに役立てて、風力発電の効率を高めたり……」
「それならまだ初級技術の範囲内だが、君達のような若さでそこまで実践に移せるというのは大した物だね」
「はい。知識をみんなのために役立てるだけの力とする……
 僕達の誇りでもありました」

結局、クロトが聞く事が出来たのは、マシニスト、カリヴァンの過去。
そして、貴族の末席にあった男、ダウレットの過去だけ。
レットの父、ダウレット。
民衆のために、という理想のために「奴隷愛好家」と見なされ、ロードの称号を得ることなく辺境開拓計画へと左遷された、という事らしいが……
クロトから見れば、いつも神経質で苛立ちを誰かにぶつけている「貴族らしい貴族」にしか見えなかった。
それは、クロトが愛娘であるドッグレットの恋人であるがために向けられていた敵意……ではないはずだ。
ドッグレットは、いわゆる「妾腹」だ。
だから、ドッグなどと名付けた。
父から愛情は注がれていなかった。
それでも尚、自身の知恵と努力で父の信頼を勝ち取ったドッグレットを、クロトは心から尊敬していた。
掲げた理想を辺境で花開かせつつあった公が、何にそんなに苛立っていたのか……
「有益な情報は得られたかね」
「はい」

「それにしては、浮かぬ顔だが」
「一つを知っても、また一つ新たな疑問が沸いて……」
「学問とはそういう物さ」
「せめて、これで何かが分かるといいのですが……」
クロトの眼前には、2冊の本があった。

「辺境開拓計画。第一期計画と、第二期計画。
 残念ながら、二期の方は見ての通り、読める状態ではなくなってしまったがね」
「それでも、助かります。 僕の村は一期、西部開拓の方なので」
第一期計画:北スケイル村 南スケイル村
第二期計画:フリセ村 旧タンサー村 新タンサー村
義理の父になるはずだった男は、「赤の反乱」以来の食糧危機問題を解決するための一大計画の先陣を切って成功を収めていた。
偉人、と言ってもいい。
あのドッグレットの父なのだ。 凡人であるはずもない、か。
クロトは必死になって計画書を読み耽り……
そして、自身がいかに恵まれた地で暮らしていたのかを思い知らされた。
「結局、知りたい事は2つ、です。
 どうして村が壊滅したのか。
 そして、ドッグレットはどこに行ってしまったのか」

「テックハンター達も躍起になって謎のスケルトン部隊を追っているが、手がかりはつかめていない。
 あの南東方面に姿を消したと言うのだから、追跡が困難なのも仕方のない事だね」
「このご時世では余計に、ですね……」
ただでさえ魔境と呼ばれる南東エリアにゾンビまで加わったのだ。
歴戦の冒険家であれ死の覚悟をして向かわなければならない場所になっているであろう事は想像に難くない。
「ありがとうございました」
「何かあったらまた来たまえ。では、仕事に戻るとしよう」

(・・・・・・・・・・・)
やはり、スケルトンは嘘が下手だ。
第二期計画書は、どう見てもつい最近焼かれた物にしか見えない。
ご丁寧に原型を留める焼き加減で、文字が読めなくなる程度にダメージを留めている。
先生の使っていた感光印字装置でなら、出力を調整して、丁度ああいった状態に出来るかもしれない。
きっと、彼らが見せたくない物が南東に存在するのだ。
それはきっと、スケイル村を襲った古代の機械群とも関係する……
第二帝国に繋がる……
いや、よそう。
中途半端な知識で推理を進めて、それでどうしようと言うのか。
僕にはもう、仲間を率いる隊長としての責務がある。
僕達の実力で、南東に隠された何かを探りに行くのは自殺行為だ。
ダルパンにも誓ったじゃないか。
手がかりが見つからない限りは、ドックレットの行方を探しには行かない、と。
そう誓った。
ゾンビの蔓延る世界で、古代帝国の陰謀と戦うのは、どこかの誰か、もっと偉大な英雄にでも任せておけばいい。
僕が向かうのは、南東じゃない。
北西だ。
クロトは口うるさいハイブの書紀官に事務手続きを済ませてもらい、特務隊との協力関係の締結と、この町の土地利用許諾とを得て、皆の元に戻っていった。


「実りある会合になったか?」
「どうでしょうか。よく分かりません」

「まあ、ともかく、事務手続きは済んだのであれば……
 私達が許可を出そう。 構わないな? ピアザ殿」
「勿論、異議はない」

シズメは、クロトの指紋を捺印し、書類を完成させた。
「これで同盟の締結は完了。クロト隊もこの町に家を持つ事を許された訳だ」
「メズシさん、物のついでです」
「ああ、そうだな。 おい、ドハン!」
「今度はワシの番か」

ドハン、と呼ばれた男が臨席にクロトを招く。
「ワシはこの町を訪れ、入門を求める若き探検家達を見る、面接官のような者。
 つまりは、テックハンターの資格を与える権利を持っておる、という訳よ」
「それは、つまり……!」

「聞けば、北西に向かうらしいではないか。あの地も、生半可では行かぬぞ」
「はい。入念に準備をして行くつもりです!」
「ウム。恐怖より、因縁より、未知への挑戦が勝る……
 お前達はもう立派にテックハンターの魂を持っておるな。
 今日から、テックハンター、そして、マシニストも、正式に同盟に加わる事とする。
 施設も、人員も、必要に応じて利用するといい」
「あ、ありがとうございます!! この上なく、心強いです!!」

「傭兵ギルドの外交官、ゲーンと言ったか。
 あやつからの推薦もある。傭兵ギルドも正式に同盟に参加する事を決めたそうだよ」
故郷の過去を掴めた事より、こちらの方が百倍嬉しい。
人類の滅亡に抗する対ゾンビ同盟が、また大きくなったのだ。
これで、正式に同盟を組めたのが、
都市連合、帝国農民、浮浪忍者、シノビ盗賊、テックハンター、マシニスト、傭兵ギルド
非公式に同盟関係にあるのが、
トーダーズギルド、奴隷商人、シェク王国、ツインブレード、ハウンズ、ゾンビハンター
となる。
非協力的なのは、一部のスケルトンとホーリーネーションだけ、と言ってもいい。
敵は孤立を深めている。
これは、都市連合にとっても大きな成果と言えるだろう。

「と、言う訳で、許可はいただけました!
 また頑張って力を合わせ、建て直しましょう!」

以前と違い、廃墟を買った訳ではない。
少々値は張るが、ここで生活するための拠点を持てるというのは大きい。
悪くない投資だ。
「私達の新居、ですね…… ちょっとワクワクします」
「さて、何から用意するのかの?」

「当然、まずは……」
「研究台を設置し、スクイン組と成果の共有を行います!」

「フフ、我が主はマシニストに感化されて、すっかりその気になってきたようだな」
「95点。 良い傾向ではないですか」
「ちょっと、悪い知らせだよ。
 ここらでは鉱夫で稼ぐ事は出来ないみたいだ」

農業知識に長けたミウが地質の調査を行ったが、周囲に鉱床は全く存在していない事が分かった。
これは、継続的に安定した収入を得る手段が無いという事を意味する。
「ムゥ、残念だが、吾輩達が長期滞在するには向かない町か」
とは言え、しばらく滞在を続けるだけの資金はある。
ここから先、目指すのは……
いよいよ、大陸北西部、リヴァイアサン海岸なのだ。
準備は入念にしなければならない。
生活のための拠点はあった方がいい。
ベッド、食料庫、訓練設備、生産設備……

様々な設備の設置・開発が始まる。
ドクターにくっついて来た無口な少女、エリーコの訓練も続けていく。

コスチュニンも、戦い続きで傷んだ機体を義肢店の設備を使って修復する。

パスクリとカイネンは、スクインでの新設部隊の成功を聞き、自分たちも真似てみようと、防具生産を学び始める。

鉱石は採掘できないが、皮はゾンビから獲れるし、布は町で買える。
皮防具の生産を繰り返し、2人はスキルを高めていく。
店で仕入れられる布地の数はそう多くない。
数を補うため、ミウは故郷で農業を手伝っていた際のスキルを活かし、綿花から布地を織っていく。

何せ皮だけは大量に獲れる。
なめし革の生産によってスキルは順調に伸び始め……

ミウ、パスクリ、カイネンの共同作業によって順調に革鎧が編み上がっていく。
暇を持て余した面々は、砲塔を扱う訓練を行う。

いつどこであろうとも、対ゾンビ戦闘で誰かが砲座に着く状況があり得る。
こうした地道な訓練もいつか役立つ時が来るかもしれない。
そして、この町の武器・防具の品質は中々の物だ。

ここから北西に向かうメンバーは決まっている。
クロト、ホッブズ、馬、の三人だ。
この三人を中心に、装備を更新して行く。

隠密/重装を切り替えて進むための装備を三人分揃え……
「あのコートは気に入っておったのだがの」と不満顔のホッブズにも侍鎧を着せ、戦闘によって状況を打開する準備も整える。
また、ゾンビ討伐で敵から奪った兜が毎回余るので……

町の忍者衛兵に配布し、防衛力の強化を行う。
彼らは兜を被らない主義のようだが……
シェクゾンビ等の強敵に対し、無防備な部位を晒して戦うのは得策ではあるまい。
クロトの提案を受け入れ、彼らの大半が兜を装備して行く。
そして、MkIII等級の野太刀や、高品質の鎧等、新装備を配しての戦闘試験も行う。

既に、ハイブソルジャーとの一騎打ちにも負けないだけの戦闘力を身に着けた。
そろそろ、頃合いか。
クロト達三人は旅立ちの準備を進めていく。

そうしてクロト達が支度をしている一方で、日々の生活の中、新しい出会いもあった。
ホーリーネーションで迫害を受け、この町に逃げ込んだはいいが、食いっぱぐれて立ち往生しているハイブ人……

彼の窮状を見かね、部隊に勧誘したのはハムートだった。

浮浪忍者に憧れるハイブプリンス ペイトソン

彼もまた、転換の日以来「巣無し」となって行き場を失った者だった。
戦力低下を憂慮している浮浪忍者の里の追加人員として連れて行ってやろう、と、クロトもハムートの勧誘に同意した。
そして……
そろそろ旅立ちの時か、と思ってはみても、そう簡単に事は進まない。
この町は、西には浮浪忍者側に面した入り口、東にはホーリーネーションに面した入り口があり、そのどちらからもゾンビが発生し、山頂目指して登ってくる事が多い。
その襲撃頻度の高さは、異常と言ってもいい。過去、それだけ多くの戦死者が出た戦場だった、という事だろうか。

その殆どは低級のゾンビだが、とにかく戦闘頻度が高い。
屈強なるテックハンター達の奮闘もあり、連戦連勝を重ねてはいるが、時にはテックハンターが片足を失う事もある。
とても任せきりには出来ない。
クロト隊も新人を拠点に残し、極力迎撃に当たる。

日々勝利を重ねるが、ダメージを回復させる間に、また次の襲撃が……
結局、隠密で走れるようにと軽装防具を用意し、出発の準備が整うまで、一週間以上掛かる事となってしまった。

皆が心配する中、クロト達はいよいよ……
ホッブズと馬の夢見てきた、伝説の眠る場所。
北西、リヴァイアサン海岸に向かって出発する。
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります