気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-24:西部編①

「頼む……! 意識は戻っているはずなんだ……!
 頼むから……」

「・・・・・・・・」
「おお! 見えるか!? 私が見えるか!?」

「せん、せい……」
「おぉ…… おぉぉぉぉぉ…… 良かった、本当に……
 そう、き、君だけでも、助かってくれて、本当に……」
(そうか、助からなかったんだ……)
「約束は…… ……が、東に…… ……秘密……」
「ああ、手術の事は忘れる。 秘密は墓まで持っていくよ」

「X…… は…… ……代償は高く……」
「分かっている。 これからは君達のために力を尽くそう……
 何でもやる。 何でもな……」

第三部:西部編① クラウンステディ

誰もいない、滅びた故郷に帰る必要なんてあるのか?
レットは、もうそこにはいないのに。
「それでも、行くべきです」
ダルパンは、微笑んでそう言った。
「クロトが探さないで、誰が探すって言うんだい」
ミウがそう後押しする。
「ここまで来たんじゃ。今更立ち止まる事もないじゃろ」
「その通り。 吾輩達も納得できんわ。
 故郷を見て、それから、先の事を考えるといい」
ホッブズも、馬も、そう言ってくれる。
だから、目指した。
ダルパンが単身、僕を狙う敵を側面から狙う。
助かる。
でも、無謀だ。
既に戦線は崩壊している。
ダルパンの側面から、忍者達が襲いかかる。

ダメだ。 ダメだ。
助けに行けない。
間に合わない。
ああ、ああ……
ああ、あぁぁぁぁぁぁ……

ダルパンの足が切断され、川面に浮かんだ。
その直後、意識が途絶え……
僕達は全滅した。

物資を奪ったスワンプ忍者は、足早に立ち去って行った。
別に、それは奴らの慈悲ではない。
血の匂いを嗅ぎつけ、野生生物やゾンビが集まって来るのを警戒しての事だ。
立ち上がると同時に、ダルパンの所へ走る。

間に合った。
命は取り留めた。
でも、彼女の足は、永遠に、もう……
戦闘中に止血を終えていたシルバーシェイドも、命に別状は無いようだ。
一安心して、まずは川を渡り切ってしまう事にする、が……
スワンプ忍者達が早々に立ち去るのも、賢明な判断だという事だ。
ゾンビが姿を現す。

仲間を担いだまま、片手で応戦する羽目に。

幸い、敵は一体のみ。
無傷で倒す事が出来た。
しかし……
担ぎ手より、倒れた者の数の方が多い。
寝袋も足りない。

「どう、すれば……」
軽いダルパンの体を肩に抱えたまま、クロトは働かない思考をなんとか落ち着かせようとする。
何人かを置いて行く? あり得ない。
ここでこのまま回復を待つ? だめだ、時間が掛かりすぎる。危険だ。
ダルパンとシェイドを早くベッドに寝かせてやりたい。
でも、足をやられたメンバーも多く、半分以上が今も昏睡状態。
ああ、どうしたら……
「行くのだ、クロト殿」
「そうじゃな」
馬とホッブズが、力強く呼びかける。
「クロト殿は足が健在。我らの中で最も速い」
「ここはワシらがなんとか守り切る。
 ダルパンちゃんを早く寝かせてやるとええ」
「でも、僕は、みなさんの隊長で……」
「行ってあげて。クロト。
 あんたの事が大好きな、その子のために……」
しばしの沈黙の後、クロトは歯を食いしばって……
それから、礼を述べ、謝罪し、走り出した。

ああ、軽い。
足一本を失った、女の子の体。
これくらい、どうって事は無い。

甲冑や、鉄の枷に比べれば、どうってことはない。
僕はまだまだ走れる。
急ごう。
置いてきた皆が心配だ。

自由都市、クラウンステディへ……
夜明け前、薄暗闇の向こうに、ぼんやりと見えて来る。
あれが商人ギルドの町、クラウンステディ。

丘を越え、川を渡り、正門へと走る。

門番に頭を下げ、酒場へと急ぐ。
入るなり、店主にcatを投げ、2階へ駆け上がる。

ダルパンの意識はまだ戻らない。
目覚めた時に混乱しないよう、書き置きをコートの懐に入れてから立ち去る。

門番に、特務部隊の一員である事を伝えると共に、ダルパンがスワンプ幹部の関係者であると知らせておく。
これで、寝ている間に襲われる事も無い…… と、信じたい。
断腸の思いだが、急いで戻らなければ。
みんなの所に。
交代で横になりながら、一行は川辺で体んでいた。
いざと言う時に水深の深い所に逃げ込むためだ。

元より、安全策として水際を走っていたのだが、背後から忍び寄るスワンプ忍者に気付けなかったのは痛恨の極みだった。
が、隊長を責める事など誰も出来ない。
町が近い、スワンプを抜けた、と浮かれていたのは全員同じだ。
踏みとどまって戦ったのも、間違いだったとは言えない。
川に足を取られた状態でモタモタと深みを目指していたら、背後から斬られ、より酷いダメージを負っていたかもしれない。
数人の忍者は返り討ちに出来た。
今も足元に死体が転がっている。
少し賽の目が違えば、勝てた戦いだったかもしれない。
満身創痍だが、誰も死ななかった。
今ゾンビの群れに襲われれば、今度こそ終わりだったが……
幸運な事に、それから一体の敵も現れなかった。
合流。

何人かが目覚め、担ぎ手の数は足りている。
急いで町に向かおう。
グリーンが、歩けなくなったシルバーシェイドを担ぎ上げるのを見て、
ハムートがつぶやく。
「また、守りきれなかったか……」

ハムートのドロドロとした憎悪の感情をなだめるように、ミウは優しく復讐を誓う。
きっと、彼らにしか知り得ない地獄が、過去に存在したのだろう……
小高い丘陵地帯を南へと走り続け、クラウンステディの町並みが見えてくる。

「食肉--発見」
コスチュニンが指差す。
この世で最弱の生物とも言われるスワンプタートルが二匹、フラフラと歩いている。
食料の多くを奪われた今、ボロボロの体であろうと素通りは出来ない。
仕留めて、食料を確保しなければ。

クロト達、現在意識のある者は、一度地面に気絶者を下ろし、スワンプタートルへと向かった。
その、最悪のタイミングで、ゾンビが現れる。
亀に向かって走った、丁度その背面方向から。

クロトは、また判断を誤ったか、と駆け戻り、肝を冷やすが……
野生動物のお陰で、難を逃れる事が出来た。

ラプターの群れが姿を現し、共に協力してゾンビを叩く。

倒れた仲間達に向かってきたゾンビは、それで全て倒すことが出来た。

と、そこに…… スワンプタートルの群れが通りすがる。

流石に、非力な攻撃しか繰り出せないこの生物が相手だろうと、ゾンビと一戦交えた直後にこの数を相手には出来ない。
ごちそうの山が通り過ぎるのを、ただ見送る事しか出来ない。
この世界の底辺の生物と言われるタートル達よりも、今の僕達は更に下、なのだ……

だが、先に倒していた2匹からは肉が取れた。
これで今すぐ飢餓に苦しむという事は無くなった。

一行はダルパンを寝かせたままのクラウンステディへと急ぐ。
川を渡り、正門へ…… と、また、川に足を取られている最悪のタイミングで敵が現れる。
「おお、兄ちゃん、ハイブ一体ならどうとでもなるだろ!
 殺ろうぜ!!」

「ダメです!! よく見てください!
 あの頭部の形状は、ハイブソルジャー!
 いつものハイブドローンのゾンビとは戦闘力が段違いです!
 門はすぐそこ! 門番さんに任せますよ!」
「チッ、仕方ねえな! 了解だ!」
クロト達はクラウンステディの門番に敵襲を知らせながら、市内へと駆け込む。

それを臆病だとそしる者はいない。
彼らはもう、十分すぎる程に痛めつけられていた。
志願して衛兵を務めているつわもの達だ。 侍の苦境を見過ごす者はいない。
「マジかよ…… 重装の侍衛兵相手に素手でアレか!?」
「ソルジャーを侮ってはいけない…… 手足は細くともな……」

肩越しに侍の苦闘を眺めながら、一行は宿へと急いだ。
皆を宿に向かわせ、クロトは一人憲兵隊へと向かった。
まだダルパンが意識を取り戻すまでは、かなり掛かりそうだったし……
クロトには、どうしても確かめなければならない事があった。

多くの事件記録を保管する憲兵隊であれば、詳しい話が聞けるはずだ。
「お前の出身は北スケイル村、か……」

その表情だけでもう、覚悟が決まる。
ミウの話は本当だったんだ、と。

侍達がスケイル村を訪れた時、既に全ては終わっていた。
南北スケイル村、共に死体の数は少なく、生存者は見つからなかった。
つまり、ミウの話通り、殆どの住民はスケルトン達によって東へと連れ去られたのだ。
そして、レットはその中にいなかった。
生存の可能性はある。
絶望的な、藁をもすがるような、ありえない希望でしかないが、可能性はゼロではない。
それでも……
生存者が誰も見つからなかったという報告は、クロトを苛むには十分な悲報だった。
それ以上の情報は、ドリフターズラストの町で調べればいい、との事。
クロトは憲兵司令に礼を言い、警察署を後にした。
ベッドに倒れ込むと、途端に睡魔が襲ってくる。

他の皆より傷は浅い。
肉体の能力は、転換の日の当初から比べれば、かなりマシになってきただろうか。
それでも、侍の隊長を務めるようなレベルには程遠い。
もっと、もっと……
慎重に、正しく、判断できるようにならないと……

浅い眠りから覚め、皆より早く起き出したクロトは、一人「仕事」を開始する。
壁外に転がっているゾンビや、檻の中に入れられたゾンビの処理をして行く。
と……

まだ生きている。
そう、だ。 本来、ここは人間を拘禁する場所。
奴隷市も程近いクラウンステディでは、こうして逃亡奴隷が逮捕拘束されている事も多いのだろう。
どれだけ酷い扱いをされても、逃げ出す事は許されない。
どれだけの悪政を敷いても、為政者が咎められる事はない。
「赤の反乱」が示すように…… 都市連合とは、そういう国だ。
どう、する……

故郷は目の前。
クロトは南西の方角を眺め、途方に暮れる。
今、何をすべきか。
まず、真っ先に何をすべきかと言えば……
それは、ダルパンとシルバーシェイドの義足を手に入れる事だ。
だが、この周辺で義肢を扱っている場所があるだろうか……?
都市連合南西部は、田舎だ……

クロトは溜め息をつく。
どうすればいい……
次の町、ドリフターズラストに着けば、スケイル村は目の前。

遥々、北東の果てから南西の端まで、ここまで旅して来た。
今更、足を止めて…… どうすると言うんだ?
だが、仲間を肩に担いだまま旅を続けるのは、この貧弱な部隊では自殺行為に等しい。
所持金は底を尽き、食料も僅かしか無く、大切な仲間が2人、足を失った。
僕は、どうすればいい……?
 
 
 
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
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