気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-25:西部編②

「悪いのは私です」

「でも……」
「私が、無茶をして、こうなったんです……
 責任なんて、感じないでください」
彼女はいつだってこうだ。
控え目で、自分を責めてばかり。
部隊の被害の責任を負うべきは、当然隊長である自分だ。
どう言い繕っても、無茶な旅に引きみ、後方の警戒を怠った自分のせいである事に違いは無い。
「待ってますから……
 ちゃんと、クロトは、自分の為すべきことをして……」

酷く血を流してしまった。
やっと意識を取り戻したばかりの、弱々しい声。
そんな彼女に、僕はなんて無責任な事を言おうとしているのか……
「君に決めて欲しいんだ」
それが自分にとっての免罪符であるかのように、決断を丸投げしてしまう。
頭の中がグチャグチャで、もうどうしていいか分からない。
だから、彼女がどう答えるのか知っていて、責任を押し付けてしまう。
最低の隊長だ……
「私、今から酷い事を言いますね」
どんな暴言だって言い。
むしろ、罵られた方がどれだけ気が楽か。
「もし、婚約者さんの手がかりが何も見つからなかったら、その時は……」

「もう探しに行かないって、約束してください……」
それは、少し予想外の……

第三部:西部編② ドリフターズラスト

方針は、出発で決まった。
だが、しかし……
「私は行かないよ…… もう、見たくはないから……」

憲兵隊に間借りしながら、ボロボロになった部隊を少しずつ立て直して行く。
その間、力不足を自覚したミウ達は、それぞれ自発的に訓練を開始していた。

ミウが嫌がるのも無理は無い。
地獄のような体験をする事になってしまった旅の始まり。破滅した村。
その現場まで連れて行くなんて、とても……
「ダルパンの事なら、私がちゃんと見といてあげるからさ。
 後は任せて、行って来なよ」
「そう、だね……」
とは言え、すぐに出発出来る訳でもない。
金も、食料も、深刻な不足状態。
しばらくは、鉱夫をして旅費を稼がなければ。

足の速い自分と、頑丈なコスチュニンの2人で、町の外の鉱床を掘る。
やがて、起き上がれないシルバーシェイドとダルパンの2人をベッドに残し、他のメンバー全員が回復を終えた。

飢餓一歩手前。このまま町に留まっていても、適度なゾンビが都合よく来て倒されてくれでもしない限り、ドン詰まりだ。
クロト達はこの先どうするかを相談していた。
「ワシらは残ろう。
 クロト殿が離れるとなると、特務隊正規の身分を持っておるのはワシらだけになるからの」
「戦力的にも、比較的マシな吾輩達が残り、もしもの時に備えた方がよかろうしな」

「私は残り」「私は同行します」

JRPG種の2人、褐色のドリルが残留し、白い肌のフェルンが同行を申し出る。
射撃要員である2人が2人とも抜けると、道中危険だろうとの判断だ。
シルバーシェイドからの要望もあり、これにグリーンも加わる。
「シャクには障るが、俺達新人は遠慮しといた方がいいだろうな。
 足手まといにはなりたくねぇ」
モムソーが辞退し、ハムートも黙って頷く。

「先生は…… 付いてきてもらいたいな」
「ああ、ドクターの記憶が戻れば、もしかしたらドッグレットの手がかりだって出てくるかもしれないしね」
「さて、では、攻撃作戦はいつになるのかな?
 命令を下してくれれば、私はガッターのように奴隷商をブチ殺してやるぞ!!」

大声を上げてハムートが立ち上がる。
「おいおいおい、おっさんもう酔ってんのかよ! 酒弱ぇーな!」
「まったく…… これだから、私はやっぱりここに残らないとね」
困り果てた顔で、苦笑するミウ
そんな彼らの様子を……
一人の形成外科医が、黙ったまま、酒場の片隅から伺っていた


方針は決まった。
まず、ここクラウンステディから程近いウェイステーションに立ち寄り、次にドリフターズラストへ。

そこからクロトの故郷を目指す。
道中で義肢を売っていれば、故郷に向かわず、その場で引き返す。
もし、一ヶ月しても戻って来なかったり、滞在が不可能となる事態が訪れたら、残留班はクロト達を待たずに旅立つ。
そう決定した。

隊長のクロト、
故郷を見せるため、ドクター・チュン、
クロトを守るため、デーリア、
射撃援護のため、グリーンとフェルン。

この五人で「北スケイル村」を確認し、戻る。
クロトは完全に気が急いていた。
所持金は乏しいままだったが、これ以上ダルパンとシェイドを寝たきりにはしておけないと、最低限の準備のみで、大急ぎで出発する事に。
まず、中継地点のウェイステーションに到着。

このステーションには、スパナのマークの看板が出ている。
あるいは、ハイブの技師が義足を売っているのでは、と期待を掛けて店に入るが……

ここはただの建材屋だった。
肩を落とし、クロトは酒場を訪れる。

クラウンステディでは食料の単価が高い。
ここで安価な干し肉をしっかり仕入れて行かなければ……
旅慣れた装いのテックハンターの女性2人組が座っていたので、クロトは話を聞くことにした。

南西、北スケイル村の壊滅について、何か知らないか? ……と。
「スケイル…… ああ、辺境開拓計画の成功列だったと言う、アレか」
「ご存知ですか?」

「行った事はないが、スケイルもやられたと聞いたな」
「スケイル も と言うと?」
「旧タンサー、タンサー、フリセ、北スケイル、南スケイル……
 開拓計画の村は全て壊滅済みだと確認されている。
 原因は様々だが、全て転換の日以前の出来事。
 ゾンビとは関係無い、というのが悲しい限りだ」
「ゾンビが現れる前から、人間同士の争いで世界は破滅に向かっていたという事だな……」
「でも……
 生き残りの話によると、スケイル村を襲ったのは、スケルトンに率いられたアイアンスパイダーだったそうですよ」
「何?! それは本当か!」

「ええ。 奴隷にされ、生き延びた人が僅かにいて……」
クロトは知り得る情報を全てテックハンターに明かし、彼女たちもまた旅で得てきた知識をクロトに披露していった。
南東方面ではスケルトン同士の戦いが発生。
多くの派閥が相争う戦乱状態になっているらしい。
さしもの奴隷解放の英雄ティンフィストもこの混乱によって活動を妨げられ、身動きが取れなくなっているらしい。
南東ルートが断たれ、都市連合が大砂漠と南方とで分断され、貿易が麻痺。
そのせいか、比較的生活が穏やかになりつつあったカタンやクラウンステディも、最近では治安が損なわれつつあるらしい。
苦境に立たされた各都市の経済の立て直しは、奴隷労働者へのさらなる無理を強いる事であり……
暴動、処刑、人手不足、人さらい……と、悪循環が止まらない状況との事。
そんな現状の中にダルパン達を残して来た事が心配にもなるが……
今は、目的を達成するのが先だ。

どんな結果が待っていようと…… 早く確認し、早く戻る。
それが、待っている皆の…… いや、ダルパンのためだ。
(婚約者の消息が不明だっていうのに、僕は……)
悩みを振り払うように、大地を蹴り、走り続ける。
見えた。
あれがドリフターズラスト。都市連合南西末端……
最後の「町」だ。

周辺に危険は無さそうだが、万が一を考え、水辺を走る。

幸い、ここまで何のトラブルも無く……
ドリフターズラストに到着。

「都市連合特務部隊、通ります!」
「ウム、ご苦労」

物珍しそうな顔をされるが、すんなりと通してもらえた。
目当ての店は、あそこだ。
古代技術研究者集団「マシニスト」の機械店。

ここならば、義足も売っていたはずだが……
ダメか。
この地に義肢を供給していた技術者……カリヴァン先生は、スケイル村ごと消えてしまった。

マシニストの看板を掲げてはいるものの、今ではもうただの建材屋と何も変わらない……
クロトは肩を落としつつ、兵舎に向かう。
侍の義務として、この町の司令に報告を行うためだ。
「……と、言う事で、故郷の実態を知るために、遥々ここまで旅をして来ました。
 どうか、詳細をお教え頂ければ、と……」

「うむ…… ご苦労だったな。
 ゾンビの生態、スケイルの生存者、共に興味深い話であった。
 スケイル村の調査資料は全て開示しよう。好きなだけ調べて行くといい」

ドリフターズラスト防衛軍 総司令官 "侍隊長" ローニン
ローニン司令は村を守れなかった無念を述べ、クロトに侘び、全面的な協力を約束してくれた。

やはり、辺境の侍ほど真の侍……
厚意に感謝し、クロトは深々と頭を下げ、礼を述べて退出した。
クロトが資料を当たる間、グリーンとフェルンは訓練を続ける。

射撃班である彼らは、未だ近接戦闘は素人同然……
ダルパンの二の舞になってはいけないと、自発的に、熱のこもった鍛錬を行う。
一方で……
調査は厄介な方向に向かう事となった。
国民の出入りの詳細な記録を管理しているのは……
貴族、その人であったからだ。

ドリフターズラスト領主 レディー・メリン
「ほう、貴様が噂の坊や隊長か。
 随分苦労をして来たようだな。顔に出ているぞ」
「お言葉、光栄の至りです…… 閣下!」
「フッ、そう硬くなるな。
 私は先代とは違う。年端も行かぬ町人を手篭めにしたりはせん」

レディー・メリン。
その輝く薙刀で、前任者を一刀両断に処した、元ノーブルハンター……
この町が飢饉から持ち直したのは彼女の手腕に依る所が大きいと言う。
反面、怠惰や無能を許さず、失態には厳罰と暴力をもって対するという苛烈な人物でもある。
余計な事を言わぬよう、平身低頭して次の言葉を待つ。
「構わん、立て」
「ハッ!」
出入国の帳簿だがな、話を聞いてからすぐに再調査を命じておいた」
「あ、ありがとうございます! 閣下!」

「で、だ。 スケイルの村の生存者は、交易に出ていた商人2名と、お前の報告にあった医者と村娘、計四名のみ。
 商人から壊滅の知らせを受けて侍どもが駆けつけた後、見つけた死体は5人分。
 領主ダウレット、マシニストのカリヴァン、村の衛兵が三名、だ」
「!!」

レットの、ドッグレットのお父さんは、死んだのか……
僕の、義父になるはずだった、彼はもう……
「テックハンターと連絡を取り、報告にあった南東のタンサー壊滅の件も当たったが……
 こちらはスケイル村以上に悲惨な状況で、殆ど何も分からなかったそうだ」
貴族自らがそこまで素早く指示を出し、情報収集に当たってくれたとは……
ただの親切ではあり得まい。
スケイル村壊滅事件は、都市連合にとっても注目すべき所があったという事だろう。
「貴様の報告は我が都市連合にとって大いに役立っている。
 特に、ハイブ村の埋葬地、地面の下から死者が出てきた件に関しては、テックハンターどもも喜んでおったぞ。
 大儀であった」
「はっ!! 身に余るお言葉!」
「よろしい。 これからも励め」

 



「特務隊・クロト、退出します!」
「どうだった、我が主よ」
貴族の屋敷から出てきたクロトの表情は複雑な物で……
常に彼を見守ってきたデーリアからしても、その心境を推し量る事の出来ないものだった。
「めちゃくちゃ、褒められました。
 しかも、身なりを整えるようにと、資金まで……」
「おお! それは重畳!」
「それから、デーリアさん、更にですね……」
クロトはドクターとデーリアを連れ、防具屋に向かった。

デーリアに特務隊の徽章を渡し、侍の鎧を買い与える。
「済まない。侍鎧を身につけるのは初めてで……
 我が主に着付けを手伝わせるなど、これでは話があべこべだ」
「気にしないでください。
 日頃の感謝に、これくらいしか応えられない、不甲斐ない隊長ですから……
 あっ!! す、すみません!!」
「ハハハ! 仕方ない、オレの乳房は大きいからな!
 なんなら、鷲掴みにして揉んでくれても構わないぞ、我が主!」
などと、からかわれつつ……
働きを認められての辞令。
これで、正式に彼女も都市連合の一員。
名実共にクロトの従者となったのだ。

「どう、かな? 我が主よ……」
「とても似合ってますよ! どこからどう見ても、屈強な重戦士!って感じです!」
「ええ、はい、私から見ても、とても勇ましいですよ、デーリアさん」

「フフ、照れるな……」
胸に手が当たった時より、勇ましさを讃えられた時に照れるというのは、いかにもシェクらしい。
釣られてクロトも笑顔になる。
(我が主もようやく緊張が解けたか。
 こういう役はダルパンかミウに任せたい所だが……
 この際仕方あるまい。 役得と思っておこう)
この所、クロトはいつも思い詰めた表情をしていた……
久々に主の少年らしい姿が見られた事で、デーリアも少しだけ安堵する事が出来た。

その後、兵舎で休息を取り、地図を拡げる。

「もう、スケイル村は目の前です。
 先生も、現地に着く事で何かを思い出せればいいのですが……」
「そうだね…… 怖くはあるが、私も、そうなれれば良いと思っているよ」

ドリフターズラストから、丘を一つ越えた所にある漁村。

そこに、北スケイル村は存在する。
早々に身支度を終え、ドリフターズラストを出発。

「懐かしいな…… よく、ミウと、レットと、三人で泳ぎに行ったり、魚をとったり……」
「クロト様にも、子供らしい時期があったのですね」
「ハハッ、最近加わったフェルンは知らないのだろうが、元来我が主は随分と子供っぽい所が……」
「デーリアさん! 従士は主君の恥を説いて回ったりしないものですよ!」

今回も用心のため、水際を走るコースを取り……

丘の上に立ち、景色を見下ろすと……
見えた。

あれが「見捨てられた町」、北スケイル村だ
 
 
 
<続く>


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注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります