気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-23:スワンプ編⑧

「おっと、兄ちゃんよ、アレおすすめだぜ!」
「スワンプタートルか。
 いいね。あれは食べ出があるよクロト」
モムソーが指差す先に、巨大な生物。
動きは緩慢で狩りやすいらしい。

実際狩りは簡単に終わり、肉をたっぷりと確保する事が出来た。
「渡りに亀じゃの」「やや硬いが……ウム、吾輩は気に入ったぞ」
当面の食料が補充でき、一行に笑顔が浮かぶ。
と、その時、「シーッ!」とミウが警告を放つ。
「この音…… 間違いない、いつもの音!
 ブラッドスパイダーだ!! こっちに向かって来る!」

「散開して索敵を!」
運良く、蜘蛛はゾンビの死体の方に向かっていってくれた。

「一匹だけ…… これなら!
 皆さん、少し右へ! 射撃隊の射線を空けつつ迎撃の準備を!」
弓を持った新人部隊が蜘蛛を撃ち、向かって来た所で仕留める体制。

「仕留めたよ、隊長」
グリーンの腕は評判通りのようだ。
赤い人食い蜘蛛が前衛に接近する前に始末出来た。
「悪くない隊長ぶりだな、君の幼馴染は」
「そうみたいね。
 これくらい怖がっているくらいが丁度いいのよ……」
年に似合わぬ冷静で素早い指示に、ハムートが感嘆する。
先日ミウの悲惨な話を聞いたばかりで、クロトは自分でも過剰に警戒しているようにも思っていたが、用心に越した事はない。

蜘蛛にトドメを刺し、肉を剥ぎ取り終え、数体のゾンビから収穫を得て……
移動を再開しようとしていると……
「肉は欲しいが…… こりゃマズイのう……」

スワンプタートルが、ゾンビに襲われている。
かなりの数だ。
正面から戦っては勝ち目が無い。
「建物--発見」
「クロト殿! 向こうに遺跡が見えるであろう!
 一旦建物の影に隠れようではないか!」
「そうですね。 気付かれないよう、大きく回り込みましょう」

第二部:スワンプ編⑧ 沼に沈んだ研究所

運良く、ゾンビ達は何者かと交戦状態に入った。

「あれは…… レッドサーベルですね」
「この距離からよく分かるな、ねーちゃん」

フェルンが交戦者を判別。モムソーが感心する。
「クロト…… まさかとは思うけど……」
「流石に、弁えてるよ」
ダルパンはまたクロトが無茶な人助けに走るのではないかと心配するが、動きの鈍る沼の中に敵を救出に向かうというのは、流石に自殺行為以外の何物でもない。
「我が主、一匹来るぞ!」
「90点! これならば!」

戦闘は最低限。
うまい具合に、気付かれずに遺跡の陰へと回り込む事に成功。

「ついでに、中も覗いてみんかの?」
「おお、遺跡探検、久しぶりであるな!」
「危険--進路」
「むむむ、入り口はソンビ側を向いておるからのう……」
「では…… よっと!」
長身のデーリアが、壁に手を掛け、ヒョイと頭上へ跳び上がる。

「むむむ、やりおるな。 吾輩ではこうは行かん!」
「地形無視とかマジかよ…… すげぇなシェクねーちゃん」
「では、少し偵察をして来ます」
「気を付けるんじゃぞ! 鉄蜘蛛に殴られれば一発で死ぬでな!」
デーリアは慎重に建物の内部を探る。

(ひとまずは安心、か)
蜘蛛型の機械の死骸がゴロゴロと転がっている。
動物が住み着いている痕跡が見られ、稼働個体は残っていないように思える。
(電灯が点いている…… この建物はまだ生きているのか?)
内部は完全に無人
これならば探索もし放題だ。

(古文書……?)

ラクタにまぎれて、驚くほど状態のいい「古代の科学書」が見つかる。
デーリアにはそれを読む事は出来ないが、極めて貴重な品だという事だけは知っていた。
傷つけないように丁寧にバックパックの中に収納する。
(後は…… 私では無理だな)

無数のコンテナが転がっているが、デーリアの腕ではとても解錠出来そうにない。
デーリアは一度外に出て合図を送る。
ゾンビの大群は既に通り過ぎた後。
チームは遺跡入口まで移動。
呼び出されたクロトがデーリアの下に駆けつける。
「僕も、自身は無いですけど……」
「オレでは話にならない……
 特務隊の中では我が主が一番上手いと聞いた」
「やるだけやってみます」

かなりの時間を費やす事となったが、無事、遺跡の宝箱を開き終えた。
「す……ごい……!
 サリバン先生が見たら飛び上がって喜ぶだろうなぁ!」

ああ、記憶は間違いだ。サリバンではなく、カリヴァン先生だったか。
とにかく、スケルトンを長年研究していた先生のお陰で、原理は分からずとも、これらの品々がどういう種類の部品なのかは分かる。
科学書、スケルトン修理キット、マニュピレーター製造部品各種、発電コア、動力コア……
その筋の店に売れば一攫千金のお宝だ。
クロトが喜びの声を上げていたその頃、遺跡の入り口付近ではごく少数の戦い敗れたゾンビの残骸が起き上がって来ていたが、さしたる驚異ではなく、隊長達の帰りを待つメンバーだけで対処可能なものだった。

訓練不足のハムートが倒れるが、モムソーが素早くこれを救助。
ダメージを負った前衛を後退させつつ、グリーンやダルパン達が後方から射撃。
新しいフォーメーションは上手く機能していた。

問題なく戦闘は終わる……かに思われたが……
ごく少数のブラッドスパイダーの出現に続き、先の戦いを生き延びたレッドサーベルまでもが襲い掛かってくる。

いずれも他の敵との戦いで半死半生となっていたため、これも対処可能な敵であった。
大荷物を抱えたデーリアとクロトも戻り、レッドサーベルの撃退も終わった。

いずれ目覚めて襲ってくる相手……
武装解除はするが、このまま死なせるのも忍びない。
治療だけはしてから、遺跡を去る事とする。

やがて、レッドサーベルの男は意識を取り戻すが……
無事に生きてアジトに帰り着く事が出来るのかどうか、怪しい所だ。

「そんな顔をするもんじゃないよ、クロト君…… 奪う必要の無い命を奪わなかった。
 そこが大事なんだ……」
ドクター・チュンの言葉は、自らに言い聞かせるようでもあった。
「そうだよ。ハムートだって危ない所だったんだから……
 止血してやっただけでもクロトは十分に慈悲を見せたさ」
「ああ、助かったよ、モムソー君。
 それと、ダルパンさんと、グリーン君も」
「私、が?」「俺……?」
「俺達が敵を足止めして、その隙に射撃部隊が仕留める。
 嬢ちゃん達が要になってるって事だろ? 実際上手く行ってたぜ」
「そ、そうでしょうか……」
褒められる事に慣れていないのか、ダルパンは随分と照れて、顔を伏せてしまった。
臆病な彼女が立派に活躍し始めている事に、クロトは喜びを感じていた。
自身の隊長としての能力が証明されているような気がするからだ。
「あまりここに留まっていると、また死体を目指して蜘蛛が寄って来るかもしれません。
 少し離れた所で休息を取りましょう」

一行は沼に沈んだ研究所を出発し……
まっすぐ南へ。
都市連合の町、クラウンステディを目指す進路を取る。

「うおっ! アレが噂の古代船かっ!
 すげーッ! いやぁ、町を出て来た甲斐があったってモンだぜオイ!」
現地人のモムソーも、これを見るのは初めてらしい。
かつて、この辺りは船が航行出来る程の水位があったのか……
巨大な船舶の残骸が、地面の上に鎮座している。

「のう、お主らスケルトンならば、コレが何なのかも知っておるのではないかの?」
「肯定」
「だが、吾輩達に教える気は無いのであろう?」
「肯定」
「カーッ! これだから! スケルトンの秘密主義と来たらのう!」
この残骸の近くでなら、いくらか視線も遮る事が出来るだろうと、休憩を取って怪我人を寝袋で休ませる事にした。
ハムートとチュンの傷が深く、しっかり走れるようになるまで回復をしてから…… と、そう考えていたのだが。

再び少数のゾンビが出現。
撃退は難しくはなかったが、またダメージを重ねる事になってしまった。
「お腹、大丈夫ですか、ミウさん……」
「これくらい、ほっときゃ治るって。 大丈夫よ」

かすり傷ではあったが、ダルパンの誤射によってミウは下腹部にダメージを受けていた。
「すみません、私、まだ上手く援護出来なくて……
 やっと出会えたミウさんに、私は、なんて事を……」
「まったく、あんたはもうちょっと自分に自信を持たなきゃね。
 私に遠慮なんかしちゃダメだよ」
「え……? でも……」

「過去どうだったかは、私自身にも分からない。
 例の光で綺麗さっぱりクロトの事は忘れてしまってるからね」
「はい…… でも……」
「だから、気にしなくていいって。
 私は、あんたの事、応援するよ。
 フフ、可愛くて、健気で、クロトには似合いじゃないか」
「そ、そうでしょうか……?!」

「い、いえ…… いけません……
 婚約者さん、もう、見つからなければって、少し、そう思ってしまう私は……
 似合いなどでは……」
「ハハ! そんなの誰だって考えるよ!
 私だって、ハムートがもう少し若かったら、独身だったら、とかよく考えるからね」
「ハムートさん、ですか!?
 でも、ハムートさんは、奥さんが……」
「ええ。 だからこそ厄介なの。
 想い人がもうこの世にいないってのは、一番手強いのよ。
 思い出の中の人ってのは、永遠に清く正しく美しいまま、無敵の存在なんだから」
なるほど、そういうものなのか……と、感心すると同時に、ホッと安心もしてしまう。
(でも……)
一人は生きているかどうかも分からない上、一人は記憶が無い。
こんな状況で彼を振り向かせようだなんて、やっぱり私は悪い子だ、と……
結局、ダルパンは複雑な思いを抱え込む事となった。
やがて、南下を続けていると……
スワンプ独特の瘴気が晴れ、空が青さを取り戻す。
「ああ! 青空! 久しぶりだね!」

ミウが笑顔で大声を上げる。
南ウェットランドと呼ばれる地域に入った。

大枠で言えばまだスワンプの一部ではあるが、泥沼の湿原を抜け、そろそろ都市連合領も近いスワンプ外縁部にあたる。
陰気な町から出られず鬱々としていたスワンプの住人達からしてみれば、この乾いた大地と晴れ渡る青空は、解放の象徴にも見えるのだろう。
「薄暗い酒場から連れ出してくれた事…… まだ礼を言ってなかったな」

口数の少ないグリーンが、珍しく自分から話し始める。
「僕の方こそ、貴方のような名手を仲間に出来て、本当に助かりました。
 これからもよろしくおねがいします」
「ああ……」
「で、お前さん、ステイヤーにしちゃ腕がなかなか立つようじゃが、その腕があれば文無しにならんでも済んだんじゃないかの?」
「75点。 我が友に何があったのか、確かにそこは気になる所だ」

「サボテンギャンブル! ありゃイカン!」
「ああ、イカサマが仕掛けられていた……」
「じゃがの、アレにはコツがあってな、上手くやれば……」
「ほう」
「20点。 我が友に良からぬ教えを与えないでくれ給え」
「フォホホ! こりゃ失礼!」
ギャンブルに手を出し、文無しになって農奴や召使いに身を落とす……
国の退廃が貧困を産み、貧困が奴隷を産み、奴隷の地獄が国家を支える、そんな、都市連合でよく聞く話とも似ている。
やはり、クロトはハウンズのやり方を好きにはなれなかった。
「この川を越えれば、そろそろスワンプエリアの外になります」
ドリルがそう告げ、一行は渡河を開始する。
ここを抜ければ都市連合。
クロト隊長の部下として、侍に守られながら、落ち着いて休める町がある。
傷つきながら、長々とここまで南下を続けてきた苦労がやっと報われるのだ。
一行は足取りも軽く水を蹴立てて渡って行く。
その、隙を突かれた。

敵襲だ。
「スワンプ忍者!? 足の鈍る川を狙って!?」
川の中ほど、一行が逃げ辛くなるその瞬間を狙い、襲撃を仕掛けられた。
ここで背中を向けて逃げるのは下策。
なんとか数で勝るこちらの優位を活かし、射撃を加える事が出来れば……

戦いは互角。 いや、ややこちらが有利か。
近接戦闘力では明らかに負けているが、ダルパン、グリーン、JRPG種のフェルンとドリル、この四人が苦戦する前衛を援護し、五分以上の戦況に持ち込んでいた。

「ぐああぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!」
その叫びが、境い目だった。
ハイブの手足は壊れやすい。
スワンプ忍者の一撃が、シルバーシェイドの足を切断。

止血に走ったドクターまでもが倒れ、この隙に形勢はスワンプ忍者へと傾いて行く。
クロト、馬、ホッブズはなんとか対抗出来てはいるが、やはり無力な新人達では長く前線を維持する事が出来なかった。
次々と前衛が倒れ、数の差からクロト達も追い込まれて行く。
(私が、クロトを…… みんなを、守らないと!!)
高い火力を叩き出すダルパンに、敵の目が向かう。
軽装のダルパンは素早く立ち位置を変えながら、味方の……クロトを援護する位置へと走り、痛撃を加えていく。

「もう前衛が持たない! ダルパン、逃げて!!」
「嫌です! 私は、クロトを……!!」

ダルパンの右足が切断され……
クロト達は全滅。
多くの物資を奪われ、一行は水辺に倒れ伏す事となった。
 
 
 
 
< 第二部 スワンプ編  完 >
 
 
 
<続く>


 
<補足>
※プレイ中、多数のキャラを壁に押し付けるように移動させた結果、実際デーリアが壁抜けして遺跡に入ってしまいました。
 
 
設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります