気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-13:大砂漠編⑫

アイメルト・トゼッリの兄弟と別れ、新たにJRPG族のアレッタ&オザンファンを仲間に加えたクロト隊。
部隊はスロートを出発。
侍の証……「侍の鎧」を買うため、都市連合首都「ヘフト」へと向かった。

スロートからヘフトへはそう遠くない。
道中のハプニングはゾンビの群れを一つ避けた程度で、何事もなく到着。

ここが、首都・ヘフトだ。

第一章:大砂漠編⑫  ヘフト~ヘング

ヘフトの町。

中央の一際巨大な城が、皇帝テングのおわすこの国の中心地。
守りも硬く、砲座にはサーチライトが備え付けられ、夜間でも標的を明るく照らして射殺す用意が整っている。

田舎根性丸出しの物見遊山にならぬよう、クロトは気を引き締めて正門を潜った。
まずは、この地を訪れた第一の目的、「鎧」の調達だ。

ここでなら、あまり流通していない重装鎧を買う事が出来る。
流石は侍の国の首都、と言った所か。

一点6000cat。
安い買い物では無いが、これならば十分手が届く価格。
隊長として恥ずかしくない格好……
侍らしい格好でいるためには、是が非でも欲しい所だ。
これで、故郷に帰っても恥ずかしくない、立派な侍に見えるだろうか?

「どう、ですか? 少しは侍らしくなったでしょうか」
「ブフッ……!!」
「ちょっと、それは失礼にござるよ……ソマン…… ウッ……グクッ……」
「ソマンさんだけならまだしも! グリフィンさんまで!
 ちょっと酷くないですか?!」
「まあ、正直言うと、なぁ?」「のう?」
「大変、可愛らしいです」「はい。この上なく愛らしいかと」
馬、ホッブスに続き、新入りのアレッタ・オザンファンまでこの反応……
やはり、まだまだ背丈の足りない自分では、貫禄という物は身につかないか……
「クロト様、可愛らしいというのも褒め言葉です。誇って良い魅力でしてよ?」
「もう……まったく! 男がそう言われたって嬉しくないって、それくらい分かるでしょう……」
「ははは! クロト、おいらよりはずっと似合ってるよ!」
鎧からはみ出した腹をポンポンと叩き、エリスは明るく笑ってみせる。
まったく、自分の見苦しい所を恥とも思わず堂々と笑ってみせるエリスの度量、僕も見習わなきゃな……
釣られて、クロトもまた笑顔になる。

「仕事」の機会は、首都ヘフトであっても変わりなく発生した。
ゾンビの襲撃。侍達は慌ただしく応戦に出る。

クロト達特務隊もまた、自分達の責務を果たしに出撃する。

今回も、倒せる敵に的を絞り、確実に一体一体始末していく。

「意外と動けるもんだな……」
「クロト、調子いい?」
「それなりには筋力もついてきたって事なのかも」

重い鎧で動きが鈍る事も心配していたが、「重い」状態になる事もない。
クロトやエリスくらいの筋力があれば、重装鎧を装備しても問題は少ないようだ。
侍達を援護し、ゾンビの殲滅を終える。

「収穫」も悪くない。
資金面でいくらかの余裕も出来た。
「では、キャンプを経由して南進、で構いませんか?」
「安全策じゃな」
「で、次はヘング……」
卓を囲み、財布と相談しながら旅程を確認していく。

「じゃあ、もう少し奮発しちゃいましょうか」
「えっ、いいの?!」
「そうですね。計算してみましたが、エリス様の分くらいはなんとかなりそうです」
「やったぁ!!」
エリス用の侍の鎧を買い、身なりは十分に整ったか。

これで、都市連合軍の侍部隊らしい、外観上の説得力は、ある程度担保された事だろう。
「どうかな! どうかな! エリスも、強そう?」
「ああ、うん! 僕よりは立派に見えるよ、エリス!」
はみだした腹の肉はともかくとして……
体格の良いエリスに甲冑がよく似合うのは確かだ。

「エリス様も、お腹の方は仕方ないとしましても、十分逞しくなったと思いますわ。
 ええ、頼もしく、格好良くなっていますとも!」
「そうそう、ワシらよりマシ、ワシらよりマシ!」
「吾輩より筋力が高い故、譲ったのだ。
 しっかり活躍してもらわねば困るぞ、エリス殿」
「えへへへ! 頼もしいおいらに任せてちょうだい!」
スキマーやボーンドッグの肉も手に入った。
市外で肉を焼き、干し肉を生産していく。
「野菜、食べたい……」
「故郷の味っちゅーワケやないけど、確かに、肉ばっかりじゃねぇ」

ソマン達はここでも地質の調査を行う。

「やっぱアカンかぁ」
「大砂漠じゃ、ダメ……」
「しゃあない! 次行こか、次!」
旅支度は終わった。
翌日、クロト達はヘフトを発ち、次なる中継地点、ヘングの町を目指して旅立った。


今回も、真っ直ぐにヘングを目指さず、万全を期し、ストーンキャンプを経由して行く。

今の所、砂漠の旅は問題なく順調。

「しかし、北でゾンビの襲撃を受けた時は生きた心地がせんかったが……
 侍達は流石じゃのう。 これならおいそれと世界が滅亡する事も無さそうじゃわい」
「うむ…… 吾輩も、正直都市連合という国家を見直したぞ。
 奴隷ばかりを働かせる、肥え太った貴族の国、だと馬鹿にしておったのだがな」
「ハハ、それを僕の前で言っちゃいますか」
「おっと、これは失敬」
そういう目で貴族を見ているのは、侍達も同じだ。
同意はしないものの、反論する気も無い。
「しっかしなぁ……
 都市連合は何かと金、金、金やき……
 賄賂が無いと落ち着いて旅も出来んがは問題じゃろ?」

「麻薬を懐にねじ込み、犯罪をでっちあげて脅迫してくる門番もいると聞きますしね……」
「かーっ! なんやそら! 最低やな!」
「ええ、汚職侍に脅されて金銭を要求される、などというのは珍しくも無い事です。
 貧乏人が町を出たがらず、宿に留まっている事が多いのも、トラブルを避けての事という側面もあります」
「クロト様の部下であるため、今の私達にはその心配が無い……
 大変、ありがたい事です」
呆れ返るソマンに、アレッタとオザンファンが答える。
これも、クロトは沈黙せざるを得ない。
そのような悪質な侍が存在している事もまた、確かだ。
金さえあれば人種も身分も問わず、成り上がれるのがこの国の美点ではあるが、金さえあれば大抵の無茶が通ってしまうという側面もある。
どうやって市民や奴隷から金を巻き上げるか……
そればかりを考えている連中も、間違いなく存在している。
「力こそ全てのシェク、生まれこそ全ての聖帝国、金こそ全ての都市連合、か。
 力も生まれも金も無い吾輩にとって、クロト殿の配下となれたのは幸運と言わざるを得んな」
「せやなぁ……」
「何を言ってるんですか。
 移住先探しの間、力を貸してもらっているだけなんですから、僕が皆さんに助けられているんです!
 それは間違いありません!」
「ほっほっほ、これじゃからのぉ、クロト殿は」
そう言ってホッブズが笑い、皆も釣られて笑い出すが、クロトにはなぜ笑われているのかが理解できなかった。
人助けに対して無自覚であるという点では、エリスとクロトは似た者同士か。
「そろそろ着きますわよ」

「おお、鉱石採掘所か。 デカいのお!」
サウス・ストーンキャンプ。

数ある都市連合の奴隷収容キャンプの中でも、最大級の規模を誇る施設。
都市連合の生産力、およびそこから生み出される経済力。
それを支えているのは、こういった施設で働く奴隷達の力あったればこそ。
だが……

貴族の横暴、侍の暴虐……
それもまた都市連合の日常風景。
貴族の屋敷で働く奴隷達が、主の気分で理不尽に殴り倒され、斬り殺される……
それは珍しい事ではない。

敵襲を受けた際に逃げ込める場所……
そう考えて立ち寄ったキャンプだったが……
長居する気にはまるでなれない。
酒場で休息を取る事もなく、そのまま素通りする。
「パム…… 俺、暴れたい……」
「ッ!!」

「ダメよ! 絶対ダメ!
 忘れたの? 私達の弱さを!」
「・・・・・・・・・・」
怒りを堪えかねたエリスの声。
慌ててパムが説得に掛かる。
気持ちは分かる。
こんな気分の悪い町、さっさと抜けてしまおう。

都市連合の負の側面。
クロト達はそれを思い知らされ、ストーンキャンプを後にした。

「吾輩に構うなっ!! 足手まといにはならぬ!!
 走れえぇぇぇぇぇーーーーーーー!!」
後味悪く、言葉も少なく砂漠を行く旅。
それで油断があったのか。
ゾンビの大群に補足されてしまうアクシデントが発生。

全員が全力疾走してヘングを目指すが、馬が脱落。
オザンファンも足をやられ、一人取り残された状態でヨロヨロと必死に歩いている状態。

クロトは一瞬迷ったが…… 

命が危ういのは馬の方だ。
武器を構え、叫びながら馬の身体にかじりつくゾンビに向かって突進すると、ゾンビは馬から離れ、群れの中へと戻っていった。
戦わずに済み、内心ホッとしながら、クロトは馬を担ぎ上げ、ヘングを目指して走る。

「こっちは、おいらに、任せろおぉぉぉーーーーーっ!!」

クロトが駆け戻ったのを見て、エリスは自己判断で走り出していた。
「すみません! 私のために……!」
「おいら、いちばん力持ち! 任せて!」

エリスはオザンファンを担ぎ上げ、遅れてヘングを目指す。
他の仲間達は無事ゾンビを振り切り、ヘングの町まで辿り着いていたが……
敵は、ゾンビだけではない。
反乱農民の手に掛かり、アレッタが倒れ、食料を強奪された。

アレッタを殴り倒し、悠々と立ち去る反乱農民。
ヘングの町に逃げ込んだ一行は、アレッタの姿が見えない事にここでようやく気付く。
一同はアレッタを救出。
クロトが遅れてヘング近くまで到着。
大きく遅れてエリスが走り続けている。

別の反乱農民の一部隊がクロトを襲撃する事となったが、仲間がすぐに援護する事は出来ない状況だった。

クロトが切り倒され、気絶。
地面に投げ出された馬がこれに抗うが……

「死なせるものかよ……
 クロト殿には、命を賭しても返し切れぬ恩があるのだからな!」
10人相手に一人でどこまで持ちこたえられるか……
馬は死を覚悟し、反乱農民に立ち向かう。
(それがし…… まだ、何もできていない……)
グリフィンもまた、胸騒ぎを感じ、クロト達の姿を求めて走り続けていた。
と、目の前に傭兵の一団。

とっさの判断。
自身の旅費をはたいて、彼らを雇用する。
その咄嗟の判断、が全員の命を救った。

傭兵に前線を預け、危険な状態まで追い込まれたクロトと馬を治療。
全員が揃い、体勢を整え終えた所で反撃。

なんとか全員、命も落とさず、四肢の一本も失わず、耐えきる事が出来た。
「危ない所でしたね……」
「やれやれ、ゾンビが蔓延る世の中じゃと言うに、人間同士で殺し合うとはのぅ……」

比較的軽傷なホッブズと、エリスのお陰で足以外は無事だったオザンファンの二人を残し、一同は全員兵舎のベッドに倒れ込む事となった。
全員が傷の治療を終え、活動を再開するまで、かなりの時間を要したが……
程なく、一行は「仕事」を再開。
改めて、ヘングの町周辺での活動を開始する。

ヘング。
首都ヘフトに並ぶ、都市連合屈指の大都市。

商業区・生活区の並ぶ「ヘング」と、行政・金融機関の集中した「トレーダーズエッジ」の2つに別れた都市。
この地の侍も屈強で、ここでの特務班の仕事は比較的楽なものとなった。
倒れた「砂忍者」から優秀な装備を手に入れる幸運にも恵まれた。

「おっ、ラッキー! いい袴持ってるやんー!」
「ソマン、剥ぎ取り、躊躇わなくなった……ね」
「うっ! そ、それ言われると痛いなぁ……
 ウチもすっかり染まりつつあるって事かいな」
「クロト様、旅支度ならこちらへ」

「防具なら、こちらで取り扱っています」

アレッタ、オザンファンの二人はこの町に詳しいようで、喜んでクロトを案内して回った。
帷子とジャケットを買い足し、これでようやく全ての準備が整った。
「それでは、試着してみましょう」

対酸性能の高いバケツ状の兜に、耐酸性の皮を用いたジャケットや、水気を弾きやすい鎖帷子を合わせる。
これで、メンバー全員、酸性雨に対しての耐性は八割と言った所か。
完璧ではないまでも、今できる準備はこれで終わったと言っていい。
止まない酸の降る砂漠、ブラックデザート越えに向かうべき時が来た。

「どや? フィンちゃん」
「ふむ……」

「水も無い。 砂質も悪い。 石すらも掘れない。
 よくこんな場所に都市を構えたものだ」
「通商ギルドの本部やったら、ええ土地なんちゃうかって思ってたのに……
 やれやれ、奴隷しばいて働かせとれば、砂漠のど真ん中でも無茶が効くってーか?
 なんや腹立ってきようがね」
「農業、するなら…… やっぱり……」
「せやなぁ、もうちょい、旅を続けんとなぁ……」


想定外のJRPG種2名を仲間に加えた事から、蓄えはやや不足気味。
折しもゾンビとスキマーの戦闘が町のすぐ近くで発生。
クロト達はすぐに西に向かって発つ事はせず、先に特務隊としての仕事をこなしておく事にした。

戦いはゾンビの勝利に終わったが、スキマーに倒された何体かのゾンビを始末し、損傷を負いつつ生き残った個体を狙って攻撃を仕掛ける。
雑務に走り回っていた面々を置き、クロト、エリス、パムが先行して戦闘を開始。

弱った敵とは言え、一対一の戦いが出来るようになった自分に、クロトは深く満足を得る。
とは言え、勝つまで続けるような危ない冒険はしない。
すぐにパムとエリスが追いつき、3対1で仕留めに掛かる。

「クロトは、おいらが守るんだ!」
三人とも、いくらかは攻撃の命中精度が上がって来たような気がする……
無事、この敵一体を仕留め終えるが、背後からは新手のゾンビが忍び寄る。

「クロト様! そろそろ!」
「はい! 撤収しましょう!」
数体分しか「収穫」は得られなかったが……
無理はせず、安全を最優先。
今回の収穫では大した稼ぎにはならなかったが、食費の足しくらいにはなる。
酒場で食料を買い足し、出発の準備を進める。

と、またここでも真新しい賞金首の手配状が貼られているのが目に留まる。
「ティンフィストって、あのティンフィストですか?!」
「流石にこれだけの大物となると、ボウズみたいな若侍でも知ってるか」
ティンフィスト。
都市連合に市民革命を起こそうと、無謀な戦いを挑み続けている「反奴隷主義者」の頭領。
伝説的なスケルトンの拳法家で、革命の英雄。
命を賭けて奴隷解放を続けている一方で、助けた奴隷達を見殺しにする無責任ぶりも有名だ。
解放はする。 だが、共に戦わない者達を救う事も無い。
無謀な戦いに身を投じて死ぬか、荒野で野垂れ死ぬか……
解放された奴隷達はどちらにせよ助からない。
結局、解放された奴隷達は、食料を求め、野盗と化すばかり。
何度かクロト達の命を狙ってきた「反乱農民」も、そうした食い詰め者の集まりだ。
ティンフィスト…… なんと迷惑な存在だろうか。
せめて、僕はそうはなるまい。
助けられない者を助けたりせず、助けた者はしっかりと助ける。
そんな、理想的な侍でありたいと、クロトは己の覚悟を新たにした。
ヘフトの憲兵隊の司令に挨拶をし、ゾンビ処理の報告と共に、事後報告ではあったが、宿舎の利用の許可を得る。
ここでもやはり汚れ仕事を率先してやろうという者は少なく、特務隊の存在は歓迎されていた。

「貴様らのような便利屋、いつまででも滞在してくれて構わんのだがのう」
「すみません、先を急ぎますので…… あ、なんでしたら!」
自分達と同じように能力を喪失して空きっ腹を抱えて宿に籠もっている者達を使ってみてはどうか、と、クロトは司令官に提案しておいた。
食い詰めて凶行に走る者が減れば、それだけ国家の安定にもつながる。
反奴隷主義者や反乱農民のように、弱者を困窮させるだけの暴徒とは違う。
その誇りが、クロトの胸には強く存在した。

今後の予定を確認すべく、飲み食いして一息つきながら、卓を囲んで打ち合わせを行う。
「問題は、ここヘングからまっすぐにブラックデザートに向かうべきかどうか、です」

思案顔のパムが、広げた地図を指差す。

「どういう事ですか? 酸対策も出来ましたし、食料も補充出来て、それなりの蓄えがあります。
 最短コースを考えれば、ここからブラックデザートに向かうべきなのでは……」
「ええ。 私もそうすべきと考えていました。
 ですが……」
一度言葉を切り、やや真剣な顔と声で続きを口にする。
「それでいいのでしょうか? ソマンさん、グリフィンさん」
「あっ! えっ!? う、ウチ……?!」
「・・・・・・・・・」
「ここから先、人の住めない大変な土地を踏破して行く事になります。
 それに、スワンプは農業が盛んではありますが……
 移住に適しているとはとても言い難い場所です」
「確かに……」「それは、ウチらも考えてたトコなんやけど……」
「アイメルト様、トゼッリ様のように、ここならばと思う場所に居を定めるなら……」
パムは、トントン、と、地図の一点を指し示す。

「農業ならば、ここ。 ガルグ村が良い環境であると聞きます。
 青い海岸…… 危険地帯ガットを避け、眼窩を経由して向かう事をオススメします」
「おお! ほんまか! そいつは嬉しい情報やな!」
「しかし…… それでは、それがし達のせいで……」
「行きましょう」
クロトは、大きな声で即答する。
「いいのですか? クロト様」
「ええ。 ここまで、命を賭けて共に戦った仲間なのですから。
 この程度の寄り道、して行くだけの恩義が僕にはあります」
「何言うとんねん! それを言うならウチらの方や!」
「ここまで、守ってくれた…… 本当に、感謝……」
「僕は、貴方達の無事を見届けるまで安心して出発なんてできません。
 ここは譲れません。 絶対に、ガルグ村まで皆さんを送り届けてからでなければ西へは向かいませんからね!」
まったく、この子と来たら。
そう言いたげな顔で、バムは微笑む。
「フフ、私もクロト様ならそう言うと思っていましたわ」
「そうだよ! 二人だけで行くなんて、危なすぎるよぉ!」
「ま、ここまで来たら、物のついでじゃな」
「送り届けた後、眼窩、ウェイステーションと経由して西に向かうのも、悪く無いプランであろうよ」
ここからガルグ村までの短い旅が、ソマンとグリフィンの送別の旅となる。
二人が安心して暮らせる場所を見つけるため、一行は明るい笑顔で計画を練り始めた。
「優しい人達……」
「カリン隊長の目に狂いは無かったようね」
そんな様子を、アレッタ・オザンファンの2人も笑顔で見守る。

やがて、旅のプランも決まり、働き疲れた一行は、一人、また一人と寝床に入って行く。
「フゥ…… 今日は疲れましたわね。 私、少し飲み直して行きます」
「いいですね。 僕も冷たい水でも……」
「おいら、もう眠いよぉ~」

距離と資金の計算が続き、今のエリスには少々難しい作戦会議だった。
もう眠気も限界らしい。
エリスもまた、憲兵隊宿舎のベッドに潜り込むべく去っていった。
残されたのは、パムとクロトの2人。
クロトは…… なんとなく、意図してこうなったような、そんな気がしていた。
「パムさん」
「はい、なんでしょう?」
「パムさんは、エリスさんの事…… 愛していますか?」
「あら……」
意外な話を切り出してきたな、と、パムは驚きの顔を浮かべる。
「もちろん、他の誰よりも…… 一番大切な人ですわ。
 心の底から、嘘偽り無くそう断言できます」
「そう、ですか。 それならいいんです」
「妙な言い回しをしますのね、クロト様。
 貴方は、私の事など眼中にない方かと思っていましたが」
「エリスを……
 裏切らないで下さいね」
「ええ、勿論。
 私は必ず、エリス様を守り抜いてみせます」
(やっぱり……)
心の片隅に燻り続ける違和感は、大きくなる一方。
だが、今日も大変な一日だった。明日に備えるためにも、早く眠ってしまわなければ。
ベッドで横になると、思い悩む間もなく、すぐに眠りに落ちていった。
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります