気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-15:大砂漠編⑭

安住の地を見つけたソマン&グリーンフィンガーと別れ、クロト達は西へと引き返す。

パウムガルトナー…… パムの隠している秘密に不安を抱えたまま、クロトは旅を続ける。
眼窩、ウェイステーション、そしてブラックデザート……
いよいよ、大砂漠を去る時が来た。

第一章:大砂漠編⑭ 眼窩~ウェイステーション

血のような夜明け。 大砂漠の朝。
クロト達特務隊一行は、再び眼窩の町へと辿り着いた。

道中襲ってきた反乱農民の女を治療したパムは、その女を担いで連れてきていた。

「パム、その人、どうするの?」
「もちろん、助けますわ。エリス様」
酒場にはまた、奴隷を何人ハントしたか、などと陰惨な自慢話を交わす者達が……

揉め事は起こしたくない。
この客達と顔見知りのレイや、奴隷虐待を嫌うエリスを連れ、酒場を出る。
そして、エリス達はパムに連れられ、ある建物へと入っていった。

奴隷商である。

「パム…… 何を、してるんだ?……」
「勿論、このままでは飢えて死ぬだけの彼女を、救って差し上げたのですわよ」

「救った……?」
「そうです。私達を襲撃し、食料を奪おうとするくらいに困窮している方ですから……
 きっと、明日の食事にもありつく事ができないでしょう」

「少なくとも、これで彼女は今日から飢餓に苦しむ事はないでしょう」
「そう、なのか……」
なぜ、これをエリスにわざわざ見せるのか。

クロトにはもう、パムがわざとエリスの精神を追い詰めている事が分かっていた。
エリスを大切な人だと言うパムの言葉に偽りは無いと思う。
きっと、これには何か理由がある……
だから、もう、何も言わない。
口の聞けないレイ。
怒りを飲み込み、黙りこくったエリス。
気まずい沈黙が流れる。

馬は、自身の足の遅さから、皆の足手まといになっていると感じていた。
クロト自身、自身と仲間達全員の走力に不足を感じていた。
そのため、砂漠を渡る前に鉱夫業で旅費を稼ぎつつ、重い鉱石を利用して筋力トレーニングを行う事となった。
きっと、不快なこの地に留まる事で、パムの企みにもチャンスが増えるだろうと……
そんな考えも、僅かではあるが判断材料となっていた。
三箇所に分かれ、各々鉱石を掘り、クロトは「重い」状態で走り込みをし、足腰を鍛える。

ゾムネジア被害を受けてから以降、皆体が弱っている者ばかりが集まったチームだ。
常日頃のこういった鍛錬を繰り返していかなければ、いつまで経っても野盗にも勝てない肉体のままだ。
が、今日の運勢は最悪だった。
鉱石掘りを始めた途端、この地域一帯を荒らし回る野盗、「草の海賊」に襲われてしまう。

相手は格上で、人数も多い。
敵に狙われた馬とホッブズは慌てて眼窩市内を目指して走り始めるが……
いかんせん、まだまだ鍛錬を始めたばかりの彼らでは、軽装の戦士達を振り切る事が出来ない。
「こっちは一人! 吾輩はなんとかなる! ホッブズ殿の方へ!!」
「わかった!」「了解しましたわ!」

こういう時頼りになるのが、足腰も筋力も一定水準まで復調しつつあるエリスだ。
軽装のパムも機敏に荒野を駆け、エリスの援護に回る。
そのパムの口が、ニヤリと歪む。
(あと一歩という実感がある。
 これはチャンスかもしれない。
 今ここで、決着をつけなければ……)
裏事情に興味を持たないホッブズや馬はともかく、新顔の2人は怪しい。
ピカリングの元部下という事は、当然エリスの秘密を嗅ぎ回っているに違いない。
こちらが先んじて真相に辿り着くためには、多少のリスクは覚悟しなければ。
「エリス様! こちらから挑発し、ホッブズ様から敵を引き離します!」
「うん! 分かった! エリス、みんなを守る!!」

何もかもを捨てて来た私に唯一残されているのは、あの方への忠義のみ。
こんな砂まみれの生活はいいかげん終わりにして、ノーブルンター直属、エリートハンターとしての仕事に復帰する……
それが、私の望み。
パムは、既に心を決めていた。
ブラックデザートに入る前に、決定的な情報を引き出し、隊から脱走する事を。
エリスが元の人格の片鱗を見せるのは、哀れな奴隷が目の前で苦しんでいる時。
それは、予想がついている。
ならば、エリスの心を安らぎで満たしている女奴隷、パムが目の前で倒れれば、どうなるだろうか?
ククク、とパムは忍び笑いを漏らす。
草の海賊ならば、丁度いい。命まで取ろうという連中ではない。
倒れた所を奴隷商に捕まったりするのもいいかもしれない。
上手く殴られ、倒される事には自信がある。
何せ、今の私は最弱の存在なのだから……
眼窩の町中に、防壁の外に、「草の海賊」が押し寄せる。

クロト達は衛兵と共に反撃に移るが、敵の数は多く、苦戦を強いられる。

衛兵達の奮闘で、なんとか撃退する事は出来たが……
終わってみれば、全員ボロボロ。

しばらくは治療に専念しなければ……
これでは当分出発できそうもない。
正門前は海賊達の血に染まっていたが、いつものようにがっぽりと「収穫」を得る事は出来なかった。

ここは奴隷商人の町。
倒れた賊は次々と奴隷にされ、檻へと突っ込まれていく。
その奴隷から剥ぎ取りを行えば、奴隷商の財産を盗むという事になるため、手を出す事が出来ない。
奴隷化される前の海賊から、コートを2着手に入れる事が出来ただけでも幸運だったと言える。

今は、この耐酸性の高いコートの存在が本当にありがたい。
旅立ち前に良い物が手に入った。
酒場の客達は外の騒ぎに気付くこともなく、相変わらず駄弁ってばかり。

大きな騒ぎにもならず、海賊の撃退は無事終わった。
被害は甚大。
レイが気絶したエリスを担いでやって来る頃には、全員がベッドで熟睡していた。


そして、エリスは目覚め、気付く。

「パム…… どこに、行った……?」

良かった。
上手くエリスの目の前で倒れる事が出来た。

エリスが大声で、「俺の女によくも!」などと叫んで暴れている。
逞しく、荒々しく、義侠心に満ち溢れた戦士の雄叫び。
エリスの記憶は戻ったようね……
元々、立場は違えど、私達は似た者同士……
私を愛するエリスなら、秘密も打ち明けてくれるはず。
これで、任務を終えられる。
この任務が終われば、あの人は褒美をくれる。
失ったものを、返してくれる。
私は……
何としても、あの方の名前を思い出さねばならない。
あの方への想いを、思い出さなければならない。
あの方の事を思い出そうとする度、なぜこんなにも胸をかき乱されるのか。
それすらも今の私には分からない。
きっと、私は愛を忘れたのだ。
残されたのは、身を焼き尽くすような焦燥感ばかり。
それも今、安らぎと共に溶けていく。
ああ、そうか……
思い出した。
エリスのような、優しい笑顔。
私はあの日、あの方に恋をして……

時系列は、少し巻き戻る。
一行がベッドに潜り込む前。
エリスとパムがホッブズの援護に走り、他の者は衛兵と共に海賊の迎撃に出ていた、その頃。
エリスが草の海賊に倒されたのを目撃し、レイは一人、迎撃に向かう仲間達から離れ、酒場へと駆け込んだ。

だが、顔見知りである彼らに助けを求めようにも、レイは声帯を失っている。
助けを求める事は愚か、敵襲を知らせる事も出来ない。
バタバタと身振り手振りで何かを伝えようとするレイを無視し、酒場の客達は雑談に興じている。

尚も必死に食い下がるレイに対し、露骨に舌打ちし、苛立ちを顕にし始める客達だったが……
「敵襲か」

一人のシェク女性が立ち上がり、弓を構えて酒場を出た。
クロト達が衛兵と共に戦い、ボロボロになっていた、その頃……

レイの求めに応じて立ち上がった女は、倒れたエリスとパムに襲い掛かろうとしている海賊達に狙いを定める。

「俺の名は、ヘッドショット。
 狙いは外さん。必ず仕留めてやる」

そう豪語するだけの腕が、この女射手にはあった。
数発の矢を放ち、何人かの海賊達が倒れ、残った者も逃げ出して行く。
「……!!」

エリスもパムも、倒れたまま動かない。
早く治療しなければ……
敵はほぼ壊滅。安全は確保されたはず。
レイはエリスの下へと走りだす。

レイ一人では危ない。
ヘッドショットもまた、共にエリス達の救助に向かう。
「お前の主はあの大男だったな。行ってやれ。
 女の方は俺が診てやる」

ヘッドショットの申し出にウンウンと頷き、レイはエリスの方へと駆け寄っていく。
レイは必死にエリスの止血を行う。かなり危険な状態だ。
女を守るため、決死の戦いをしたのだろう……

ヘッドショットは、倒れたパムの所に行き……

胸に刺さった矢を引き抜く。
パムの傷口は、緑色に変色していた。
「エリートハンターは、決して狙いは外さねぇのさ……」

「よっこらせ、と……」
「こいつは俺に任せな。お前は御主人様を宿に連れて行ってやれ」

ペコペコと頭を下げ、ヘッドショットに深く感謝し、レイはエリスを宿まで運んでいった。
宿まで戻ってみると、戦いを終えた皆は全員ボロボロ。
動けるのはレイ一人になっていた。

「チッ、しけた報酬でこんな肉体労働をやらされるなんざ、俺も落ちぶれたモンだ……
 ゾムネジアさえなけりゃ、もっと楽に仕留められたってのによ」
ドサリと寝袋の上にパムの体を乱暴に横たえ……

ヘッドショットは、その装備を剥ぎ取って行く。

「フン、せいぜい稼ぎの足しにさせてもらおうかね。
 俺の装備も見れたモンじゃねえからな」
ヘッドショットは、そのままパムの止血もせず、市街中央の奴隷市へと彼女を運んでいく。

ガシャンと、冷酷な鉄の檻の音が鳴る。

パムの傷口を開き、緑に変色していた傷口が赤く染まっている事を確認する。
(ナガタの旦那の読みどおり…… "俺達"にはこの毒は効かねぇんだな)
そして、ニヤリと笑い、脱がした服の懐からパムの財布を抜き取る。
「第一任務完了。 毎度あり」


翌朝。
「酒場で見た顔だ。
 コイツ、あんたらのお仲間だろう?」
「パ……ム、さん……」

ヘッドショットは、そしらぬ顔でクロト達一行を案内し、パムを閉じ込めた檻へと案内した。
「可愛そうにな。
 倒れた所を身ぐるみ剥がれ、奴隷として保護されたはいいが、傷の手当はしてもらえなかったか」
パムの体はとっくに冷たくなっている。
「・・・・・・・・・」

エリスは、予備のシャツをパムの遺体に着せる。
裸のままにはしたくなかったのか。
せめて、これくらいは、と……
守れなかった。
頼れる仲間、エリス。
そう呼ばれて舞い上がっていた。
今回も上手くやれると、そう信じていた。

パムの仇、「草の海賊」達は、既に並んで檻に入れられ、奴隷市の商品となっている。
手を出せば、この町を敵に回す事になる。
暴れれば、都市連合の侍であるクロトの地位をも危うくする。
これは、自分の失態だ。
それが分かっていたから、エリスは、耐えた。
耐えるしかなかった。

「クロト、俺は、全部思い出したよ」

「思えば、お前との腐れ縁はあの時からか。
 つい、飢えた野盗なんぞに施しをやろうなんて仏心を出しちまったばっかりに、侍の斥候に見つかっちまった。
 追跡されていたのは分かってたはずなのによ……
 あん時のチビの斥候、お前だろ?」
「あ……!!」
確かに、バストの偵察隊がエリスを追い詰められたのは、野盗と密会しているエリスを発見できたからだ。
きっと、昔からエリスは慈愛の男だったのだろう。
「捕まった後は、そりゃもう、盗んだ酒はどこに隠したかって、毎日毎日拷問で、酷ぇメに遭ったぜ。
 もういい、いっそ死にてぇなんて思っていたはずなのになぁ……」
「監獄塔の窓から、ピカッと緑の光が射してきて、後は知っての通り……
 いやぁ、何もかも忘れても、困ってる連中を見るとほっとけないってぇ厄介なトコは治ってなかったなぁ……」
「それは治すべきトコじゃない…… エリスの一番カッコいいトコだろ?」
「へへ……」
そうやって照れ笑いする所は変わらないのだな、と、クロトも釣られて笑顔になる。
「だから俺は、反乱農民でも侍でもない、「酒樽のエリス」になった。
 社会の影に生き、国と国との間を暗躍する、秘密の正義の味方さ。
 ピカリング達とも元々……」
しばしの沈黙。
「いや、よそう。 お前は知らない方がいい……
 ダチにこれ以上の厄介事は抱えさせたくねぇ」
正直、気にならないと言えば嘘になる。
でも、それがこれ以上無い友情の証である事が分かっているから、クロトはそれ以上何も聞かない。
「これから、どうするんだい? エリスは……」
「すまねぇな、ダチ公。
 俺はもう、お前と一緒には行けねぇや」
「そっか……」

エリスの後を、アレッタとオザンファンが追う。
そうだ、彼女達もピカリング同様、元はノーブルニンジャだったか。
エリスとは旧知の間柄だったのだろう。
恩人に忠義を尽くすため、レイも当然それに続く。

『お前は、お前の道を進め。
 本当の汚れ仕事ってヤツに手を染めるにゃ、お前ぇさんはまだ若すぎる』
『南部に帰ったら、もうこっちには戻ってくるな。
 こっちはまだまだ荒れるだろうからな……
 スワンプの連中とも関わり合いにならん方がいい。
 さっさと通り抜けて、故郷へ帰れ』
『それでも……
 お前が、いつか、どこかで、真っ黒な社会の裏側に関わらざるを得なくなっちまったのなら、その時は……
 この俺を頼って来てもいいぜ。
 ハッ、お前ぇなら、俺がどこに隠れていても見つけ出せるだろうさ。
 優秀な侍斥候なんだからよ』
正直、裏切られたような、見捨てられたような気さえもしてくる。
それでも……!
「今まで、ありがとうございました!!
 たまたま出会って、たまたま助け合った、それだけの関係でも!!
 それでも!! 僕は!!
 強く、優しく、カッコいい仲間達に、恵まれていましたっ!!
 ありがとう、ございましたぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ああ、そうさ。
あの女も…… パムもよ……
悪いヤツじゃ、無かったんだぜ……
あれは本当に、いい女だったんだ。
強く、優しく、カッコいい女だった。
ああ、終わっちまったなぁ……
楽しかったなぁ……

「お前達が知りたがっていたのは、ブラッドラムの隠し場所、だよな」
「ええ」「はい」

「都市連合の貴族を麻薬漬けにする作戦は成功していましたし、ホーリーネーションにも同じ手が効き始めていた所です。
 貴方の手で横取りされたブラッドラムが、どこに貯蔵されているのか……
 それが、ナガタの命令書通り、サボテン穴に隠されていない事は確認済みです」
「貴方が第三者と協力し、大量のブラッドラムをいずこへかと秘匿した事は確か。
 皆、それがどこかを突き止めようと、貴方とクロトに付き纏っていたワケですから……」
「いいぜ。 生きて辿り着けたら、お前達にも秘密を明かしてやるよ」

「このまま、その場所へ?」
「いいのですか?」
「構わねぇ。頼りにしてるぜ? 2人とも」
「……!!」
「へへ、お前はまだちっとばかし頼りない。死なない程度に頑張りな、レイ」
「!!」
「やれやれ…… その貧弱な体でこんな南まで引っ張り回しやがって」

エリス達の後を追い、岩陰に潜む影。
それは、やはり……

(チッ、なんてぇ厄介な所に……!!)
火山灰が降りしきる急勾配。
これは、噴火口へ向かう道に違いない。
まさか、まさかこんな場所にアジトがあろうとは誰も思うまい。
なるほど、これならば都市連合に悟られることなく隠れ潜む事も可能だろう。

(流石にこれ以上の追跡は無謀か。
 が、在り処は分かった。これでナガタの旦那も諦めが……)
「よう」

「!!?」
「この距離なら、自慢の弓も使えねぇなぁ?」

「なっ!? お、俺は、お前達の敵じゃ……」
「それ、それだよ。 お前の来てるそのありふれた鎧だがよ……
 ソイツは、クロトにとっては特別な鎧……らしいんでな。
 スキマーの牙にやられた凹み。見間違えようがねぇ」
エリスが、ぞろりとサーベルを鞘から抜き放つ。
「パムを殺ったのは…… お前だな」
「くっ!! クソッ、俺は、仕事を請けただけだ!
 貴族の命令は絶対! 分かるだろう!」
「ああ、俺達は弱者の味方だ。
 苦しい立場に立たされた者の気持ちはよく分かる」
「そうだ! 助けてくれ!
 俺はゾムネジア後も弓の腕は確かなままなんだ!
 お前達の仲間として、間違いなく戦力になる!
 だから……!」
「俺達、反奴隷主義者が一番憎むものが何か、知ってるな?」
「奴隷、殺し……」
「正解」

「返してもらうぜ」

「俺は…… 結局……」

「クソみてぇな、俺を、せっかく、忘れられたって、のに……
 また、こんな…… クズになっちまっ……て……」

「スプリング」
その名の由来は分かっていないが、山頂に造られたその秘密の拠点は、そう呼ばれていた。
もうもうと噴煙をたなびかせる火山ではあるが、その実、その噴煙はこの山頂から出てはいない。
周囲の噴火口から立ち上る煙に覆われ、外界から隔絶された状態で、休火山カルデラの上にその基地は建てられていた。

「よく戻った。
 貴族を薬物で汚染するという連中の企みは、我らとしても利用させてもらいたい妙手である。
 南北共闘の立役者であるお前が無為に命を落としたかと、悲しんでおった所だ」
お前達スケルトンがそんな感傷を持つものか、と、エリスは苦笑する。
「で、作戦は順調ですかい?」

「ああ、あの連中、この状況の変化の中でも、殊の外上手く立ち回っておる。
 我らも負けてはおれん。
 お前のような地理に長けた手駒には、これからも活躍してもらわねばな?」
「任せてくだせぇ」
ティンフィストの下で働くと言う事は、常に命を捨てるような無謀な任務に投入され続けるという事だ。
いつまで生きていられるかは分からないが……
どうやら、クロト、お前の旅はまだまだ厄介な因縁を引きずり続ける事になるようだ。
いつか、苦難の年月の果てに再会する日も来るかもしれんが……
それまでは、生きていたいモンだ。

なぁ、相棒?

ソマン、グリーンフィンガーと別れ、
パムを弔い、
エリス、レイ、アレッタ、オザンファンと別れ、
今や、隊ゾンビ特務隊は、クロト、ホッブズ、馬の三名のみとなった。
いや、侍の徽章を持つのはクロトただ一人。
部隊は事実上の解散状態。

それでも、彼らは付いてきてくれる。
嬉しくもあり、頼もしくもあり、そして、申し訳なくもある。
やはり、たった三人では警戒体勢も今まで通りとは行かない。

油断から、手酷いダメージを受けてしまった。
それでも、旅は続く。

大砂漠の西の端に位置するウェイステーション……
荒野を行く旅人達の憩いの場。探検家・テックハンター達の管理する中継基地。
ブラックデザートを越えて行く旅路、その出発点へと辿り着いた。
宿を借り、スキマーに手酷くやられた傷を癒やす。

屈強な探検家の集うこの場所なら、そう容易く敵襲に屈する事もあるまい。
三人はようやく安心して眠りにつく事が……
……できなかった。

正門が破られた。

一つしか無い出口に、かつて見た事のない規模の大群が押し寄せる。
バストでも、ハイブ村でも、これ程の数ではなかったはずだ。
押し寄せる大群が防衛戦力を貫き、宿の目前へと迫る。

「このままでは僕達は全滅します!
 強行突破します!! 誰か、誰か共に走ってくれる方はいませんか!!」
クロトの叫びも虚しく、ついに宿の扉さえも突き破り……

立て籠もった者達の眼前に、ゾンビ達が姿を現す……
<   第一部:大砂漠編   完  >
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります