気刊くろみつタイムス

主にゲームプレイ日記。過去記事一気読みは「目次」からどうぞ! ※他ブログからのインポート引っ越し時に改行崩れ&画像消滅が発生しています。

#Kenshi ZA-18:スワンプ編③

「皆さん! あそこで一休みしていきましょう!」

ブラックデザートの遺跡群を横目に、まっすぐに酸性雨地帯を突破。
荒野を南西へと走り続け……
一行は「定住した遊牧民」の居留地で休息を取り、地図を広げて今後の計画を練っていた。

「吾輩らが今いるのが、ここ遊牧民のキャンプ……
 南西シャークへの途上、幾つかの村を経由するルートを進言しよう」

「憧れのスワンプに行けるなら、アタイは万々歳だけど、隊長さんはそれでいいのん?」
「スワンプと言えば悪名高い犯罪組織のたまり場……
 我が主よ、少し遠回りして、フラットラグーンを経由して南部入り、という訳には?」
スッ、スッ、とデーリアが指で迂回路を示す。

「うーん…… 難しいですね」
「まずここ、熱線の降るヴェンジの通過は極めて危険です」

「そして、ラグーンやモウンの周辺には……
 ガッターが出ます」
「ビークシング! ありゃ勘弁じゃ!」
「弱りきった肉体の吾輩達にとって最大の天敵であるな……
 この辺りにも出る。 周辺警戒は怠るなよ」
「では、クロトは南西から大砂漠方面に赴任して来た際、どこを通って来たのだ?」
「こう、でしたね」

「あの頃はまだ比較的安全でしたから。
 それも、今では……」
クロトは大きく指でバツを描く。

「酒場で良く聞く話では、南東は今まで以上に大変な事になっているようで……」
「反奴隷軍にやられ、リーバーにやられ、アーク、タンサー、フリセ……次々と開拓地が壊滅。
 ゾンビ出現以前から…… ここ数年で随分と南東はズタズタにされてしもうたのう」
「今では南東ルートが使えないので……」
「それで…… こう、いっそ一直線に、となる訳か」

「ええ。
 ゾンビの脅威が出現した今、人間同士の連携は以前より取れています。
 現地組織と敵対さえしなければ、通行は可能だと思います」
「金は必要であろうが…… まあ、その点は吾輩も同感だ」
「スワンプ! 都市連合に負けず劣らず、金の臭いのする土地!
 アタイ向きのいい場所っぽいじゃねーか!」
「都市連合より理不尽な暴力の世界、でもある」
はしゃぐグリームをスヴェアがたしなめる。
どうやら彼女もスワンプを旅した経験があるようだ。
現地組織について注意を促しながら、幾つかの村の位置を地図上に指し示して行く。
「では……
 ロット村に立ち寄り、次にマッドタウン。
 その後、スワンプの中心地、シャークへ。
 それで構いませんか」
「ああ。他に行く所も無い」
「アタイは大歓迎!」
「クロトさんについて行きます……」
「勿論、オレは主の行く所に行くまでだ!」
「ケツロンは出ましたな?」
「興味深く拝見させてモラッタ。
 我らも随行するノミ。 さあ、行こうではナイカ
議論には加わらず、傍らで見ているだけだったスケルトンの二人もようやく立ち上がる。
ルートはスワンプ越えに決まった。

一行は遊牧民のキャンプを出発し、旅を再開する。

 
 

第二部:スワンプ編③ ロット

 
 
 
下駄が地面を蹴る音が、ガボガボ、グズグズと、不愉快な音に変わっていく。

その名の通りの、巨大な湿地帯……
泥と沼で覆われた「スワンプ」地方に足を踏み入れた証拠だ。

「スワンプの中心、シャークの町、ダンシングスケルトンなる酒場では実に良い酒が飲めると聞く!
 むほほほ! 実に楽しみじゃのぅ!」
「野盗集団レッドサーベル、得体の知れないスワンプ忍者、人喰いの蜘蛛、そしてゾンビ……
 そいつらの中を無事生きて辿り着けたなら……
 その時は、それはそれは気持ちのいい酒が飲めるだろうさ」

「なんじゃ、スヴェアは辛辣じゃのう」
「スワンプでは、いつどこで襲われるか分からない。
 浮かれてなどいられないと言う事さ」
「ま、それは今となっては世界中どこであろうと同じだがな」
雑談を交わしながら、一行は暗く見通しの効かない夜の沼地を進んでいく。
会話に加わろうとせず、ただただこちらを観察しているだけのスケルトンの2人には不気味さを感じるが……
食費も必要なく、付いてきて共に戦ってくれると言うのだから、断る理由は無い。
無論、彼らを信用した訳ではないが。
「もうそろそろ、ですかね」
「ああ、ここだ」
スヴェアが地図上の一点を指差す。

「ここに、ハウンズの村がある」
「ハウンズ?」
「貴方も知らないか、馬。まあ、それもそうか……
 つい最近まで、ストーカークランの下部組織だったからな」
「おお! ビッグハッシュ子飼いの! 思い出したぞ!」
大親分ハッシュ率いるストーカークラン。
世界に名を轟かせたスワンプの支配組織。
ホーリーネーションにも都市連合にも従わない、一大犯罪帝国。
年若いクロトですらその名前は知っている。
「その飼い犬のチンピラ達が今ではスワンプの覇権を握り、全てを取り仕切っている。
 クランは壊滅した。
 スワンプを通過するのであれば、ハウンズに挨拶して筋を通しておくのがいいだろう」
「ケケケ、さっすが、指名手配犯さんはその辺しっかりしてるぅ~」
「茶化すな。止むに止まれずだ」
スヴェアはホーリーネーションから懸賞金を掛けられた賞金首だ。
迫害されていた女性を救うため、騎士を一人殺害した、との事だが……
男が女を奴隷扱いするあのデタラメ国家の事、スヴェアは人助けをしただけなのだろう。
「ふむ…… 私は幼い頃から今までの、忌まわしい記憶の全てを覚えている。
 少なくとも、記憶喪失には陥っていないようだな」
そう苦笑いするスヴェアの横顔に、その過去は詮索すべきではないと感じさせられた。
「おい、見えてきたぞ!」

あれが、スワンプを牛耳る犯罪組織「ハウンズ」の拠点となる、ロット村……

ロット。 
スワンプ地方に数多く存在する村落のうち一つ……

……ではあるが、クロスボウ砲台を複数設置し、屈強な衛兵に守られた門構えは、ただならぬ威圧感を見る者に与える。

常に人同士で争い、無法の地で天下を取った彼らハウンズの「気迫」のような物が感じられる。
「悪い事は言わん、坊や達。 このまま引き返せ。
 死ぬぞ。 3日持てばいい方だ」

顔を合わせた途端の無礼な物言い。
その言葉にも、経験に裏打ちされた説得力を感じさせられてしまう。
が、気圧されている場合ではない。
隊長らしい仕事をしなければ。
「都市連合の使いで来た訳ではありません。
 ただ、ドリフターズラストへ行きたいだけです。
 違法取引にも。その捜査にも興味はありません。
 滞在と通行を許可してもらえませんか?」
「ある程度、そちらの事情は心得ている。
 いいぜ。 上から指示が出ている。
 余計な手出しをするつもりは無ぇ。
 お前達が余計な手出しをしなければ、の話だがな」
そう行ってニヤリと笑うハウンズの門番。
事情を心得ている、と豪語するその余裕。
気味が悪いくらいだが……
「ありがとうございます」
なんともありがたい話だ。
犯罪組織に頭を下げる事を、恥とは思うまい。
都市連合との間に何らかの手打ちがあったのか、敵視されていないだけでも有難いと思わなければ。
礼を言い、村へと入る。

まずは食料を補充しなければ……
酒場や雑貨屋は無いのかと、村内を回り始める。
「ほう、いい度胸だな、お前ら」

通り過ぎる男が、ジロリと視線を投げかけて来る。
その視線は…… ダルパン達の方を向いている気がする。
「あ、あの…… 彼女達は記憶を失っているようなのですが、何かご存知なのですか?」
「あん? 最近はどいつもこいつも似たような話ばかりでな。
 一々覚えてねぇよ」

奇異の眼差しとも違った、妙な視線。
違和感を覚え、何人かの住人に話を聞いて回るが、その対応は親切な物とは言い難かった。
敵対はしないが、協力する事もない。 そういう事か。
それにしても、似たような話ばかり、か……
(もう、弱体化やゾムネジアの被害者が存在するのは当たり前の事。
 そういう世界になったって事か……)
「それより兄ちゃん、客なんだろ?」

そうだ、まずは食料の確保からだ。

久しぶりに干し肉以外の物が食える、とデーリアは喜んでいるが……
今の懐事情では干し魚がやけに割高に感じる。
早い所、「仕事」にありつかなければ、いずれ……
(それにしても……)
当たり前のように店先に並んでいる、麻薬。
ハシシ…… こんなに安価に買えるものなのか。
都市連合では貴族しか買えないくらい高額で取引されていると言うのに。
この地では麻薬取引は犯罪ではない。
ここで都市連合の侍としての態度を見せるのは命取り。
見なかったフリをして、魚を数匹買って、露店を立ち去る。
「オオ、商店! アレハ商店ではありませんか!」

人間の文化に興味を持つスケルトンの2人は、ただの商店一つ取っても興奮の対象となるらしい。
物珍しげに看板を眺めている。
「う、美味い!! これ、全部買います!」
「へっへっへ、そうだろそうだろ! 毎度あり!」

これが、スワンプの特産品、「米」か。
価格と腹持ちのバランスもいい。
干し魚を先に買い込んだのは早計だったか。
干し肉、米、どんぶり飯、と、あるだけ全て買って行く。
それにしても……
なんとも、奇妙な村だ。
犯罪と暴力でスワンプ地方を支配する恐怖の一党、といった風情はそこには無い。
気心の知れた前線の侍達が見せていたような、温かみの感じられる連帯感……
仲間同士の絆のような物を感じる。
麻薬を世界にバラ撒き、人々を苦しめている諸悪の根源であるという一点を忘れれば、敬意さえ抱いてしまいそうになる。

気さくで、よく笑い、よく食い、よく眠る男達。
それでいて、油断なく目を光らせ、いざとなれば一刀の下に切り捨ててやる、と、無言の圧力をも感じさせる、屈強な戦士の風格を持っている。
団結し、外敵を排除する。
田舎特有の「絆」や「人情」が生まれるのも、そうならざるを得なかった、という側面があるのかもしれない。
その団結の力を目にする機会は、すぐにやって来た。
「ロロロオォォォォォォォォォーーーーッ!!」
ハウンズの1人が遠吠えのような合図を叫ぶ。
と、その一声で男達は一斉に門外へと走り始める。
敵襲。 ゾンビの襲撃だ。

数は少ない。
これならば、自分達でも出来る事はありそうだ。
「まともに戦えんのは口惜しいが……
 今はオレに出来る事をして我が主に尽くす他無い…… 行くぞ!」
「おお! おお! これがゾンビカ! オモシロイ!!」

ハウンズに許可は取ってある。
トドメを刺し、「収穫」を得るため、クロト達一行はゾンビの処理に走り回る。
「コレガ戦闘! 人助け! ゾンビ退治! ナント痛快な体験!!」

長過ぎる停滞の時は過ぎ、冒険を知ったスケルトン達。
野山を駆ける幼児のように興奮して暴れまわっている。
何を考えているのかは分かり辛いが、とりあえず無邪気である事はよく分かった。
泥に埋もれるようにして倒れるゾンビの死骸は、農作物を守って生きている彼らにとって大きな脅威だ。
感染があるのか無いのかは定かではないが…… 少なくとも、土壌を汚染すると考えられている。

クロト達「処理班」の存在は、ハウンズにとっても渡りに船だったようだ。
一通りゾンビの始末を終え、ハウンズ達はまた警戒体制へと戻っていった。
勝って驕らず、常に砲座に人を配し、監視を怠らない。
よく訓練されている…… いや、これが彼らの日常と言う事か。

「一つ聞きタイ。 なぜ君達人間は勝ち目の無い戦いを続けてイルノダ?」
「アァん? 勝ち目が無い、ってのはどういう事だ?」
失礼な物言いに怒鳴り返す事が無い。
ケルトンという種族はそういうものだと心得ているからだろう。
「ゾンビ、の事ダヨ」
「イキテイル者がゾンビに転換され……
 イマデハ沼の中から死者達が肉体を取り戻して蘇っている」
「終わりが無いデハナイカ
「イズレ、人間が敗北するのは自明の理でしょう」
「ハハハ! 機械の頭じゃ、そこんトコが計算出来てねぇのか!」
「あったま悪ぃな!」
「ホウ、それはどういう?」
「決まってんだろ。
 俺達が、全部始末して、元の死体に戻してやんのさ!」
「ナルホド、力強い信念。自信に満ちた言葉」
「それがお前達人類の強さとイウコトカ」
「おうよ、パラディンの連中はそこん所が分かってねぇようだがな」
このような犯罪組織の末端構成員までもが、世界の危機に対して、全人類結束すべしという思想を自然に発生させている。
これか。この流動性が人間の強みか。
無秩序で崩壊しやすいが、団結した際にはこのような強さを見せる。
「人間、侮りガタシ」
例えそれが自惚れで、到底実現不可能だったとしても、この力が、かつてスケルトンを凌駕したのだ。
それだけは忘れてはならないと、2人のスケルトンは改めて思い知らされた。
「こっちだ!! 囲め!!」
「こいつ! 手強い!」

ハウンズの動きが慌ただしくなる。
いつか見た強敵。
黒ずくめの巨躯。
あれは、群れの統率者か。
遠く離れれば弓を撃ち、近づかれれば刀を振るう。
他のゾンビ達とは違い、明らかに知性を感じさせる振る舞い。
あの屈強なハウンズ達が押されている。

「治療体制! 巻き込まれない距離を保ちつつ、いつでも行けるように!」
「おう!」「心得た!」
「ダルパンさん! 弾は使い切っても構いません! 援護射撃を!」
「は、はい!!」
ハウンズの戦士達はボロボロになりながらも、よく持ちこたえた。

遠巻きの援護に留まりつつも、クロト達は治療と射撃で彼らを支援し……
やがて、特異体の方が先に倒れた。
いかに強力な個体とは言え、たった一体では耐久力が持たなかった。
ハウンズの勝利だ。

スワンプの泥沼の上に、男達の鮮血が撒き散らされている。
際どい勝負だった。
軽装防具とは言え、戦利品は上々。
以前にも目にした奇妙な刀も再び手に入った。
ロクに防具も揃えられていない今のクロト達にとって、大変ありがたい拾い物となった。

ゾンビの使用していた装備を、彼らは使いたがらない。
ありがたくごっそりいただかせてもらうとしよう。
その後も、散発的な戦闘がしばらく続いたが……

ハウンズとの共闘により、やがて村は元の静けさを取り戻す事となった。
「ガッハハハハ! まあ、俺様にかかりゃ、ボスゾンビだろうとこう!」
「またまた、片腕持っていかれ掛けてるクセしてよ」
「いてててて! ま、まあ、チームワークの勝利ってなもんよ!」
「ボウズ達も、治療と後始末、ありがとよ」
「いえ、僕達は殆ど役に立っていませんから、せめて汚れ仕事くらいは」
「誰も触りたがらねぇから、棒でつついて沼に沈めてるんだがよ……
 時折沼から這い出てくる始末。
 きっちりトドメ刺してくれるのは大助かりなんだぜ?」
「おうよ、お高く止まった侍さんにしちゃ、謙虚なトコが気に入った!
 今日はウチでメシでも食っていけ!」
ほんの僅かな協力ではあったが、それでも、並んで戦った事に違いはない。
クロト達はすっかり彼らに認められ、一宿一飯を共にする事となった。
「あら! アンタ! いつの間に帰って来てたの!」

「ちょっと派手にやり合って来ちまってな……
 ちょいと寝てくるわ。 客人のもてなしを頼むぜ」
「もう! 事情くらい話して行きなっての!」
案内した男の家族が、温かい料理を振る舞ってくれた。
お調子者のグリームはハウンズにコネが出来たと大喜び。
ダルパンは相変わらずおどおどと怯えた様子だったが、久しぶりに落ち着いて屋根の下で眠れると、一行はしばしの休息を満喫した。
と、ハウンズ戦士の妻がクロトに声を掛けてくる。
「女やスケルトンをゾロゾロ連れて、奇妙な部隊のようだけど……
 この子達、ちゃんとお前さんが面倒を見ているんだろうね。
 年頃の娘を泣かすような野郎は、あたしがタダじゃおかないよ?」

「はは…… むしろ、僕が面倒を見てもらっている、と言った所でしょうか……
 南を目指す旅に、皆さんがそれぞれの理由で協力してくれているだけ……
 いつでも好きなときに離脱してくれて構わないと、そう言ってあります。
 その時が来るまでは…… 皆さんを死なせないよう、精一杯出来る事はするつもりです」
「フフ、よしよし。 いいボウヤだ。
 弱いって事が分かってる野郎は、強くなれるものさ。
 惚れた女の前で格好つけようなんて馬鹿な事はしないで、死なないように頑張るのが一番。
 あの馬鹿な子達が無茶しないよう、しっかり見張ってておくれ」
ポンポンと肩を叩き、女性は去っていった。
「まったく、あの子ったら何だい、あの態度は……」
離れて行きつつ、そう言って物憂げに溜め息をつく女性の様子が目に止まった。
何だろう。 何か、話が噛み合っていないような……
少し疑問に思いつつも、走り回った疲れから、すぐに眠気がやって来た。
温かい料理に感謝を述べ、一行は宿へと向かった。
「で、あんた、もう金は工面して来たんだろうね」
「何の話だ……? お前は、私を脅迫しているのか?」
「あんた…… まさか……」

スヴェアは、ハウンズの家に残り、しばし話し込んでいた。
やがて、一人遅れて出てきた彼女は……

酷く、深刻な顔をしていた。
「なるほどなぁ、「なり損ない」なら、ゾンビに触れても問題がねーワケか」
「少なくとも、都市連合ではそう結論付けています。
 実際、僕達はずっと平気で旅していますし」
「ああ、なら、考えておこう。 「特務隊」とやらの創設をな」
「ありがとうございます!」

ハウンズの男達と話し合い、弱体化現象の犠牲者……「ステイヤー」を活かした部隊の設立を持ちかけてみたが、反応は良好。
麻薬組織と手を組むつもりはないが、今はそんな事を言っている場合ではない。
ゾンビをこの世界から駆逐するため、全人類の協力体制を整えていく必要があるのだから。
クロト達は、ハウンズに別れの挨拶をし、ロット村を後にした。
「ありがたい事じゃが、なーんか、妙に協力的じゃったのう……
 ハウンズと言うのは、ああいう連中なんかの?」
「ウゥム、そこは分からん。
 吾輩が以前訪れた時には目立つ組織では無かったからな」
ホッブズと馬は、ハウンズの持つ「明るさ」に引っかかりを感じているようだった。
確かに、予想外に交渉が上手く行った事に驚きはしたが……
「もっと、怖い人達かと思ってました……」
「いいじゃんいいじゃん! アタイは気に入ったよ!
 あれなら、ハウンズに就職するってのもアタイ的には全然アリだね!」
「スワンプ経験者としては、どうなのだ? スヴェア。
 ……どうした? スヴェア」
デーリアの問いかけに気付かず、スヴェアはボーッとしていた。
「ん? ああ、どうした? 」
ようやく気付き、顔を上げるスヴェア。
「どうしたはこっちのセリフだ。
 どうした……? 悩み事なら、聞くぞ」
大人らしい優しさで、デーリアが微笑みかける。
「いや、大した事じゃない」
しばしの沈黙の後、スヴェアが返した返事が嘘である事は、その場の誰もが理解していた。

一行はロット村を離れ、南へ……
犯罪組織ツインブレードの支配地、「マッドタウン」を目指して出発した。
<続く>


設定:ダメージ2倍
縛り:展開にそぐわない行動は取らない(犯罪行為等)
注意:当ブログの記事内の設定はKenshiの公式設定とは異なります