銀河初の戦乱期が終わり、一つの国家が姿を消した。
我が帝国とケンジョダンの2国が他国に比べ頭一つ抜け出た形になろうか。
バビルとフォギの2国も国土が広く、高いポテンシャルを持っているように思える。
一方、戦意に反し、敵連邦三国は力を落としている。
しかし、連邦。
連邦である。
連邦を組んだ勢力には、通常の艦隊とは別枠の連邦艦隊が生まれる。
実質、国一つ分の艦隊が追加されるようなもの。
だが……
少し時を遡る。
2286年。
渡りに鳥、いや、舟。
頑なに国土拡張をしないバビルと組めば、いずれ議長国は我が方となろう。
連邦艦隊の戦力、将来的には帝国で活用出来る。
いいだろう。
未来の敵よ、今は手を組もう。
敵連邦が「有益同盟」、こちらは「有益協約」か……
紛らわしいが、利害のみで手を組んでいる銀河に相応しい名前ではある。
敵後方で睨みを効かせる友軍も、これで強化された事だろう。
2290年、戦後処理も一息つき、そろそろ次をどうするかを考える。
選択肢は二つ。
4200の主力艦隊を持ち、我が帝国東方で国境を接する事になった、ケンジョダン。
諜報部によると、戦力比は「同等」との分析。
これ以上成長される前に叩き潰したい敵。
一方で、首都星直近、目と鼻の先に母星同士が並ぶ隣国、テゼキアン。
センサーで観測出来る範囲で2000強。
国土も狭く、最も喰いやすい相手だが、後方に防衛協定を結んだエルゾが控えている。
先の戦いの停戦期間で、敵連邦からの宣戦は無い。
この二方面だけを考えていればいい。
が……
一方と開戦すれば、他方から宣戦を受ける恐れもある。
悩ましい所だが……
主力艦隊を東方戦線に移動。
2292年、11月。
目障りな鳥、テゼキアンの抹殺を決意。宣戦布告。
所詮弱小国、第二艦隊で事足りる相手であろう。
エルゾが辿り着く前に敵艦隊をすり潰し、二対一ではなく、一対一を2回戦う形に持ち込めば良い。
さあ、今度は我が帝国が口火を切り、銀河に戦乱の狼煙を上げてやろうではないか。
2293年、1月。敵警備隊を蹴散らし、初戦に勝利。
2293年、3月。
敵艦隊が拠点奪還のため突撃。
テゼキアン艦隊 2100 vs 3400 エキニャン艦隊
負ける要素は無い。
駆逐2の損失のみで敵艦隊を撃滅。
母星が近いため、損耗もすぐに補充出来る。
7月、精強なるエキニャン降下兵団を前進。目指すは敵母星。
敵艦隊は戦力の半数を喪失。一気に押しつぶしてやろう。
2293年、12月。
敵連邦が動く。
連邦が戦争を仕掛けたのは、西のエルゾであった。
これで、エルゾ~テゼキアン間に位置するレギンチュが国境を塞ぐ。
テゼキアンに援軍は来ない。
期せずして、ウィンダーとエキニャンとで敵を挟撃する形となったのである。
これで、南方フスコ方面、対連邦の防備増強は当面見送っても良いだろう。
主力艦隊を喪失したテゼキアンだが、当然、2000の艦隊一つしか持っていないという事は有り得ない。
2294年、1月。
もう一箇所の対テゼキアン国境に敵第二艦隊が接近。
構わん。そちらは時間稼ぎの防備のみを置いた囮。
敵艦隊が囮の拠点を襲っている間に敵の首都を叩く。
理想的な流れだ。
2294年、4月。
半壊した敵第一艦隊を再び撃破。
同年6月、囮拠点を敵が襲撃。
拠点戦力と、挑発役を買って出た将軍の勇戦により、轟沈0である程度の被害を敵艦隊に与える事に成功。
役目を果たした後、撤退・陥落。
戦士よ、よくやった。
また、陥落する寸前、基地施設の破壊を命じる。
これで敵が修理拠点として使う事は出来なくなる。
翌月、降下兵団が一つ目の敵惑星の制圧を開始。
マキ将軍率いる精兵は、この後も敵母星宙域を順調に制圧して行く。
9月。
帝国艦隊、敵母星に到達。
必死に艦隊の建て直しを試みているようだが、敵戦力は1100に留まる。
決着である。
敵戦力を叩いた後、逃げ惑う有象無象の民間船舶を駆逐していく。
2294年、11月。
敵母星宙域を制圧。
立ち直れない大打撃。
テゼキアンはこれで終わりだ。
2295年、3月。
落ち延びた敵残存戦力を掃討。
残るは田舎惑星2つのみ。
2295年、7月。
残された敵第二艦隊は理性を失っていた。
眼前の「楽に倒せる敵」に挑発され、無人のエキニャン宙域を荒らすのみ。その場から動けないでいた。
2296年、10月。
周辺惑星を全て制圧し終え、我が帝国の降下兵団はついに敵母星首都に侵攻。
翌月、制圧を完了する。
2296年から2297に掛け、敵第二艦隊はようやく慌てて後退を始める。
敵がいなくなった所で、挑発艦に奪われた星系の奪還を命じる。
第一、第二、その他の艦艇を掻き集め、テゼキアン最後の艦隊は戦闘力3000。
戦力の大半がコルベットとは言え、拠点防備の戦力もある。
主力を東方から動かせない我が軍の第二艦隊では、返り討ちに遭う可能性も高い。
……よかろう。
最後まで戦おうというのなら、その意気は買おう。
全面降伏を通告、属国化するという線も考えないではなかったが……
戦力を補充し、敬意をもって、ここで引導を渡してやるとしよう。
2297年、9月。
南方警戒の任に当たっていた第三艦隊が到着。
挑発隊と合流し、失った拠点を奪還。
敵最終艦隊はこれに誘引され、拠点から離れる。
2297年、10月。
好機。
艦隊を敵拠点に突入させる。
2298年、2月。
敵艦隊が慌てて引き返してくるが、もう遅い。
敵艦隊は地の利を捨てた形で、戦力に勝るエキニャン軍と戦わざるを得ず……
敗北。
完全に制宙権を失ったテゼキアンは、惑星への降下兵上陸を許し、残る惑星は1。
2299年、3月。
敗残兵の集まる最後の惑星を、第三艦隊……挑発隊を指揮した将軍の手で先制攻撃。
これに連動する形で第二艦隊を突入させる。
挑発誘引部隊の勇戦を称える幕引きである。
2299年、10月。降下兵突入。
翌月、惑星を制圧。
テゼキアンは全ての惑星を失った。
2299年、11月。
テゼキアン惑星同盟、滅亡。
戦争は我が帝国の大勝利で終わった。
今後、汚らわしい鳥どもは帝国の奴隷として生きながらえる事となる。
今の所は。
//2290-2299