#MARVEL_HEROES デーモンについて
このゲームには二種類のデーモンが登場します。
一方は、「リンボ」
一方は、「ンガライ」
それぞれがどのような存在なのか、最近発売された翻訳本にも両方登場している事ですし
軽く元ネタ解説をば。
リンボ
元々の意味は、「辺獄」。
地獄に落ちる定めではない魂が流れ着く先、地獄外縁部の事を指します。
↓wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%BA%E7%8D%84
によると、
キリストが復活までの間留まった地であったり、洗礼前の幼児が落ちる先、と解説されています。
MAGIKことイリアナ・ラスプーチンが幼くしてリンボに拉致されている所からすると、
MARVEL的には、後者がイメージされているものと思われます。
MARVEL世界におけるリンボは、死後の世界と定義されているワケではなく、
「悪魔の住む世界」「時空間を異とする別次元」といった扱いになっています。
つまり、リンボのデーモンは、異次元から召喚され使役される手下、という扱いになります。
マジックちゃんがなぜリンボのデーモンを召喚できるか、という点を説明するには、順を追って
長い話をしなければなりません。
コロッサスの妹であるイリアナが、ヴィラン「アーケイド」によって故郷のソビエトから拉致される事件が起き、
安全確保のため彼女はX-MENの学園に保護される事になりました。
ちなみに、コロッサスは妹を「僕の可愛い小さな白雪」などと呼んでいる、重度のシスコンです(笑)
ちなみにちなみに、コロッサスの兄貴であるミカエルも負けず劣らずのシスコンです。
幼女イリアナは、その純粋な魂と魔導の素質を見ぬいたリンボの王、悪魔ベラスコによって拉致されます。
このベラスコによる拉致は、彼女の人生に悲壮な影を落とす凄惨な体験となります。
ベラスコは、別の平行世界からX-MENを拉致し、イリアナと殺し合いをさせ、その魂を闇に落とす事で、彼女を
魔女として覚醒させようとしました。
この過酷なリンボでの修行の日々は、彼女がミドルティーンになるまでの間(十年弱ほど?)続き、
魔術を学び、己が魂を武器として使う、霊体のみを切る武器「ソウルソード」を扱えるようになり、
それでも尚、その魂は折れる事なく、最終的にはベラスコを倒し、支配者「リンボの法」の地位を奪い、
転移魔術「ステッピングディスク」によって現世に帰還します。
しかし、リンボでは時の流れが現世とは隔絶されており、学園に帰還した時、現世の時間時間は殆ど
流れていませんでした。 X-MENからすると、突然イリアナが成長して戻ってきた、という事になります。
こうして、若手X-MEN、コードネーム「マジック」、魔法剣士としてのイリアナのスタイルが確立されました。
(つづりにMagikと、「K」を使うのは、奇術(Magic)=手品と魔術を区別するための慣例)
若年チーム「ニューミュータンツ」の一員としてマジックの活躍が始まりますが、普通の若者である
チームメイトとは上手く付き合えず、コロッサスの恋人である同年代の少女シャドウキャット=キティだけが
親友でした。
しかし、彼女とリンボとの因縁は終わった訳ではなく、ベラスコが倒され、イリアナも不在のリンボ界では、
悪魔同士の勢力争いが起きていました。
リンボの支配を狙う元ベラスコ配下のデーモン、「ナスティア」「シム」によるイリアナ争奪戦が始まり、
ナスティアの企みによりリンボに引きずり込まれた後、マジックが地球へ帰るために転移術を発動した際、
その術を利用し、ナスティアはNYとリンボを繋げるゲートを形成。
これが、コミック史に残る大事件「インフェルノ」事件となります。
ここでジーンとサイクロップスは悲壮な戦いをする事になりますが、まるっと割愛して……
X-MENが次々と魔界の瘴気にあてられて狂気に蝕まれる中、コロッサスだけはメタルアーマーの抵抗力
(彼の生体金属オスミウムには魔法耐性がある)で正気を保ち、一人イリアナを救助に向かう。
イリアナは自身もデーモン化していく中、兄同様のメタルアーマー化能力に覚醒。
兄妹の必死の戦いの果て、イリアナは全魔力を放出してゲートを消し去り、自らも消滅。
しかし、彼女は最期の力で転移を行っており、抜け殻となったアーマーの中から、
「ベラスコに攫われた直後の幼少期のイリアナ」が出てきます。
彼女は時空をも飛び越えるリンボの転移術を使用し、過去の自分自身を救出していたのです。
こうして、現世に元の年齢で帰ってきた幼女イリアナも、この後致死性のウイルスに侵され、死亡。
連載上も姿を現さないまま、長い月日が流れます。
あれやこれやがあって、リンボ世界で復活していたイリアナが登場しますが、彼女は魂の欠片を失っており、
取り戻すべく、代替わりしたニューミュータンツの若者達から「欠片」を奪おうと襲いかかります。
今や歴戦の猛者の風格漂うイリアナは、デーモン化をも使いこなし、リンボの女王として君臨。
かつての強敵ナスティア、シムを配下のデーモン軍団の一員としてページの背景に登場させる程に。
紆余曲折の戦いの後、サイクロップスの説得に心を開いたイリアナはX-MENに戻り、
連載期間にして十数年の時を経て、魔導の達人として完全復活を果たします。
テレポート術のみならず、敵を自身の支配地であるリンボに引きずり込んで倒す荒業も得意とし、
今ではストレンジと一騎打ち戦って勝利する程の強キャラとなりました。
発売中の翻訳本「セカンドカミング」
http://www.fujisan.co.jp/product/1281695551/
では、転移術に入ろうとした所を(ゲームでおなじみ)ピュリファイアーズの儀式弾によって妨害される
シーンが出てきます。これによってリンボから帰還できなくなり、ガンビット達が救助隊としてリンボに
送り込まれる事となりますが、ここでガンビットまでも、かつてアポカリプスに改造された
「デスモード」を再発して悪堕ち暴走してしまった……というのが、
ゲームで新コスとして用意されているコレ↑になります。
つまり、彼女がゲーム中に召喚する紫色のデーモン、
「Denizens of Otherplace」は、彼女のし配置である異次元リンボ界の住人であり、
「Prince of Otherplace」は、デーモンの長であるシム(紫色だし…)を指しているのかもしれません。
見た目はあまり似ていないんですけどね……
さて、次は
ンガライ
です。
初登場はX-MEN #96(1975年)と古く、初登場以後、ちょくちょくストレンジ等の他作品にも登場し、
翻訳本「X-MEN:デイズ・オブ・フューチャーパスト」に登場してキティを襲ったエピソードは、
X-MEN #143(1981年)で、他紙に顔出しした後の再登場回となっています。
ンガライは太古の邪神カソン(ゲームではレリックの名称で出てますね)の生み出した眷属で、
カソンの方はブレイドのドラマのタイトルにも使われていて、ある程度の知名度を持っていますが、
ンガライの方は今まで翻訳媒体に登場した事がなく、日本のコミックマニアの間でもかなりマイナーな
存在と言っていいかと思われます。
アトランティス時代には人類を支配する存在で、古代の戦いによって異次元に封印されていますが、
ゲームにも登場するあの「柱」を使って度々人類世界へ侵攻し、撃退されています。
近年では、2005年にX-MENに登場、2008年には無料配布デーのX-MEN特別号に登場していますが、
大規模なストーリー展開に起用される事はなく、今ひとつな知名度のままといった印象です。
それにしても、コズミック装備のせいで、こんな邪悪な存在を引き連れるのが当たり前になっている
ゲーム世界には、少々違和感が……
何か別のものに置き換えてもらいたいなぁ…… と、翻訳本を呼んで、改めて思ったでした。
デンジャールームのフルパワーの攻撃に対しても無傷、という強キャラぶりも驚き。