銀河を観察しつつ、各地に有り余る資源を配布する、まるで銀河の統治者のようなプレイ。
研究は全てやりつくし、既存技術のレベル上げ(シールド+5%とか)ばかりになっている。
「危険な技術」も躊躇いなく全てに手を出したが、特に不穏なイベントも発生していない。
争いの無い平和な宇宙で、知の探求も行き着く所まで行き、怠惰な空気が流れ始めていた、その時……
2452年7月、銀河の危機、到来。
うげげげげっ また、今回の「銀河の危機」も、異次元からの侵略パターンかいっ!!
ランダムで3パターンから選ばれるんじゃなかったのか……? 運が悪いなぁ
アンビドゥン艦隊出現。
次元ポータルの位置は、エキニャン西端。
「銀河の一番端、ですね。これは不幸中の幸いなのでは」
「あの場所なら、一方向にしか広がれないな。封じ込めやすい位置に出てくれて助かったかもしれん。
問題は、距離か」
「確かに、エキニャン領までは曲がりくねった航路が必要ですし、ジャンプも複数回必要ですが、幸い、彼の国とはワームホールで繋がっていますから……」
「ああ、そうだ! 使っていないからすっかり忘れていた! 実質的には隣国と言っていい時間で駆けつける事が出来るな」
「敵艦隊、センサーに掛かりました。敵戦力、強編成の一個艦隊で5万と出ています」
「5万か…… ウチの主力艦隊をまとめると7万ほどになる。 各個撃破の形なら充分戦える線、か……」
「行きますか?」
「よし、艦隊出撃だ。早期に防衛線を築ければ、格段に対処が楽になる。エキニャンが国として戦える間に、潰せる戦力は潰しておくぞ!」
前回プレイの銀河(強6万/弱4万)よりは少ないか?
大量に来られると、とても持たないだろうが、時間稼ぎなら出来るだろう。
他国の領域なので回復用の拠点を作れないのは不安だが、とにかく少しでも初動の被害を減らしておきたい。
何せ、パカリ以外の国は戦力が乏しい。押し留める力は無いも同然。
致命的なまでに拡散してからでは、銀河がそのまま滅亡しかねない(初回プレイのトラウマ)。
前回のプレイでは国がガタガタの状態で戦わざるを得ず、色々と苦労する事になったが、今回の宇宙は概ね結束出来ているし、技術開発は確実に前回より進んでいる。
連邦として共闘は出来なくても、少なくとも国同士で争うこともない。仲間割れでの自滅もありえないはず。
エキニャンが狙われたという事は、連邦を組んだヒッスマも参戦確定。
ウチが戦いを挑むと、二つの連邦で共闘するという形になる。
これは、意外と…… イケるかもしれん!
三度目ともなると、勝手知ったるなんとやら。
手早く艦船設計を対アンビドゥン仕様(シールドマシマシ、実弾モリモリ)に変更。
しかし、不安もまた大きい。
なにせ、最初から最後まで、大きな戦いが無いままでここまで来ているのだ。
艦船の頭数が足りていないし、今の艦隊がどれくらい強いのかも実感が無い。
まあ、前回のように国家全体を戦時体制にしてフル稼働して量産すれば、いずれどうとでもなるだろう。
まずは敵陣近くに陣取り、突出してくる敵艦隊だけを抑え込もうと、4万+2万の2個艦隊を前線に送り出す。
……のだが、思ったより敵の動きが早く、2万艦隊が合流する前に接敵してしまう。
対アンビドゥン戦、その初戦は、44000 vs 50000
まだ特化装備に換装していない状態でこれは、かなりヤバイのでは……
「ええい、ままよ! 鍛えに鍛えたパカリの技術の真髄、見せてもらおうではないか!」
結果……
「敵艦、全滅! 全艦撃沈です!!」
「やはりパカリの技術力は銀河一! 数値で勝る異次元艦隊にも負けはせんぞ!」
とは言え、損害もデカい。とても、デカい。
コルベットが大半無事なのに、戦艦が4/5やられているのは、かなりよろしくない……
敵の初動を抑え込むには戦力が足りないようだ。
25000のパカリ第一艦隊と合流は出来たが、このまま最前線に留まるのは自殺行為。
エキニャンには悪いが、今は下がって艦隊を特化仕様に作り変えて挑まなければならないだろう。
と、撤退しようとした所に……
「後退中の艦隊、敵に喰らいつかれました!」
「いかん!とても持たんぞ! 無理せず撤退だ! 準備でき次第ワープで脱出しろ!」
が……
逃げる事が出来たのは、ほんの一握り……
流石に、いくら装備が良かろうと、倍の戦力相手ではこの有様。壊滅的被害というヤツだ。
ほうほうの体でパカリ領内まで逃げ返り……
ここでようやく、舐めて掛かっていた平和ボケの頭がハッキリしてくる。
あれ……? これ、この銀河、負けるんじゃね……?
「連邦艦隊は戦艦火力を喪失。第一艦隊は全滅に近い状態です」
「我が国に残されたのは、みるも無残な主力艦隊の成れの果てと、後は……本国に残っているパトロール隊くらいか……」
「院長…… どう、しますか……?」
「・・・・・・・」
突出してくる敵を個々につぶしていく予定だった戦力が、いきなり消滅してしまった。
もう、エキニャンを救いに行く所の話ではない。
「残存艦艇をソエジミア星基地に集めろ。一隊を残し、パトロール艦艇も回せ。ここで待ち構え、顔を出した敵を各個撃破していくぞ」
かつてウィジラキと戦った際に最前線であったソエジミアでは、エキニャン行きのワムホが存在する事もあり、いざと言う時に備えて堅牢な要塞を築いてある。
ここでなら、多少の数の不利は覆せるだろう。まずはこのソエジミア要塞の修理設備を使って……
「敵艦隊出現!」
「なんだとぉ!?」
修理する間も無く、ワームホールから敵艦隊が出現する。
パトロール艦は間に合わず、当然、対アンビドゥン装備の新型艦も届く前だ。
パカリ研究院がここまで戦ってきた、おままごとのような戦争とは違う。
一切の手加減の無い、強引な突出。
これを想定できていないというのは、慢心だ。
事前の備えも、攻め方も、守り方も、あまりに中途半端で、雑。
ぬるま湯の平和に浸かりきり、「危機意識」という物をどこかに置いてきてしまったか。
「敵艦隊、撤退!」
「お、おぉ……!! やるではないか、流石は要塞基地と言った所か!」
「よし、損耗したプラツトフォームを補充し……」
「敵艦隊、また来ます!!」
「ハァ!?」
「だ、だめです…… 要塞が、もう……」
ソエジミア星基地、陥落。
7万あった艦隊は壊滅し、1万以下にまで激減。無念の撤退を余儀なくされた。
エキニャン領は、早くも食い破られ始め、次元アンカーの設置が始まっている。
こうなると、もう……
アンカーが増えれば増えるほど、敵の援軍は加速度的に増えていく。
エキニャン軍は瞬く間に壊滅。
国力が激減した事により、
ウィジラキがエキニャンに宿敵宣言。
そんな事をしている場合か……
各方面への要衝地、ソエジミアが陥落したという事は……
ここから、全方位への侵略が始まるという事だ。
突き破られた一穴から、敵はワラワラと溢れ出し、拡がる。
いや、穴は一つではない。
遥か東、ジソリアン~スレパノー間の国境にもまた、アンビドゥン艦隊が出現した。
また別のエキニャン領内のワームホールを通って出てきたようだ。
そして、ついに、
パカリ領内の星までもが消滅してしまった。
莫大なコストと膨大な時間を掛けてテラフォームした惑星が、あっという間に、死の星へと変貌してしまった。
一つ、また一つ……
エキニャンからも難民が押し寄せ、
パカリ本国ではまた居住区不足が深刻化していく。
そのパカリ本国のすぐ近くまで、敵の魔手は伸びて来ている。
防衛線はズルズルと後退。
新型艦の量産は、合金不足から遅々として進まない。
「私は、前銀河の記録を持ち、この危機を乗り越えられるという自負があった。備えをして来なかったワケではない。国力に関しては、かの地球帝国をも上回っているとの自負すらあった。
何が…… 何がいけなかったのだ。私はどこで、何を間違った……」
敗因を、考える。
前銀河と、異る点は二つある。
①広さ。
MAPの大きさが違う。
今回は極小サイズで、没落帝国も存在しない。銀河を守るための切り札として機能してくれる超帝國が不在だ。
狭さもまた、厄介な要因の一つ。
狭い=近い であり、その厄介さは敵襲の速さとなって現れる。
確定で複数個ランダム生成されるワームホールの密度も高まり、あちこちからすぐにアクセス出来る形になってしまっている。
それに、狭いという事は、地力が無いという事でもある。
星系数の少なさからくる資源不足。
惑星数の少なさからくる生産力不足。
画面上では大国に見えても、その縮尺が違う。前回プレイから比べれば格段に国力が劣るはずだ。
慌てて「学士院」を属国から統合吸収するが、焼け石に水。
パカリ院以外の国は、万単位の艦隊を持っていないようなみすぼらしい状態。
かろうじて戦えるレベルだったパカリ艦隊が崩れてしまえば、もうこの銀河に未来は無い。
②速さ。
速さ、である。
ここまで全く触れてこなかったが、今回のプレイ、ほぼ全編に渡ってプレイ速度を最速に設定し、早送りで時間を進めている。
戦闘が始まってからも、その設定を下げていなかった。
このミスもかなり致命的だった。
撤退を決めてからも、細かな移動指示の遅れにより、敵の追撃を許す事になってしまった。
リソースの振り分けを大きく変える前に、高速プレイのまま「合金が足りない時間」を長く取ってしまったのも良くなかった。
余剰が出る事が常態化していたがため、「切り詰める」状態へと頭を切り替えるタイミングが遅れてしまった。
本気で取り組んでいたら、もう少し早く、もう少しマシな形で防衛出来ていたはずだ。
何事もなく平和で退屈な日々を高速再生でスッ飛ばして来たがため、艦隊増強もロクに進めて来なかった。
艦自体の性能では負けていないのに、初動対応に充分な数を揃えられなかったのは、怠慢と言う他無い。
きっちり艦隊数を上限まで持っていっていれば、倍の戦力は用意できたはずだ。
何せ、資源は何の意味もなく大量に他国にバラ撒き続けていたくらいに余っていたのだ。
各国を育てるつもりで資源供与していたのだが、結局パカリ本国以外、戦力とよべる国力を持った国は一つも存在していない。
自国艦隊の増強に回した方が余程マシだっただろう。
敵出現と同時に、全艦艇の装備を一斉更新していたら?
速度を1に戻していたら?
他国を頼るのをやめていたら?
もっと本気で国家体制を戦時に作り変えていたら?
そんな、たらればが頭の中をグルグルと回る。
全惑星消滅。
エキニャン、滅亡。
「ロイザー星基地、陥落。都市が爆撃を受けています……」
「三都市の一角が奪われたか…… 我らが母星パカランドまで、あと一歩……」
「院長……」
「覚悟を、決めねばなるまいな」
「覚悟…… この銀河を終わらせる覚悟、ですか?」
「・・・・・・・・・」
「院長?」
「今日がパカリ研究院、最後の日だ」
「はい……」
「今日を持って、パカリ研究院はその研究を終える。
そして…… これより我が国は戦時体制を取る。
研究施設の一つや二つ破壊しても構わん。生産設備を増やす。大赤字で構わん、国庫が枯れるまで市場から合金を買い続けろ。他国とも連絡を取れ。連邦に加盟させれば、奴らでも我が国の対アンビドゥン艦を生産出来るようになる。破壊魚雷を積んだアント級コルベットなら、多少は戦力の足しになるだろう」
「……院長」
「最後までもがき苦しんで、戦い抜く「覚悟」だ。
覚悟を決めろ! どう考えても手遅れでしかないのだからな。痛みを長引かせるだけのつまらん負け戦だろうが…… 銀河が滅びる最後の一瞬まで足掻きつづける…… その、覚悟を決めろ!」
次回へ、続く。